※本稿は、巽一郎『足腰復活100年体操』(サンマーク出版)の一部を抜粋、再編集したものです。
■医学の定説「軟骨は再生しない」のウソ
よく聞かれる質問にこんなものがあります。
「ひざ軟骨は本当に再生するんですか?」
答えは「はい」。少しでも軟骨が残っていれば再生します。
定説みたいに「一度すり減ってしまった軟骨は再生しない」と言われているので、僕が「再生する」と言うと患者さんの多くが「にわかには信じ難い」という顔をします。
間違った情報も、信じる人が多勢だと、まるで真実のような顔をして広まってしまう。情報があふれ返っている現代ではよく起こることですので、要注意です。
実際、医学の教科書にも「軟骨は一度すり減ったら再生しない」「血管が乏しいため自然治癒能力が低い」と書かれています。それを読んだ医者が患者さんに「再生しない」と言うので、患者さんが信じるのも無理はありません。
しかし、本当は毎日からだを動かし、体重をかけることによって軟骨が削られても、毎日再生が行われています。それがからだに備わる「新陳代謝」の仕組みで、これは軟骨だけのことではありません。
試しに、どこか皮膚の表面に油性ペンで日付を書いても、2週間もすれば文字はなくなっているはず。新陳代謝で皮膚がはがれ、入れ替わっているからです。
神経細胞も再生しないと信じられてきましたが、最近の研究で再生することがわかってきました。
軟骨だけ再生しない、と考えるのはむしろ「非科学的」「非医学的」なんです。
■5ミリの包丁傷が数日でくっつく理由
一番大切なことを言うと、人のからだは連続性があれば再生するんです。
他院でもう手術しか方法がないと言われた多くの人が、切らないでひざ痛を卒業されています。軟骨は少しでも残っていれば再生します。しかし軟骨が減る生活習慣を続けていれば、減っていきます。
からだのすべての細胞が入れ替わる「新陳代謝」の仕組みは、僕らの命を守るとても大切なはたらきです。どんどん入れ替わって、フレッシュな細胞になり、命を活かして、古くなったらまた入れ替わる。これは幼少期も高齢になっても変わりません。
たとえば、キャベツのせん切りをしていて指を5ミリほど切って血が出たとき、どうしますか?
きっと、さっと洗って反対の手指で傷口を押さえ、出血を止めようとするでしょう。なかなか血が止まらないと思ったら、絆創膏でも貼っておきます。いくらかズキズキ痛んでも、「病院へ行かなくちゃ」とは思わないですよね。
2、3日して、傷口がひっついていたら「治った」と思う。みんな疑いません。確かに、概ね治ったのです。この傷口が治る過程に、人のからだが再生する仕組みがあるのです。
どういう仕組みで治ったか、これが肝心。みんな疑いもなく「治った」と思うのに、「どうして治ったか」はあまり考えません。だから自分に「治る力」があることを忘れてしまうのです。
■対症療法をしてはいけない
僕がみなさんにご紹介する保存療法というのは、そもそもひざが痛むようになった原因を考え、「自分の治る力で治そう」と意識を変え、生活を変えたり、セルフケアを行ったりして原因を取り除いて、自前のひざ関節を長持ちさせていく治療法です。根本的な治療ということで、「根本療法」「原因療法」と言います。
一方、今ほとんどの病院で行われているのが「対症療法」。これは症状に焦点を当て、症状を化学物質(お薬)で抑える方法。痛かったら痛み止め、腫れていたら湿布か注射で水を抜く、という具合に、症状だけに焦点を当て対処する。痛み止めが効かなくなるなど、もう手段がなくなると「ひざ関節をそっくり人工関節に入れ替える手術しかない」という話になる。残念ながら、変形性膝関節症のスタンダードな治療法です。
痛み止め(お薬:化学物質)では、失った軟骨は再生しません。傷んだ半月板も戻りません。
原因に目を向け、それを正そうとしない限り、根本的な治療とは言えない。
さらに問題なのは、この「対症療法」が、変形性膝関節症の進行に加速度をつけてしまうことが少なくないことです。治療法が病気を悪化させるなんて、みなさん夢にも思わないで治療を受けているでしょう。ところがそれは珍しいことではないのです。
■「痛みが消えること」の落とし穴
たとえば痛み止めを常用している場合、まず「治る力」は発揮されにくくなります。
現在、処方される痛み止めは次の3つの作用を持っているもののどれか、だからです。
1:からだが壊れたことを脳に伝える“痛み”を神経に起こす「痛み物質」のプロスタグランジンの作用を抑えるもの(消炎鎮痛剤:NASAIDs)
*商品名等:ロキソニン、セレコックス、ボルタレン、セデス
2:知覚神経が「痛み」を脊髄の後根から脳へと伝達するとき、後根の入り口で痛みを止める作用があるもの(末梢神経抑制剤)
*商品名:リリカ、プレガバリン、タリュージュ
3:脳で「痛み」を止める。脳に作用するオピオイド(麻薬)(中性神経抑制剤)
*商品名等:モルヒネ、トラムセット、トラマドール、フェンタニル
痛みは自分のからだを守っています。
しかしこれらの痛み止めを常用していると、ひざの構造が壊れても痛くないため、仕事に出たり畑に出たりします。そうするとひざの構造の破壊は軟骨だけではなく、骨が削れる(骨欠損)にまで至ります。
実際、変形性膝関節症の末期ともなると(図表1)、大腿骨が脛骨にめり込んでしまう「骨欠損」が起きます。
軟骨には知覚神経がないので、すり減っていく過程で軟骨自体から痛みは感じません。しかし中期以降、大腿骨と脛骨がぶつかるようになると、骨膜には知覚神経があるので、この頃から痛みは激痛に変わるのです。
■根本治療に医者はいらない
1歩踏み出すごとに、激痛が走ることも稀ではない。ふつうは末期まで進行しません。ここまで進行してしまうのは、朝夕鎮痛薬を飲んで骨を削っていたからです。
痛み止めを常用していたら、自前の「治る力」は発揮されにくく、痛くないから動けて、どんどん軟骨が減り、修復されていても追いつかない。
痛みはとてもつらい症状だから、痛み止めを一切飲んではいけない、などとは言いません。痛くてよくよくつらいとき、なるべく安静にしながら、頓服として利用するだけにとどめるのが自分のひざのためです。
痛みは「治る力」を動かすタイミングを知らせてくれるおまわりさん。
対症療法ではなく、早めに根本治療となる「保存療法」をして治すのが自分にとってラクで、ハッピーな選択です。
しかも病院にかからず(お金もかからず)、自力でできるんですから!
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巽 一郎(たつみ・いちろう)
一宮西病院整形外科部長
医師。ひざのスーパードクター。1960年生まれ。静岡県立薬科大学薬学部卒業後、大阪市立大学医学部に入学。卒業後は同附属病院整形外科に入局し手術三昧の日々を送りながら、米国(メイヨー・クリニック)と英国(オックスフォード大学整形外科留学)などに学び、世界最先端の技術を体得。日本屈指の技術と、患者の立場に立った診療方針で全国各地から人が絶えない。評判の手術の腕の一方で「すぐには切らない」医師として話題を集める。
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(一宮西病院整形外科部長 巽 一郎)

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