※本稿は、大平信孝、大平朝子『すぐやる人の小さな習慣』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■落ち込んだら、どれだけ早く立ち直れるか
上司や同僚と言い争ってしまった。
何気ないひと言に傷ついた。
お客さんからクレームがきた。
同僚の成果を素直に喜べない。
こんなふうに、人は誰でも、イライラ、モヤモヤしたり、落ち込むことがあります。落ち込みすぎないように精神力を鍛えることも可能ですが、落ち込んだときには、「どれだけ早く立ち直れるか」を考えるのがオススメです。
仕事でうまくいく人を観察していると、「落ち込まない」のではなく、「切り替えが早い」のです。
落ち込みを必要以上に引きずらないので、「次の目の前のこと」に集中できます。一方、落ち込みを引きずってしまう人は、一度気分が下がると、挽回するのに時間がかかります。
仕事でイヤなことがあったときは、精神力を鍛えなくてもできる、仕切り直しの小さな習慣で気持ちを切り替えてみましょう。
職場でイヤなことがあったら、「その場を速やかに離れる」ことを即座に実行してください。
というのも、無理してその場にい続けて、ネガティブな感情の
■モヤモヤをスッキリするためにイメージするもの
大相撲の力士もタイミングが悪いといったん外して、仕切り直します。それと同じです。
具体的には、行きたくなくてもトイレに行きましょう。そうすると次の2つの効果が得られます。
①イヤな感情が生まれた「空間」から、一度離れることで、仕切り直せる
②手を洗うことで、「水」と一緒にイヤな気持ちも流せる
これは、「ソート・ストッピング(思考停止法)」の一種です。実際に手を水で洗ったり、イメージで水に流すことで、イヤなこともすべて水に流す効果があります。
手洗いだけでなく、顔を洗ったり、うがいをしたり、歯磨きするのもいいでしょう。コーチングでは、これを「クリアリング」といいます。
いま、モヤモヤしていることを、クリアにしてから、スッキリした状態で本題に入るテクニックです。
私のお客さんのFさんは、電話応対などで席を外す余裕がないときは、「滝の近くにいる」とイメージするそうです。すると、ミストシャワーが降り注ぐように、その場の空気も気持ちもスッキリして、仕切り直すことができるそうです。
また、泣きたいときは、無理に我慢する必要はありません。涙にもクリアリング効果があるので、イヤな感情を流してくれます。こみ上げるものがあるのであれば、トイレなどの個室で思いきり泣くと、スッキリします。
■「本当は、どうしたかったか」を明確にする
私が、メンタルコーチとしてオリンピック出場選手をサポートするときは、「試合中にイヤな感情を引きずらない」ための小さな習慣を大事にしています。なぜなら、試合では、どんなに準備しても思い通りにならないことや失敗があるからです。
ミスや予想外の展開になったときに、いかに気持ちを切り替えられるかは、トップアスリートにとっても重要なのです。
私たちビジネスパーソンも、会社で落ち込んだときに、「いかに短時間で切り替えられるか」が、仕事の効率や成果に直結します。立ち直るための小さな習慣として、効果的なものをご紹介します。
それは、「本当は、どうしたかったのか?」「本当は、どうしてほしかったのか?」を考えるということです。
じつは、「期待と現実」のズレが、人が怒ったり、落ち込んだりする要因の一つになっています。たとえば、上司から注意を受けたとして、心当たりのある場合と、まったく予期していなかった場合とでは、怒りや落ち込み具合は違ってきます。
そして、人は、「本当は何を期待しているのか」を自分でも認識していないことのほうが多いのです。
そのズレを無視したまま先に進もうとすると、さらにズレが大きくなってしまうので、修正が難しくなります。結果として、イヤな感情を長く引きずってしまうことになります。
テニスの試合で、ミスショットをした選手が直後に素振りをすることがあります。これは、ミスショットをして期待と現実にズレが生じたときに、「本当はこう打ちたかった」というイメージで、ただちに素振りをしているのです。すると、成功したイメージに切り替えられ、気持ちも切り替えることができるのです。
会社で落ち込んだときは、「本当はこうしたかった」「本当はこうしてほしかった」というあなたの期待を明確にします。素振りをするように理想型をイメージすることで、ズレが修正でき、気持ちを切り替えられます。
■心の中でダメ出しをしていないか
「何であの人は、ああなんだろう。○○さんなら、こうするのに……」など、自分の苦手な人を、つい理想の人と比べてしまうことはありませんか?
人は、自分が「意味づけ」したように、相手を見ます。たとえば、Aさんを「苦手な人」として一度意味づけすると、Aさんについて苦手だと思える部分ばかりが目に入ってくるようになります。
その人のやることすべてについて、イヤなところやダメなところばかりが目につくようになり、さらに険悪なムードになってしまうこともあります。
私たちは、苦手な人に接するとき、勝手に、「理想の人」や「架空の完璧な人」と比べて、心の中でダメ出しをしてしまいがちです。
そして、そういう態度は言葉にしなくても、相手にも伝わります。誰でも、相手から「イヤなやつ」という目で見られたら、いい気はしません。
さらに、心理学的には、「注目」したところに意識が向くので、相手のイヤなところに注目すればするほど、イヤなところが目立ってしまいます。
では、どうしたらいいのかと言うと、「逆の注目」をすればいいのです。
つまり、相手の「イヤなところ」ではなく、「いいところ」を見るようにすればいいのです。
一度、相手のいいところに注目できるようになれば、「あ、意外に、こんなにいい面もあったんだな」と、さらに、いいところに気づけるようになります。
■比べるなら「理想の人」ではなく「最悪の人」を
そうはいっても、苦手な相手のいいところを見つけるのは、難しいときもあります。
そこで、私からの提案です。どうせ勝手に相手を「理想の人」と比べるなら、「最悪の人」と比べてみませんか?
「う~ん……、あの人よりはまし」と思えたら、しめたもの。相手のいいところを、冷静に探す余裕が出てきます。
苦手な人に遭遇したら、過去に出会った「最悪の人」と比較してみる小さな習慣をやってみてください。
たとえば、ダメ出しが厳しすぎる上司だったら、スタッフに無関心で、ダメ出ししなかった以前の上司と比べると、責任感がある人なんだなと思えたりします。
また、何でも強引に一方的に決めてしまう上司だったら、スタッフを尊重しすぎてなかなか決められない優柔不断な上司と比べると、リーダーシップのある人なんだなと見られるようになったりします。
「あの人よりはマシだな」と思えたら、苦手な人のいいところも自然と見えるようになってきます。
本来、相手を誰かと比べて評価すること自体がナンセンスかもしれません。けれど、仕事をする以上、好き嫌いの「感情」だけで行動してしまうよりは、「見方」を変えることで行動を変えるほうがベターなこともあります。
これは、コーチングで使う「リフレーミング」の一種です。うまくいっている人を見ると、誰に対しても態度を変えずニュートラルなスタンスでいる人が多いです。
この小さな習慣の目的は、あなたの見方を変えることで、仕事のパフォーマンスを上げること。小さな習慣を使って気持ちを切り替えることができたら、感情に流されるのはここでストップして、あとは目の前の仕事に集中しましょう。
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大平 信孝(おおひら・のぶたか)
メンタルコーチ
アンカリング・イノベーション代表。目標実現の専門家。長野県生まれ。中央大学卒業。
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大平 朝子(おおひら・あさこ)
問題解決の専門家
国家公務員試験を主席合格。裁判所書記官として年間2000件の記録を扱う中で、問題解決のある法則を発見し、独立。教育団体、女性団体、外国人リーダー向けに、研修を実施。無職の夫をベストセラー作家にした手法が注目され、女性経営者など3000人以上の問題解決に携わる。現在は、2人の息子の育児に加え、夫・プロコーチ大平信孝主催のコーチングスクールNEXTのマネジメント、コラム執筆も行なっている。
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(メンタルコーチ 大平 信孝、問題解決の専門家 大平 朝子)

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