失敗しない飲食店選びをするには何を基準にして探せばいいのか。20年以上『東京最高のレストラン』の編集長を務めている大木淳夫さんは「ネット検索して何かネガティブな引っ掛かりがあるお店は、だいたい失敗する。
※本稿は、大木淳夫『50歳からの美食入門』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。
■店選びでネガティブな引っ掛かりがあれば失敗必至
結局のところ、いいお店かどうかは実際に行ってみないとわからないのですが、実体験としては検索して何かネガティブな引っ掛かりがあるお店は、だいたい失敗します。開店してそれなりの時間が経っているのに投稿数がゼロだったり、喫煙可だったり、「有名店出身!」とうたいながら、具体的な店名は明かさなかったり、あまりにも繁華街のど真ん中にあったり……。そもそも「素晴らしい!」と感じるお店がそんなにたくさんあるわけ無いのですから、仕方ないのかもしれません。
『東京最高のレストラン』でもニューオープンの中から、毎年約20店を「今年の注目店」としてピックアップし、メンバー全員が食べに行きます。お店は約半年かけて私が中心になり試食し、何度も検討を重ねて選びます。それなのに数年に1軒くらいは、座談会の場で「掲載する意味が無いんじゃないですか」と、メンバーから非難を受けて闇に消えていったりもするくらいですから。
見極めは①生ビール②トイレ③スタッフ仲④空いた皿
実際にお店に行った場合、チェックというか、気になるポイントもいくつかお伝えしたいと思います。
有名な例としては生ビールの味がありますよね。ビールサーバーのメンテナンスをしっかりして、グラスもきれいに洗浄しているからこそおいしくなるわけです。そしてビールにそこまでしているお店は当然、全体を清潔に保っているでしょう。
日本酒の場合、老舗に多いですが、あえて銘柄がひとつだけというお店には惹かれます。量産型の大手メーカーの銘柄が多いのですが、なぜか他で飲むよりおいしい気がします。お店で聞くと否定されますが。
もうひとつ、トイレの清潔さも大切なポイントです。ある有名なサービスマンは、トイレが汚いお店では生ものは絶対に頼みたくないと言っていました。確かにいいお店は、客がトイレから出るたびにさりげなく掃除をして清潔さを保っています。どうしても店内が忙しいとおろそかになりがちですが、店が思っている以上に客にとっては気になるポイントだということを理解してほしいと思っています。
スタッフの雰囲気がギスギスしていないかも気になります。別に大声でオーダーを復唱してくれなくてもいいし、無理な笑顔も不要ですが、楽しそうな空気は醸し出してほしいですよね。これはもう、トップ次第だと思います。
シェフがカリスマで客が崇めるようなお店では、たまにスタッフまで勘違いして尊大な態度を取ることがあって、彼や彼女の未来が心配になります。
サービスでは、空いた皿をやたらと急いで回収したがる人も多いですね。
他には制服が清潔かも大事です。薄汚れていていいことはひとつもありません。
■筋の通った店は気持ちよい
いろいろ申しましたが、突き詰めるといい店というのは、筋が通っているお店です。
なぜ料理を派手に盛り付けるのか、逆に極端にシンプルなのか。どうしてナチュラルワインしか置かないのか。日本酒がこんなに高いのか。おまかせで一斉スタートなのか。
こちらが疑問に思うことがあっても、お店として明確でオリジナルな理由があれば、気持ちのいいお店になるのです。
そうではなく、流行だから、どこかのシェフが言っていたから、コンサルが指導するからと、志がぼやけてくると、どうにも魅力のないお店になってしまいます。
いろいろな意見を聞いたり、改善することはもちろん大切ですが、本当に自分の意志で決定したのか、自身に問いかけることは忘れないようにしたほうがいいでしょう。
難しいですが、いいレストランにしたいというトップの強い思いが共有され、形になっているお店が増えていけばいいですね。
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大木 淳夫(おおき・あつお)
『東京最高のレストラン』編集長
1965年東京生まれ。学生時代から好きな場所は「レストラン」だった。学習院大学卒業後ぴあに入社。ぴあ編集部時代、3年かけて田中康夫氏に依頼を続け『いまどき真っ当な料理店』を刊行。2001年『東京最高のレストラン』を創刊、編集長となる。編集担当作品に『随筆 一食入魂』(小山薫堂)、『新時代の江戸前鮨がわかる本』(早川光)、『東京とんかつ会議』(山本益博、マッキー牧元、河田剛)など多数。また「食べログマガジン」で「大木淳夫の新店アドレス」を連載、堀江貴文主催のグルメサイト「TERIYAKI」ではテリヤキストとしてウェブメディアでも執筆。「料理レシピ本大賞 in Japan」の特別選考委員、「日本ガストロノミー協会」理事。
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(『東京最高のレストラン』編集長 大木 淳夫)
突き詰めるといい店というのは、筋が通っているお店だ」という――。
※本稿は、大木淳夫『50歳からの美食入門』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。
■店選びでネガティブな引っ掛かりがあれば失敗必至
結局のところ、いいお店かどうかは実際に行ってみないとわからないのですが、実体験としては検索して何かネガティブな引っ掛かりがあるお店は、だいたい失敗します。開店してそれなりの時間が経っているのに投稿数がゼロだったり、喫煙可だったり、「有名店出身!」とうたいながら、具体的な店名は明かさなかったり、あまりにも繁華街のど真ん中にあったり……。そもそも「素晴らしい!」と感じるお店がそんなにたくさんあるわけ無いのですから、仕方ないのかもしれません。
『東京最高のレストラン』でもニューオープンの中から、毎年約20店を「今年の注目店」としてピックアップし、メンバー全員が食べに行きます。お店は約半年かけて私が中心になり試食し、何度も検討を重ねて選びます。それなのに数年に1軒くらいは、座談会の場で「掲載する意味が無いんじゃないですか」と、メンバーから非難を受けて闇に消えていったりもするくらいですから。
見極めは①生ビール②トイレ③スタッフ仲④空いた皿
実際にお店に行った場合、チェックというか、気になるポイントもいくつかお伝えしたいと思います。
有名な例としては生ビールの味がありますよね。ビールサーバーのメンテナンスをしっかりして、グラスもきれいに洗浄しているからこそおいしくなるわけです。そしてビールにそこまでしているお店は当然、全体を清潔に保っているでしょう。
日本酒の場合、老舗に多いですが、あえて銘柄がひとつだけというお店には惹かれます。量産型の大手メーカーの銘柄が多いのですが、なぜか他で飲むよりおいしい気がします。お店で聞くと否定されますが。
もうひとつ、トイレの清潔さも大切なポイントです。ある有名なサービスマンは、トイレが汚いお店では生ものは絶対に頼みたくないと言っていました。確かにいいお店は、客がトイレから出るたびにさりげなく掃除をして清潔さを保っています。どうしても店内が忙しいとおろそかになりがちですが、店が思っている以上に客にとっては気になるポイントだということを理解してほしいと思っています。
スタッフの雰囲気がギスギスしていないかも気になります。別に大声でオーダーを復唱してくれなくてもいいし、無理な笑顔も不要ですが、楽しそうな空気は醸し出してほしいですよね。これはもう、トップ次第だと思います。
シェフがカリスマで客が崇めるようなお店では、たまにスタッフまで勘違いして尊大な態度を取ることがあって、彼や彼女の未来が心配になります。
サービスでは、空いた皿をやたらと急いで回収したがる人も多いですね。
おそらく大衆的な居酒屋チェーンで仕込まれたのでしょうが、それなりの値段を取るお店では止めるべきです。
他には制服が清潔かも大事です。薄汚れていていいことはひとつもありません。
■筋の通った店は気持ちよい
いろいろ申しましたが、突き詰めるといい店というのは、筋が通っているお店です。
なぜ料理を派手に盛り付けるのか、逆に極端にシンプルなのか。どうしてナチュラルワインしか置かないのか。日本酒がこんなに高いのか。おまかせで一斉スタートなのか。
こちらが疑問に思うことがあっても、お店として明確でオリジナルな理由があれば、気持ちのいいお店になるのです。
そうではなく、流行だから、どこかのシェフが言っていたから、コンサルが指導するからと、志がぼやけてくると、どうにも魅力のないお店になってしまいます。
いろいろな意見を聞いたり、改善することはもちろん大切ですが、本当に自分の意志で決定したのか、自身に問いかけることは忘れないようにしたほうがいいでしょう。
難しいですが、いいレストランにしたいというトップの強い思いが共有され、形になっているお店が増えていけばいいですね。
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大木 淳夫(おおき・あつお)
『東京最高のレストラン』編集長
1965年東京生まれ。学生時代から好きな場所は「レストラン」だった。学習院大学卒業後ぴあに入社。ぴあ編集部時代、3年かけて田中康夫氏に依頼を続け『いまどき真っ当な料理店』を刊行。2001年『東京最高のレストラン』を創刊、編集長となる。編集担当作品に『随筆 一食入魂』(小山薫堂)、『新時代の江戸前鮨がわかる本』(早川光)、『東京とんかつ会議』(山本益博、マッキー牧元、河田剛)など多数。また「食べログマガジン」で「大木淳夫の新店アドレス」を連載、堀江貴文主催のグルメサイト「TERIYAKI」ではテリヤキストとしてウェブメディアでも執筆。「料理レシピ本大賞 in Japan」の特別選考委員、「日本ガストロノミー協会」理事。
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(『東京最高のレストラン』編集長 大木 淳夫)
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