※本稿は、宮本二美代『教養としてのお菓子』(Gakken)の一部を再編集したものです。
■栄養と癒しを補給するためのおやつだが…
おやつは「嗜好品」として軽視されがちですが、実は私たちの心と体に大きな影響を与える重要な存在です。選び方一つで、「エネルギー源」にも「体への負担」にもなり得るからです。
例えば、長時間の会議や育児の合間に食べるおやつが、疲れた脳に栄養と癒しを与えてくれることは、誰しも経験があるのではないでしょうか。しかしその一方で、無意識に口にしている“なんとなくおやつ”が、血糖値スパイクや脂肪の蓄積、さらには集中力低下の原因になることもあります。
ここから先は、体によいおやつと危ないおやつ、それぞれの特徴やメリット・デメリットを整理し、見分け方のポイントを紹介します。
■「太りにくいおやつ」の選び方
体によいおやつとして、次のように6つの特徴としてまとめました。
①自然素材を使っている
精製されていない砂糖や塩、オーガニックの素材、保存料・着色料不使用のお菓子は、体に優しく、内臓への負担も少なめです。例えば、果物、ナッツ、ドライフルーツ、はちみつなど自然由来の甘みは、栄養も一緒に摂れるのが魅力。
②血糖値の上昇が緩やか
食物繊維やたんぱく質を含むものは、血糖値の急上昇を抑えて、太りづらい体づくりをサポートします。オートミールクッキーや全粒粉ビスケット、豆乳プリン、ナッツバー、蒸し芋、小豆や寒天を使った和スイーツは、その例です。
③心を癒す「質感」と「香り」
香ばしさや優しい甘さは、脳のリラックスホルモン“セロトニン”の分泌を促します。例としては、紅茶クッキー、ほうじ茶羊羹、シナモンの効いた焼き菓子です。
■「国内製造」と「国産」はまったく違う
④満足感が持続する
ナッツやダークチョコレートは少量でも満腹感があり、集中力の持続にも役立ちます。
⑤国産の素材を使っている
原材料に「小麦粉(国産)」などの表記があれば、国内の素材を使用しているので安心です。紛らわしい表示に「国内製造」の表記がありますが、これは国内では作っているけれど、材料は国産でない確率が高いです。
⑥手作りのおやつ
添加物や保存料、着色料無し、すべて国産の素材といったこともできるので、安心・安全の材料を自由に選べる。現在は、ネットで簡単にレシピ検索もできて、お気軽に美味しいお菓子が作れます。
体によいおやつ
○メリット:集中力・リラックス効果・栄養補給
×デメリット:価格がやや高め、食べすぎるとカロリー過多になることも
■白砂糖をたっぷり使ったお菓子は危ない
危ないおやつの4大特徴というのも、まとめてみました。
①トランス脂肪酸や人工甘味料が多いもの
原材料に、「植物油脂」の表記は注意が必要です。何の油が使われているのかわかりませんから。この表記は多くが、マーガリン、ショートニング、パーム油を使用していることが多く、これらは体に非常に悪影響を及ぼすので注意が必要です。
また、人工保存料、合成着色料などが含まれるお菓子は、ホルモンバランスを乱し、肝臓や腸に負担をかける恐れがあります。
②“甘さだけ”の糖質中心のお菓子
精製された白砂糖や小麦がメインのスイーツは、急激にエネルギーになる反面、すぐに空腹感が戻り、だるさや眠気の原因に。また、血糖値や中性脂肪が急上昇しやすく、その後の急降下で眠気や集中力低下を招くことも。例えば、菓子パン、ミルクチョコレート、油分の多いドーナツ、さらにはスナック菓子の多くも該当します。
■「低カロリー」「カロリーゼロ」のカラクリ
③パッケージに「低カロリー」「ゼロ」と書かれているものは注意!
糖質オフ、カロリーゼロ、低カロリー、特保食品、減塩など……、一見ヘルシーに見える表記は、人工甘味料や添加物がたっぷり使われていることが多いのです。原材料欄を確認しましょう。
④人工甘味料や着色料が多い
味覚のバランスを乱し、自然な甘みへの感受性を鈍らせてしまうことも。特に、「青色○号」「黄色○号」「赤色○号」などのタール色素は要注意。主に石油由来を原料とする、鮮やかな発色が特徴の合成着色料で、一部には毒性、刺激性、アレルギーの原因となるものや、発がん性が指摘されているものもあります。
また、「自然由来色素」にもアレルギーや毒性のリスクはあるので注意が必要です。植物や昆虫、糖類などを原料として抽出される天然の着色料ですが、「天然=安全」というわけではありません。特に、コチニール色素やカラメル色素は、アレルギーや発がん性のリスクがあります。
危ないおやつ
○メリット:手軽で安価、気分転換の即効性がある
×デメリット:肥満・生活習慣病・疲労感の原因になりやすい
■原材料名に「植物油脂」があったら…
「植物油脂」と書いてある製品で注意すべきことも紹介します。
①具体的な油脂の種類が不明
「植物性=ヘルシー」と思いがちですが、必ずしも健康的ではない場合があります。加工度が高く、精製方法も非公開となっていますから。
②「硬化油」や「部分水素添加油脂」が含まれる可能性
トランス脂肪酸を含む可能性あり。動脈硬化や心疾患リスクが増すとされ、多くの国で規制を受けています。
③価格が安い商品や賞味期限の長い商品に多用されやすい
日持ちや加工効率を優先した結果、栄養よりコスト重視になっている可能性も。
■「賞味期限が短い」は信頼できる証拠
次のポイントを押さえると、体に安心できるお菓子を選べます。
・成分表示に「バター」「米油」「オリーブ油」など、具体的に明記されている油脂がある商品を選ぶ。「トランス脂肪酸フリー」や「無添加」と明記された商品も安心できる。
・シンプルな材料(小麦粉、卵、砂糖、バターなど)のみで作られている焼き菓子が理想。
見分け方のシンプルな基準としては、次の通り。
・原材料表示の先頭に懸念物質がない:「砂糖・油脂・添加物」が最初に並んでいるお菓子は要注意。原材料表記は、多いものから書かれているので。
・シンプルな素材感:「小麦粉、卵、砂糖、バター」といったシンプルな配合が理想。見慣れないカタカナの添加物表記があるものは避けたい。
・色や香りが派手すぎない:自然な色合いや香りのお菓子は体に優しいことが多い。美味しいものは、香りが教えてくれる。
・賞味期限が短い:保存料に頼らず作られたお菓子は、逆に信頼の証でもある。
私は、旅先などのお土産菓子コーナーで「賞味期限が短いものはどれですか?」と、聞くことがありますが、いつも店員さんに不思議そうな顔をされます(笑)。
■何気なく食べるおやつが健康を左右する
「体によいおやつ」と「危ないおやつ」の違いは、ちょっとした材料や製法の差にすぎません。けれどその積み重ねが、未来の体調や健康を大きく左右します。
大切なのは、ちょっとした意識の差。「空腹を満たす」だけでなく、「自分を大切にする」選択を心がければ、心も体も整っていきます。
「これは、自分の未来の体の一部になる一口」――そんな視点でおやつを選ぶことが、未来の健康を守る第一歩になるのです。
大切なのは、楽しみながら選ぶこと。
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宮本 二美代(みやもと・ふみよ)
製菓衛生師
保有資格は、製菓衛生師(国家資格)、フードコーディネーター、ラッピング認定講師。東京都出身。多数のお菓子教室や専門学校で学ぶ。卒業後は、都内近郊の製菓店やホテル、カフェにてパティシエールとして従事。その後、フランスへお菓子留学「ル・コルドン・ブルー」パリ校卒業 製菓ディプロム取得。卒業後は、パリのパティスリーにて研磨を積む。帰国後は専門学校・カルチャースクール、企業イベントなどで製菓・ラッピング講師として活動。指導した生徒様は1万人以上。世界20カ国以上を食べ歩き、食べたスイーツは2万個以上。2010年「ビスキュイ・セック」お菓子とラッピング教室開校。現在は、心と身体が整う「未来健康アカデミー」主宰/週末カフェ「未来アリスカフェ」オーナー。
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(製菓衛生師 宮本 二美代)

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