スマホばかり見ている子どもはどうすればいいのか。『進化するシン富裕層』(日刊現代)を書いた大森健史さんは「ある富裕層は、スマホを取り上げるのではなく自然と使わなくなるような仕組み作りをしていた。
その仕組みを自分の子どもに実践したところ、効果てきめんだった」という――。(第2回)
※本稿は、大森健史『』(日刊現代)の一部を再編集したものです。
■富裕層が子供の教育のためにドバイ移住したワケ
偏差値より校風や環境などを重視した学校選びはできるのでは、と感じるかもしれません。しかしながら、日本では少しでも偏差値の高い学校に行かせたいという考え方が大多数を占めているため、結果的に高偏差値の学校に優秀な子どもが集まっていることになります。
このことは中学受験者数がこの少子化の中、2025年であっても過去最高を更新していることでも分かると思います。
特に中学受験界のカリスマ塾とも言えるSAPIX(男女御三家トップ校で圧倒的な合格者数を誇る)は小学校1年生から入塾しないと満員で途中入塾が出来ないといった状況にまで加熱しています。
教育に関してドバイに教育移住した30代前半の元会社経営者(M&Aで会社売却)が言っていたのは、「『ドラゴンボール』の『精神と時の部屋』を子どもに与えろ」というものでした。
■逃げられない環境に身を置くのがよいワケ
「精神と時の部屋」というのは、人気マンガ『ドラゴンボール』(鳥山明作)の主人公・孫悟空が魔人ブウというチート級のラスボスとの戦いに勝つために利用したトレーニング空間のことです。そこには優れたトレーニング施設があるわけではなく最低限の宿泊施設しかありません。
しかしながら、その部屋の空気は外の4分の1しかなく、常に10Gの重力がかかり、気温が最高50度から最低マイナス40度まで変動するとされ、あり得ないほどの厳しい環境とされています。しかもその場所で1年過ごしたつもりでも、実際には1日しか経過していないという空間です。そこで孫悟空は修行をして、魔人ブウとの戦いに備えました。

つまり海外の学校に行くメリットは何かというと、友だちや先生と会話をするためには英語で話さなければならないという厳しい環境下に置かれることで、英語が自然と身につくという点です。
外国人の同級生と円滑にコミュニケーションが取れるようになることも魅力でしょう。筋トレをするために、ジムに行くのではなく足に重りをつけて歩くだけという人が時々いますが、それと同じです。
「将来のために英語を勉強しなきゃ」「ジムに行かなきゃ」といった義務感から取り組むのではなく、自動的に負荷がかけられるようにするわけです。
■マンガとゲームを教材に変える方法
日本にいても自動的に英語を学べる環境をつくるために、あるシン富裕層の方は「子どもには、ゲームの言語設定を英語にして遊ばせる」と話していました。
「ゲームをやるなとは言わない。子どもがやりたいことをすべて禁止してしまうのはダメ、隠れてやるようになってしまうから。その代わり、『英語だったらいくらでもゲームをやっていいよ』と言っている」と。
マンガが好きでマンガばかり読んでいる子どもには、アメコミ(アメリカン・コミック=アメリカのマンガ)のアニメを英語音声で少しずつ見せるようにして、「マンガを読んでもいいよ。アメコミの英語版だったら買ってあげるよ!」という提案をするそうです
大型書店に行くと、日本の人気マンガの英語版も売っています。そういうものを買って読ませて、自然と英語が身につくように仕向けているのです。
■お金持ちのスマホの使い方
別のシン富裕層の方は、「僕は子どもにあまりスマホゲームをさせたくない。
だから、あえて画面が小さいスマホしか買わない。画面が小さいと、ゲームをやっていても指でうまく操作できなかったりして楽しめないから、自然とあまりゲームをしなくなるんだよね」と話していました。ゲームが「物理的にやりづらい」仕組みをさりげなく作って、ゲームをしないようにこっそり誘導しているというわけです。
さらに、入れるアプリの数を強制的に少なくするために、スマートフォンは最もメモリー容量の少ない機種を子どもには与えるそうです(iPhoneなら64GB)。
この方は、タイやマレーシアなどで海外駐在員として活躍しながら、独学で暗号資産について調べて2013年に購入し、5年後に数十億円の資産を築いたというシン富裕層ですが、毎朝4時に起きて1時間弱の瞑想を行うことにより精神を整えているといいます。
お金は既に充実していますが、お金をより充実させることよりも心の充実を好み、スマホをなるべく触らないようにしているとも言います。
「スマホ画面って、カラフルだったりいろいろな通知がきたりして、ついついアプリを開きたくなりますよね。だから僕は一日中“夜間モード”の設定で、通知が可能な限り来ないようにして、画面もグレースケールで白黒の設定にして、アプリを開きたくなくなるような仕組みを作っています」と話していました。
■スマホ依存を解消する方法
その方が最近注目しているのがMinimal Phoneというスマートフォンで、画面にE-Paperというモノクロディスプレーが採用されているもので、クラウドファンディングの返礼品になっています。
写真も白黒なのか? YouTubeはどう見えるのか? とさまざまな雑念が湧き出てきますが、シン富裕層の教えを取り込むことがモットーの私も早速、注文しました。
製造者が過去にクラファンでトラブルを起こしたことがある人のようで、モノクロのスマホが本当に届くかどうか不安ですが、これによりデジタルデトックスができれば人として一歩成長できるのではないか? と期待しています(笑)。
子どもだけでなく自分自身に対しても、スマホに無駄な時間を費やさないよう「仕組み作り」をしているというわけです。

ゲームばかりしているお子さんには、「やめろ」と叱るよりも白黒の画面に変更するという方法がいいかもしれません。
実は、私の娘はピアノのアプリを使って毎日レッスンをしているのですが、目を離すとYouTube Kidsを長時間見ていることがわかりました。そこで、娘がレッスン用に使っているiPadを白黒画面にしたところ、レッスンに集中してYouTubeを見なくなったのです(笑)。
娘には「動画ばかり見るからiPadが疲れちゃったんだよ」と説明すると納得したようです。これは本当の話です。
iPadもiPhoneも、ショートカット設定で簡単に画面をシロクロにできます。設定方法を以下に記載しましたのでよろしければ、ご参考にしてください。
1.公式アプリの「設定」アプリを立ち上げ

2.その中のアクセシビリティをタッチ

3.画面表示とテキストサイズをタッチ

4.カラーフィルタをタッチし、その中のグレースケールをタッチ(これで白黒になります)

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大森 健史(おおもり・けんじ)

アエルワールド・代表取締役

1975年生まれ。国際証券株式会社等を経て、現職。投資家・資産家向けの海外生活コンサルティングにも精通し、サポートを行う。

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(アエルワールド・代表取締役 大森 健史)
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