英語で「なぜ?」と質問する場合には、“Why”がよく使われる。しかし英語習得の専門家、川崎あゆみさんは「英語ははっきりと伝えるイメージがあるが、微妙な言葉のニュアンスが違うことで不快感を与えることもあり、“Why”を使うと、詰問調に聞こえる場合がある」という――。
(第3回/全3回)

※本稿は、川崎あゆみ『思ったことを英語にできる 3ます英語』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

※「崎」は正しくはたつさき。
■「何・どれ・誰」を聞く場合
疑問詞(What/Whoなど)を使って尋ねる疑問文のつくり方にはステップがあるので、まずはそれをご紹介していきます。
「何が好き?」と聞きたいときの流れ
① You like what.→「あなたは何が好き」と思ったら…
② Do you like what?→「質問です!」と知らせる目印・旗(doなど)を立てる
③ What do you like?→いちばん聞きたいこと(What/Whoなど)を最初に言う
「これは質問ですよ」と知らせる旗を立てる
英語では「結論ファースト」の考え方に基づいて質問します。まず「質問です!」の役割があるサポート動詞(doやbe動詞など)の旗を立て、先頭に「何・どれ・誰」などいちばん聞きたいこと(疑問詞)を置きます。
①What(何?)
What is your name?(あなたの名前はなんですか?)
be動詞で「質問」の旗を立て、いちばん聞きたいWhatを先頭に持っていく形です。それと、「名詞のかたまり」があるときは全部を前に持っていきます。
「何が好き…音楽?」⇒「(どんな音楽が好き? ってことかな)」
伝わる! ◎ What kind of music do you like?

あと一歩! △ What do you like music?
②Which(どれ?/どちらの?)
Which is your book?(どちらがあなたの本?)
Which coffee do you like?(どちらのコーヒーが好き?)
③Who(m)(誰か?/誰に?)
Who is he?(彼は誰?)
Who do you like?(あなたが好きな人は誰?)
*文法的にはwhomが正しいですが、会話ではwhoが使われやすい傾向にあります。
④Whose(誰の○○?)
Whose bag is this?(このバッグは誰のもの?)
⑤How(どのように?/どのくらい?)
How was your trip?(旅行はどうだった?)
■How+ ○○…?(どのくらいの長さ・大きさ・時間など)
How(どのくらい)+[many(多さ)/much(量)/long(長さ)/far(距離)/deep(深さ)/old(年齢)/large(大きさ)など]
日本語では「何人?」「何分?」のように「何(what)」を使いますが、英語では「どのくらい?」をあらわすhowを使って尋ねます。
「どのくらい(の長さの)時間がかかる?」

It takes 3 minutes. → How long does it take?
■英語では「多いほうで尋ねる」
数や大きさなどを質問するときは、多いほうで尋ねるのが自然です。最大値を確認したいのですね。
△ How few people are there?

◯ How many people are there?
■「元気?」と質問するときのフレーズ
How are you?(元気?)/How are you doing?(元気にしてる?)/How have you been?(元気にしてた?)/How's everything going?(すべて順調?)/How's your life treating you?(最近どう?)/What's up?(どうしてる?)/What are you up to?(今なにしてるの?)
返答はHi!/I'm doing okay./How about you?のように簡潔でOK。


■質問することに慣れるためのステップ
英語での質問を、いきなり流暢で完璧にできなくても大丈夫です。科学的には成長のステージがあります。少しずつ会話で使えるようになりましょう。
ステージ①語尾を上げるだけ
疑問文がサッと出てこないうちは語尾だけ上げてみましょう。正確な疑問文でなくても、最後まで聞けば「質問」と理解してくれます。
It is good ? ⤴(それはいいの?)

She likes music ? ⤴(音楽が好き?)
ステージ②サポート動詞を先頭に
be動詞のある文ではbe動詞を先頭に、一般動詞のある文ではDo/Does/Didを先頭にします。動詞は原形に。
Is it good?

Does she like music?(彼女は音楽が好き?)
ステージ③HowやWhat(疑問詞)を入れる
WhatやHowを使うと、より具体的な質問に。
How is it?(それはどう?)

What does she like?(彼女は何が好き?)
*アメリカ英語ではWh-の疑問詞を使った質問では語尾を下げ、Yes/Noの質問では語尾を上げます。
■方法・人・場所・時間・理由を聞いてみる
かざりの5種類を質問する方法を押さえておきましょう。使うのは「疑問詞」(how/when/whyなど)。「いちばん知りたいこと」をいちばん前に出します。

①どのように
You read the book quietly.(どのように→how)
How did you read the book?
②誰と
You read the book with your family.(誰と→with who)
Who did you read the book with?
※ 文法的にはWith whomが正しい形ですが、会話ではWho ~ with?が自然に使われます
③どこで
You read the book in the living room.(どこで→where)
Where did you read the book?
④いつ
You read the book last night.(いつ→when)
When did you read the book?
⑤なんのため
You read the book to relax before bed.(なんのため→why)
Why did you read the book?
■頻度・回数・長さを聞いてみる
How often(どのくらいの頻度?)/How many times(何回?)/How long(どのくらいの長さ?)
You read books three times a week.(週3回本を読む)
→How often do you read books?(どのくらいの頻度で本を読む?)
定番フレーズ Why don't we ~?(~しようよ)は提案されている
直訳すると「なぜ~しないの?」、つまり「~しようよ」と相手に提案する定番フレーズです。相手も乗ってくれるだろうという前提で、会話の流れを汲みつつ次の行動を提案するときに使います。
■Whyを使わないほうがいい質問
英語ははっきりとしたもの言いのイメージがありますが、日本語と同様に、微妙な言葉のニュアンスが違うことで不快感を与えることも。
△Why did you come to Japan?

なんで日本に来たの?(詰問的で「来ちゃいけなかったの?」と感じさせることも)
○What brings you to Japan?

何があなたを日本に「連れてきた」の?(→何がきっかけだったの?)
○What made you want to come to Japan?

何があなたを「来たいと思わせた」の?(→どんな思いや出来事があったの?)
○How come you came to Japan?

どうして日本に来たの?(「どんな経緯で来日に至ったの?」というやわらかい表現)
*語順は〈How come + 主語 + 動詞〉でOKです。疑問文の形(Did you ~ ?)にはなりません。How come?のみで「どうしてそうなった?」という意味に。
■この場面で何と言う?
開店時間を尋ねるとき
What time does the store open?
何時に//そのお店は/開きますか?
The store opens at 10 a.m.のように、at+時刻とセットでよく使います。openをcloseにすれば「何時に閉まりますか?」に。
発音の仕方を尋ねるとき
How do you pronounce this word?
どのように//あなたは/発音しますか/この単語を?
発音はpronounce(プロナウンス)、名詞はpronunciation。vocabulary(語彙)、grammar(文法)と並んで、英語学習でよく出てくる単語です。
運動の頻度を尋ねるとき
How often do you exercise?
どのくらいの頻度で//あなたは/運動しますか?
質問になる前の形はYou exercise three times a week.の語順です。How oftenは運動、外食、英語の勉強、会議などあらゆる習慣に応用できます。

駅への行き方を尋ねるとき
How can I get to the station?
どのように/(できる)/私は/到着する/駅へ?
質問になる前の形はI can get to the station by bus.の語順です。なおthe busやthe trainは、時刻や路線など共有のイメージがあるときにtheとセットでよく使われます。
訪日回数を尋ねるとき
How many times have you been to Japan?
何回/(これまで)/あなたは/行ったことがありますか/日本へ?
質問になる前の形はYou have been to Japan five times.など。been to(行ったことがある)、gone to(行ってしまって、まだ戻ってこない)というニュアンスがあります。
「いっしょに行かない?」と相手に提案するとき
Why don't we go together?
なぜ/(しない)/私たちは/行く/いっしょに?(→いっしょに行こう)
直訳は「なぜ行かないの?」ですが、実際には「行こうよ」というやさしい誘いの表現です。Sure./Sounds good.などと答えるのが自然です。

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川﨑 あゆみ(かわさき・あゆみ)

英語講師

最速英語習得の専門家・グロバリ代表。講師歴10年以上、延べ5000名以上に英語を指導。英語力ゼロで、アメリカで自信を喪失した自身の経験から、日本人が英語を効率よく習得し英語でも人生でも成功できる方法を求め、10年以上かけて、独自の「グロバリメソッド」を開発。

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(英語講師 川﨑 あゆみ)
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