※本稿は、藤井泰輔『正直すぎる保険の話 いる保険・いらない保険』(ぱる出版)の一部を再編集したものです。
■「がん保険」は必要なのか
この問いに対して答えを出すのは、医療保険よりも難しい気がします。
多くの人が「がん保険なんていらない」と言う一方で、元社長が「がん保険は不要」と言っていたネット生保が、その後がん保険の販売を始めたりとか、どうも一筋縄ではいかないようです。
私は、保険販売の現場で仕事をして既に30年近くになります。そうすると、お客さんに新たに保険を契約してもらうということよりも、保険金を支払う機会のほうが徐々に増えてきます。そうした経験を踏まえて、医療保険はいらないが、がん保険はあったほうがいいという実感を強く持っています。特に若い人は、がんに特化している分保険料も手頃なので、あってもいいかなと。
つまり、医療保険にしても、病気やケガで給付金が支払われることはそれなりにありがたいことですが、その割には医療保険があって本当に良かったと言う声はあまり聞きません。
一方で、がん保険を契約している人たち、特に若くしてがんにかかった人たちの中には、がん保険があったことで、がんになった苦しみの一部でも和らげられたという、経済面よりも精神的な安心を得られるという効用を挙げる人が実際多くいます。
だから、今では、特に若い人には、医療保険はなくても、がん保険はあったほうが良いと、私なりの経験を踏まえてアドバイスをしています。
■選ぶべきがん保険の特徴
それでは、実際にどんながん保険を選べばいいのでしょうか。
①シェアが一番と謳っているアヒルの生保の商品は、上皮内がんの保障が薄いなどの理由から、選択から外したほうがいい。
②保障の範囲は、放射線や抗がん剤治療による通院などまで限りなく広がっているが、保険料がその分高くなるので、診断給付金+治療給付(入院や手術など)+先進医療など必要最低限なものを選ぶ。
③診断給付金は、入院条件がなく診断確定時に支払われるもので、できれば複数回支払われるものを選ぶ。もちろん保険料との兼ね合いで。
④都道府県民共済のがん特約も選択肢となる。
以上、あくまでも私の考えではありますが。
■年齢が上になるほど割安な共済
生命保険や損害保険と同じ機能を持った商品に共済があります。全労済、JA共済、CO・OP共済などが、それぞれ拠って立つ法律のもとに運営されています。
共済は、まさに相互扶助の仕組みで、営利を目的として経営されている民間の保険会社とは違い、運営上の余剰金は、組合員、つまり契約者に還元される仕組みになっています。
生保分野の「都道府県民共済」を例に取ると、数百万円の死亡保障と入院保障がセットになっていて、基本的に、20歳から60歳まで一律の保険料です。特に、年齢が高めの方は、保険料が一律であることを考えると割安に加入できます。
都民共済の具体的な保障内容(総合保障2型)を、図表1で示しておきました。月々2000円の保険料負担で、昨年の配当実績は、36%の戻りとなっていますので、実質的な負担は、月1300円程度になります。これならあまり負担がなく、ある程度の安心が確保されます。
■年齢が高い専業主婦には共済がおすすめ
私は、専業主婦の方にどんな保険が良いかと助言を求められると、まずはこの共済をおすすめしています。特に、年齢が高めの方は、保険料が一律なのでおすすめです。
また、よく、保障が60歳で切れてしまうことを問題にする人もいますが、今のご時勢、随分先のことまで考えて終身保障にこだわるよりは、子供が成人するだろう頃までの保障を安価に確保するほうがより合理的だと思います。
病気入院が手厚い分、TVCMでよく見かける「こくみん共済」よりも「都道府県民共済」のほうがおすすめですし、CO・OP共済との比較でも、死亡保障を含めた総合的な保障が1つの商品でカバーできるのが便利です。共済には、生命保険類似商品だけではなく、自動車保険や火災保険に対応した商品もあります。
共済の他に、少額短期保険(ミニ保険)が、2006年の法律改正で誕生しています。
■独身に生命保険は必要ない
社会人になったからと言って、慌てて生命保険を契約する必要がないことは、既にお話しした内容から理解してもらっていると思います。独身であれば、年齢に関係なく状況は同じです。しかし、自分に万一の場合、遺された人たちに迷惑をかけない程度の準備をしておくことは、場合によっては必要かもしれません。
では、実際にはどれほどの金額が必要なのでしょうか。私は、都道府県民共済の総合2型(月2000円+割戻金)の病気死亡保障額の400万円(事故800万円)で十分と考えます。もしくは、どうしても民間の保険でと考えるのであれば、よく最低保険金額として設定されている500万円を目安とすれば良いでしょう。
男の5人にひとりは生涯独身であり、同じく生涯独身の女性も増えていることを考えると、働き続けるであろう60歳過ぎまでには、ある程度の蓄えもできているでしょうし、何か保障がないと不安という人には、共済が一番です。
あと、若い人でも医療保険への加入を考えている人がいますが、これも基本的には50万円程度の貯金があれば必要はありません。もしどうしても加入したいという場合は、都道府県民共済の総合2型ならば、先の死亡保障に加えて、病気入院が増額されてケガと同じ日額5000円が支払われますので、安心を確保するという意味でも十分です。
■がん保険もカバーできる共済
最近では、若くしてがんになる人も増えていますので、がんへの備えも必要と考える向きには、これも都道府県民共済のがん特約で一定の安心が得られます。月1000円(+割戻金)で、がん診断給付金が50万円、他に入院や通院なども保障されます。
なんだか保険代理店というよりは共済の宣伝マンのようですが、自分ならばそういう選択をするということです。
ある程度、独身生活にも年季が入った女性などには、共済の他に、死亡と三大疾病の保障が1つになった、三大疾病保険の終身型がおすすめです。
三大疾病とは、がん、脳卒中、心筋梗塞のことで、三大疾病に罹患したときに保険金が支払われるか、もしくは亡くなったときに死亡保険金が支払われます。保険料の払い込み終了後には、保障に換えて、解約返戻金を老後資金にも使えるので、月々の保険料の負担能力のある人には一考に値します。
いずれにしろ、他に守る人がいなければ、生命保険にさほど頼る必要はなく、本当に賢い保険の利用が求められるのが、独身という身分かもしれません。
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藤井 泰輔(ふじい・たいすけ)
生保協会認定FP、DCプランナー、宅地建物取引士
総合保険代理店、株式会社ファイナンシャルアソシエイツ代表取締役。生保協会認定FP、DCプランナー、宅地建物取引士。1954年名古屋生まれ。一橋大学商学部卒業後、三井物産、生命保険会社勤務を経て、2000年に総合保険代理店、株式会社ファイナンシャルアソシエイツを設立。不思議と不合理の日本の生保、損保業界に身を置き、代理店という立場で、常に買う側の立場に立った保険提案を心がけている。
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(生保協会認定FP、DCプランナー、宅地建物取引士 藤井 泰輔)

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