メールは即レスするべきか。転職ライターの安斎響市さんは「XなどのSNSでは『仕事ができる人はメール即レス』というネタが500万回くらい言われているが、現実世界に、『メールを即レスするだけのポンコツ』は大量にいる。
真に重要なのは、『相手が何を求めているか』を読み取って、適切なタイミングと粒度でそれを差し出せるかどうかだ」という――。
※本稿は、安斎響市『1%の気くばり』(大和書房)の一部を再編集したものです。
■必ずしも、「結論から話す」が正解とは限らない
気くばりできる人は、相手ファーストで話し、できない人は、すべて結論ファーストで話す
相手に合わせて伝え方を変えるには?

●「ちょっといいですか?」ではなく、「何の件で何分ほしいのか」を伝える

●「急ぎでお願いします!」ではなく、「何日までに必要なのか」を伝える
これらの例は、言い換えると、「結論から話す」ということです。
ビジネスにおいては、多くの場面で結論ファーストが求められます。
●報連相では、「何の件か」「結果がどうだったか」「何が課題なのか」という最重要部分を端的に話してから、そこに至る詳細や経緯の説明に入る。

●人事評価面談のフィードバックでは、今期の評価が良かったのか悪かったのかを最初に部下に伝える。そのあとで、理由や改善点を話す。

●営業報告では、商談終了後すぐに「契約が取れたのか、取れなかったのか」だけ上司にメールを入れ、内容詳細や今後のアクションについては後で伝える。
これらも、結局は相手に対する「気くばり」の範疇です。
相手は「良いニュースなのか、悪いニュースなのか」「自分は今何をすればいいのか」という結論をいち早く知りたいと思っています。
それ以外の付随する情報は、結果を聞くまではなかなか耳に入ってきません。
本質は、「結論から話す」のが大事というより、「相手が一番知りたい情報から話す」ことです。

相手がもっとも知りたい情報から話せば、追加で質問したり確認したりする必要がないため、結果的に仕事を効率化することにつながります。
相手の気持ちを真剣に考えているからこそ、「結論が先だな」という行動に至るのです。
状況を問わず、すべてのコミュニケーションが「結論ファースト」であるべきかと言われれば、実はそうではありません。
■転職面接で有効な「STAR」形式のストーリー
相手が「結論ファースト」を求めていない場合は、別に結論は後回しにしたり、最後に話したりしても構いません。
たとえば、転職活動の面接でいえば、「経理実務の中で、年次決算処理関連の経験はありますか」と聞かれたときには「あるか・ないか」を最初に答える必要があります。
Yes/Noで回答可能なクローズド・クエスチョンの場合は、先にYesなのかNoなのかを伝えるのがセオリーです。
一方で、「過去の仕事の中で、もっとも苦労した経験について教えてください」など、Yes/Noで回答できないオープン・クエスチョンの場合は、結論を先に言う必要はありません。
15秒程度で短く淡々と説明されても、「何がそんなに大変だったのか」「その難題をいかにして乗り越えたのか」という本質があまり伝わりません。
過去の経験について、質問に合致するエピソードを語ってほしいというのが面接官側の意図なので、極端に情報量が少ないと採用判断ができません。
こういうケースでは結論は最後にして、何の業務・プロジェクトにおいて(Situation)、そのとき何が課題で(Task)、どんな施策を打って(Action)、どんな結果を得たのか(Result)というSTAR形式のストーリー仕立てで話した方が、相手の反応は良くなります。
転職活動の面接では、あらかじめ45分や60分などまとまった時間を、「候補者の話を聞くため」に確保しています。
結論を急ぎたいのではなく、しっかり時間を取ってあなたの話を聞きたい「聞く姿勢」がある相手に対しては、短く結論だけ伝えるのは逆効果になりかねません。

「結論ファースト」が重要なのではなく、「相手が今求めているもの」をピンポイントで提供するのが大事です。
それが「結論」であれば、結論を先に言います。それが「過程の説明」であれば、結論は最後に回します。
■「メールは即レス」よりも1000000倍大事なこと
真に重要なのは、「相手が何を求めているか」を読み取って、適切なタイミングと粒度(りゅうど)でそれを差し出せるかどうかです。
メールの返信も同じです。
XなどのSNSでは「仕事ができる人はメール即レス」というネタが500万回くらい言われています。
当たり前ですが、仮に「仕事ができる人はメールを即レスする」が正しいとしても、「メールを即レスする人は仕事ができる」は成立しません。
現実世界に、「メールを即レスするだけのポンコツ」は大量にいます。
こういう人たちは、Xなどでビジネス系インフルエンサーが語る「メールは即レス」の毒を大量に浴びてしまったのでしょう。
「結論ファースト」と同じで、「メールは即レス」すべきかどうかも結局は、メールの内容とシチュエーションによります。
たとえば、「メールは即レス」の原則に従って、吟味が必要な案件にもかかわらず、「とにかく早く返信しなきゃ」と適当な内容で返事をしてしまうのは最悪です。
●まだスケジュール調整などが完了しておらず、明確な返事ができない状態で、「現段階では回答できません」と受け手にとってあまり意味のない返信を即日してしまう。


●「メール拝受しました」「確認中です」「上司に相談してみます」など、小まめに何度もメールは来るものの、肝心の進捗が何もないままやり取りだけが増え、逆に余計な手間が増えてしまう。
このように、相手が欲しがっている情報を出さずにただ「即レス」だけしても、ほとんど意味はありません。
■「○○日までに回答します」と期日を設ける
一方で、即レスしなければならないケースも確かにあります。
たとえば、取引先からの問い合わせに対して「関係者に確認したうえで、○○日までに回答します」とすぐに返信することには意味があります。
メールを送信した側にとっては、万が一システムエラーで届いていなかったり、受信箱で埋もれて見落とされたりしていないか、音沙汰がないと不安だからです。
また、「○○日までには回答いたします」という対応であれば、相手は「○○日までにはもらえるんだな」と安心できます。
そして、「○○日じゃちょっと遅いので来週までに何とかお願いできませんか」と追加のアクションを取ることもできます。
あるいは、インサイドセールス(メールや電話・オンライン会議などを使って、顧客と非対面で行う営業活動)など新規開拓営業の仕事で、潜在顧客の一人が勧誘DMに返信をしてくれた場合。
できるだけ早く、御礼と共に次のステップの案内をするのは必須事項です。
可能であれば5分以内に返事をすべきであり、返信は早ければ早いほど良いはずです。
■「即レス」よりも「時と場合」を考えて正解を導く
しかし、実際には、こういった状況でも意外なほど多くの人が「24 時間以内に返信すればいいや」と考えて翌日まで放置したり、ほかの仕事が忙しいからと手が空くまで後回しにしたりしてしまいます。
この行動は、潜在顧客の第一印象を著しく落とすので非常にもったいないです。

こういう場面では、最速で返信をする人が最大の成果を挙げます。
つまりは、「即レス」が正解かどうかは時と場合によって変わるということです。その「時と場合」を相手目線で真剣に考えて見極めることこそが、単純に「即レスすること」よりもずっと大事なのです。
チェックポイント□「相手が知りたい情報」を最優先で伝えていますか?

□あなたの話をじっくり聞きたい人に対しては、「STAR形式」で話していますか?

□「相手にとって価値ある内容」を出せるタイミングを見極めて返信していますか?

□即レスすべき内容と、そうではない内容をきちんと判断できていますか?

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安斎 響市(あんざい・きょういち)

転職ライター

1987年生まれ。日系大手メーカー海外営業部、外資系メーカーなどを経て、2020年より外資系大手IT企業のシニアマネージャー。「転職とキャリア」をテーマに、ブログ、Twitterなどで情報発信を続け、日経BP『日経トレンディ』、東洋経済新報社「東洋経済オンライン」、マネーフォワード「MONEY PLUS」など、多くのメディアで取り上げられている。著書に『私にも転職って、できますか?~はじめての転職活動のときに知りたかった本音の話~』(ソーテック社)、『転職の最終兵器 未来を変える転職のための21のヒント』(かんき出版)などがある。

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(転職ライター 安斎 響市)
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