※本稿は、堀江貴文『あり金は全部使え』(マガジンハウス新書)の一部を再編集したものです。
■「人を使うこと」に悪いことはひとつもない
最も大切な資源は、時間だ。その次に大事なのは、やはり人だ。
うまくいっている会社は、商売上手であると同時に、優れた人が集まってくる環境の整備ができている。どんなに勝ち目のプランがあっても、優れた人がサポートしてくれなければ、ビジネスは成功しないのだ。
僕はプログラムはできるし、お金の管理も人並み以上にできる。
ビジネスパーソンとしての能力は、高い部類に入るかもしれないが、もっと出来のいいビジネスパーソンは、身近に何人もいる。自分はまだまだだなぁ……と、たびたび感じる。
仕事のすべてを自分で回そうとは、考えない。
もしかしたら自分でやってしまった方がスピーディに解決できる場合もあるが、僕は自分の時間の最適化を優先したい。他人に任せられる仕事は、他人の手を頼りまくる。
人を使うことは、他人の雇用を創出して、感謝も受け取れる。
悪いことは、ひとつもないのだ。
■人の手を借りられない人のパターン
ビジネスの成功者はみんな、人づかいが巧みだ。
プライドを捨て、できない自分をさらけだし、人の手を平気で借りられる。そして周囲に、優れた人がどんどん集まってくる。
ビジネスパーソンとしてのスペックが低い経営者ほど、実は人を使うのが上手い。
人に頼りまくっているうちに、気づいたら資産家になっているような例は、けっこう多いのだ。
人の手を借りられないという人には、2パターンある。
ひとつは自分でやった方がうまくいくと思いこんでいる人、もうひとつは他人と手柄をシェアしたくない欲張りだ。どちらも間違ったこだわりだ。
自分より仕事をうまくやれる人は、いくらでもいる。手柄は分け合ってこそ、大きな評価を得られる。ひとりで何でもやろうとしてはいけない。お金を効果的に用い、優れた人を使う選択を持ってほしい。
協調性が大事だと言っているわけではない。
やりたいことをよりスムーズに、大きなレベルで進めていくには、人を使うスキルが高い方が効率的ということだ。
■過去に失って唯一後悔したもの
僕が最初に起業したときは、日本のWebプログラミングのパイオニアだった小飼弾(こがいだん)さんほか、IT界のカリスマ的な人材を、何人も会社に招聘(しょうへい)した。彼らに認められたい、若くて有望な技術者たちが集まり、事業は急速に拡大した。
優れたメンバーが集まったお陰で、僕がやっていた大半の雑務を任せられた。好調な部門には、ほとんど口出ししなかった。
出したとしても、その部門のつくるサービスのヘビーユーザーになった視点で「もっとこうしたら?」という、具体的なアイディアが出せる。いい意味で、距離を取っているからだ。
人を使うときは、要所だけ決めて、変にならない限り干渉せず、丸投げに徹する。それがうまく回っていけば、いい人材によって、自然に仕事の質は上がる。自分のやりたいことをやれる時間と機会が、加速度的に増えていくのだ。
ライブドア事件後、せっかく集めた技術者チームが使えなくなったのは、苦い思い出だ。創業から会社が有名になるまで、彼らを獲得する行程が最も大変だった。僕の思い描く事業を、最速で形にしてくれる素晴らしい人材が集まっていたのに……。
あのメンバーの多くがLINEに行った。爆発的に普及する、強いサービスになるはずだ。現代の通信手段の覇権を、ほぼ獲ってしまったと言える。
やはり優秀な人は、大きな財産だ。
僕が過去に失って唯一、後悔したものかもしれない。
■通勤の往復2時間で給料の20%を失っている
通勤のため毎朝、満員電車に乗っている人の気持ちがわからない。
会社へ通うために仕方ないというけれど、なぜわざわざ勤め先から遠いところに住んでいるのだろう? “職住近接”という考え方があるように、職場の近くに住むのが最も効率的だ。
会社が銀座や六本木など、家賃の高いところにあるので、部屋が借りられない、という意見もあるだろう。そんなことはない。多少狭いが、4万~5万円ぐらいで借りられる空き部屋は、探せば必ず残っている。結局、多少の通勤のストレスと引き替えに、もらっている給料と釣り合う、まあまあ快適で広い部屋に住みたいのだと思う。
わからないでもないけれど、僕は「通勤に往復2時間かかる場合、給料が20%低くなるのと一緒」と考えている。
きちんとデータに取ったわけではないのだけど、いろんな人から話を聞いて、体感的に、ほぼ間違いない数字だ。
2時間、満員電車で通勤している年収400万円のサラリーマンは、“職住近接”をしていれば、500万円以上を稼ぐポテンシャルを持っているのだ。
通勤時間のストレスが、本当の稼ぎを引き下げてしまっている。
■満員電車のストレスは戦場の兵士レベル
どうしても広く快適な部屋に住みたいというなら、“職住近接”を実践して、よりたくさん稼ぎ、都心で高級マンションを借りられるよう頑張ればいいのではないか。
満員電車の通勤ストレスは、不可避のストレスではないのだ。
少しの毎月のプラス出費で、簡単に解消できる。
その出費がもったいない、引っ越しが面倒くさい……というような人は、単に思考停止しているだけか、満員電車のストレスが大好きという、不思議な人なのだろう。
イギリスの研究によると、満員電車に乗っているストレスは、戦場の最前線の兵士が抱える精神的負荷と、ほぼ同じなのだそうだ。そんな苛烈な負荷に耐えられるほど、快適で素晴らしい家に、みんな住んでいるのだろうか?
わずか数万円ほど家賃を頑張るだけで、命まで削られそうな戦場級のストレスを、きれいに消せるなら安いものではないだろうか。
金を出せばすべてのストレスが解決できるわけではないが、金で解決できるようなレベルのストレスは、すすんで解決していこう。
そうしなければ、いつまでもストレスが身にまとわりついて、自由な行動の妨げになる。
別のストレスを呼びこむ誘因にもなるはずだ。
■電車に乗る時間があるならタクシーで仕事をする
僕は、国内の移動では、ほとんど電車に乗らない。起業した直後は経費節約で、電車移動が中心だったけれど、ある年長の人に言われた。
「移動は、タクシーを利用しなさい。タクシー代をケチるような仕事はするな。もし君の仕事が、時給換算してタクシーに乗れないような稼ぎだったら、その仕事に価値はない」
その言葉のとおりだ。
僕は移動費をケチることで、時間という最大の資源を、無駄遣いしてしまっていた。
電車に乗る時間があるくらいなら、タクシーに乗って、スマホや取材など車内で仕事をこなすべきだ。年長の人の言葉は、移動中の時間を最適化することで、もっと大きく稼ぎなさい! という檄でもあったのだろう。
電車に乗るいちばんのストレスは、仕事をする気が減退することだ。
スマホもパソコンも使おうと思えば使えるけれど、いろんな人が疲れ果てた顔で乗り合わせている、あの環境で仕事をこなす気持ちを維持するのは、かなり難しい。満員電車ならそもそも、スマホを見ることもできないだろう。
より質よく、多く稼ぐために、移動や住まいには、あえてお金をかけよう。
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堀江 貴文(ほりえ・たかふみ)
実業家
1972年、福岡県生まれ。ロケットエンジンの開発や、スマホアプリのプロデュース、また予防医療普及協会理事として予防医療を啓蒙するなど、幅広い分野で活動中。また、会員制サロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」では、500名近い会員とともに多彩なプロジェクトを展開。『ゼロ』『本音で生きる』『多動力』『東京改造計画』『将来の夢なんか、いま叶えろ。』など著書多数。
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(実業家 堀江 貴文)

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