1日を気分よく好調にスタートするにはどうすればいいか。脳科学的に、やる気を出すコツは、「体を動かす」ことで、そのための第一歩として、「マイ・オープニングテーマ」をかけるといいという。
『すぐやる人の小さな習慣』(三笠書房)より紹介しよう――。
※本稿は、大平信孝、大平朝子『すぐやる人の小さな習慣』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■目標を紙に書くと平均年収が10倍に
突然ですが、あなたは、夢や目標を持っていますか?
また、自分の夢や目標を、普段どれくらい意識していますか?
目標を持っている人と、目標のない人とでは、10年たつとまったく違った人生になることがわかっています。
ハーバード大学のMBAが、「同大学の卒業生が明確な目標を持っているかどうか」について調べたアンケートがあります。10年後、彼らがどのような人生を歩んでいるか、追跡調査が行われました。
すると、特に収入に関して、驚くべき結果が得られたのです。それは、目標を持っていて紙に書かなかった13%の卒業生の平均年収は、目標を持っていなかった84%の卒業生の約2倍。さらに、目標を紙に書いていた3%の卒業生の平均年収は、残りの97%の人たちの10倍だったのです。
これは、「明確な目標を持つ」ことが重要な要素であることを端的に示しています。この目標の力を、あなたの朝に生かしてほしいのです。
朝、イヤな感じを引きずったまま家を出てしまうことは、よくあること。「何だか今日は、調子が悪いなぁ」「今日の企画書作成、大変そうだな……」「毎日残業しても、仕事が減らなくてしんどいな」など、気分が落ちたまま1日をスタートさせてしまうと、そのままメリハリのない1日をすごしてしまいがちです。

■起床後すぐに「指差し確認」の効果
そこでやっておきたいのが、起床後すぐに行う「ゴール(目的地)に向かって指差し確認する」小さな習慣です。
指差すのは、あなたが目標とする人の写真、あこがれの人が書いた本、あなたの夢や目標を書いた紙、あなたを勇気づけたり、励ましてくれる写真や賞状などです。
それらに向かって、電車の車掌さんのように、利き手で「ピッ」と指差し確認する。たったこれだけで、あなたが目指すべき方向、行きたい未来にフォーカスすることができます。
電車の車掌さんが、必ず「指差し」確認するのには、理由があります。
「指差し」には、じつはものすごく効果があるからなのです。単にゴール(目的地)を「見て」確認するよりも、「指を差す」ことで、指差した先に自然と「意識」が向くからです。これにより安全をきちんと確認しているのです。
この「指差し」は、あなたを勇気づけるものを自宅に置けない場合にもできます。そんなときは、あなたの気分が上がる方向(脳科学的には、右上)や、あこがれの人がいる方向に向かって指差しをしてみてください。
■お腹の底から自然と力がわいてくる
また、この「指差し」を行うときのゴールは、人生のゴールとなるような大きな目標でなくてもかまいません。
「今日のプレゼンを成功させるぞ」「終わったらおいしいビールを飲もう!」といった小さなゴールでも十分に効果があります。
その場合は、あなたが実際にプレゼンをする場所や、おいしいビールを飲む店がある方向に向かって指差しをします。
人は、「あそこに行く!」というゴールを定めることによって、無理やりテンションを上げたり、気合を入れたりしなくても、お腹の底から自然と力がわいてくるのです。
会社や上司から指示されたものではなく、「自分で」自分のゴールを設定することで、まわりの状況や意見にも左右されにくくなります。
この感覚を小さな習慣で引き出すことによって、ぜひ、力まなくても自然と力がわいてくる経験をしてみてください。
■脳が目覚める「マイ・オープニングテーマ」
朝に弱い方は、朝、目が覚めたら、エネルギーに満ちあふれた「オープニングテーマ」を聞き、脳を目覚めさせましょう。
「卵が先か、鶏が先か」みたいな話になりますが、「朝に弱い」ことを理由に、いつまでも布団に入っていると、さらに「朝に弱い人」になります。脳は、体を動かすことで、刺激を受けて働き始めるようにできています。
脳科学的にも、やる気を出すコツは、「体を動かす」こと。
というのも、脳には、「側坐核(そくざかく)」と呼ばれる「やる気スイッチ」が存在します。側坐核は、刺激されるとドーパミンを分泌します。これがやる気の源になります。
でも、この側坐核は、外から刺激しないと活動してくれません。
その刺激は、体を動かすことです。つまり、どんなに眠くても「えい!」と覚悟を決めて布団から脱出できる人は、結果的に「朝に強い人」になるのです。
シャキッと起きるためには、「眠い、だから、もう少し寝よう」から、「眠い、だからこそ、いますぐ起きよう!」という新しい行動回路を作ればいいのです。
そのための第一歩は、布団から出て簡単なアクションをすること。ここで行いたいのは、あなたの「オープニングテーマ」をかける小さな習慣です。
■選曲はミセスのこんな曲を
体を動かし、リズムや鼓動を感じることで「朝だよ! 起きる時間だよ!」と、脳を刺激します。
選曲は、Mrs.GREEN APPLE「ライラック」やこっちのけんと「はいよろこんで」のように、リズムに合わせて踊り出したくなるアップテンポなナンバーにしましょう。
メロディは、言葉よりもダイレクトに脳に働きかけてくれるので、1日を気分よくスタートできる曲にこだわってみてください。闘魂注入系の曲もオススメです。
私のお客さんのなかには、『ロッキー』のテーマ曲である「Gonna Fly Now」(ビル・コンティ)を、毎朝流している方もいます。
いくらお気に入りでも、ショパンの「別れの曲」や、ベートーヴェンの「運命」など、悲しくなったり、気分が重くなりそうな曲は避けましょう。
「別れた」「八方ふさがり」「失敗した」など、アンハッピーエンドの曲ではなく、ハッピーエンドの曲のほうが、朝一番に聞くにはオススメです。


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大平 信孝(おおひら・のぶたか)

メンタルコーチ

アンカリング・イノベーション代表。目標実現の専門家。長野県生まれ。中央大学卒業。脳科学とアドラー心理学を組み合わせた独自の目標実現法「行動イノベーション」を開発。現在は、法人向けに、チームマネジメント・セルフマネジメントに関する研修、講演、エグゼクティブコーチングを提供している。個人向けには「行動イノベーション年間プログラム」とオンラインサロンを主宰。近著に『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ  科学的に先延ばしをなくす技術』『指示待ち部下が自ら考え動き出す!』(ともにかんき出版)、『先が見えなくても、やる気が出なくても 「すぐ動ける人」の週1ノート術』(PHP研究所)。公式サイト

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大平 朝子(おおひら・あさこ)

問題解決の専門家

国家公務員試験を主席合格。裁判所書記官として年間2000件の記録を扱う中で、問題解決のある法則を発見し、独立。教育団体、女性団体、外国人リーダー向けに、研修を実施。
無職の夫をベストセラー作家にした手法が注目され、女性経営者など3000人以上の問題解決に携わる。現在は、2人の息子の育児に加え、夫・プロコーチ大平信孝主催のコーチングスクールNEXTのマネジメント、コラム執筆も行なっている。

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(メンタルコーチ 大平 信孝、問題解決の専門家 大平 朝子)
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