■景気対策のロジックが無理筋
結論から言いましょう。
高市政権は、構造的に長持ちしません。
高市政権の現状をまとめると、「財政は慎重に」「でも景気は良くしたい」「株価は下げたくない」「インフレは困る」「給付は控える」「でも賃金は上げたい」という、ほぼ詰め将棋の盤面みたいな状態です。
しかも感情論と期待値だけで走り始めた政権は、だいたい短命です。数字と構造が味方しない時点で、ほぼ詰んでしまうからです。現政権を好むか好まざるかではなく、構造的に自明なハナシです。
どんな構造か。はっきり言ってもよければ、高市政権は、最初から景気対策のロジックが無理筋です。
「物価高を推し進めて景気が良くなったように見せるやり方」が、高市財政の方向です。大企業の売上が増える。利益が増える。その利益で賃上げする。
言ってみれば“インフレ頼みの景気回復”です。物価を無理やり押し上げて、あとから賃金が追いつくと“期待する”方法。で、“物価だけ先に上がる”と国民が怒るので、怒りを抑えるために初めはバラまく。これは最初から決められている筋です。
春闘で5%の賃上げが確定したら、バラまきは終了。だから電気ガスの補助金も来年は不透明です。2026年1~3月に補助再開の方針が示されても、その「規模・対象・延長可否」は正式決定されていない。いわば物価急上昇の“痛み止め”的な手段なので、効いたら捨てる。そんな扱いです。
ただし、ここまでは構造としては理解できます。でも問題は、その先です。
■株価市場は期待で動き、期待で崩れる
世界のどの国も「物価が先、賃金は後」という順序では成功していません。賃金が追いつかなければ、単なる「生活苦」です。物価だけ上がって生活が苦しくなった国は、全部沈みました。
それでも高市政権は「まず物価、賃金はその後で」と言い続けています。ですが、日本の企業も労働市場も、そんなふうに都合よく賃金が上がる構造ではありません。毎年5%の賃上げが当たり前の国じゃないのは誰もが知る通りです。
僕に言わせれば、最初に置かれた“景気回復ストーリー”自体が無理筋なんです。その無理筋のために、国民の“物価高耐久暮らし”が試されている状態です。
株価の話に移りましょう。
高市政権になって株価が上がった、という報道が続きました。例えば12月9日時点の日経平均は、約5万670円。バブル期の最高値を超えた「史上最高圏」です。
でも、それは政権の実績ではありません。期待です。「らしい」の積み上げです。政策の結果ではなく政策への期待であり、期待で動く市場は、期待で崩れます。これは昔から変わりません。
■手取りは物価に負けている
つまり、実体経済は改善されていません。
2025年10月の名目賃金は+2.6%。一見すると上がっていますが、同じ月の物価(CPI)は+3.0%。結果、実質賃金は10カ月連続マイナスです。要するに、給料は増えているように見えて、じつは物価に負けている。手取りの実感はむしろ減っています。
企業の生産性も上がっていません。
株価だけが上がっていて、実態が付いてこない。いわば完全に、“雰囲気の相場”です。雰囲気で上がった数字は、雰囲気で下がります。温度で膨らんだ風船と同じで、冷えた瞬間にしぼむだけです。
経済を良くするには、政府が財政出動をする必要があります。企業が投資に消極的な国では、政府が先に動くしかありません。ところが高市政権は「一律現金給付はナシ」「消費減税もナシ」。でも、「財政は健全化」と言い続けている。
■“3つの消費源”がすべて止まっている現状
経済は、誰かが消費しないと回りません。これは基本です。
じゃあ、誰が消費するのか。
選択肢は、①政府、②企業、③家計(個人)、この3つしかありません。
まず政府ですが、高市政権は「給付はやりません」。つまり、政府が消費(=支出)を増やす気はない。
次に企業。企業がどれだけお金を使っているかを示すのが「設備投資」です。ところが、日本企業の設備投資は2024~25年にかけて前年比+1~2%程度の小幅増でインフレ率の3%にすら追い付いていない。実質ではむしろ横ばいかマイナスです。つまり、企業は消費をしていません。
最後に個人。個人消費の約6割を決める実質賃金は、2025年10月まで前年比-0.7%で10カ月連続マイナスです。手取りが減っているので、個人は消費を増やしようがありません。当然、家計は財布を閉じます。
つまり、現状はこう。
①政府は使わない(給付しない)
②企業は使わない(実質投資は伸びていない)
③家計は使えない(実質賃金マイナス)
この“3つの消費源”がすべて止まっています。経済が停滞するのは、むしろ当然です。
それでも高市政権は「バラまきはダメ」の一点張りで、財政を出ししぶる。その結果、政府が用意した“景気対策”は、どれも実態を伴いません。言ってしまえば、全部“絵に描いた餅”です。見た目は立派でも、食べられません。
■裾野が狭い政権支持率
では、支持率の構造を見てみましょう。
2025年11月22~23日に行われた毎日新聞の全国世論調査では、現政権の支持率は65%でした。不支持率は23%。この「65%」という数字だけ見ると「十分高い」と感じる人も多いでしょう。
ただ、僕はこの数字を「表面的な“ご祝儀相場”」と捉えています。なぜかと言うと支持の土台、要するに“支持基盤”の安定性があまりにも弱いからです。
高市政権は、熱狂的な保守層の支持は強い。が、その数が少ない。10~20%の固い支持はあるでしょう。でも、政権維持に必要なのは30~40%です。そこに届かない。「とにかく高市早苗を応援する」層だけで、全体を支えるのは無理なんです。
裾野が狭い政策は、跳ねない。
裾野が狭い支持率は、回復しない。
これは歴代政権のデータを見れば明らかです。
狭い支持基盤の政権は、一度つまずくと立て直せません。“支える人”が少ないからです。さらに言うと、高市政権は党内の“敵”が多めであるのも否めません。派閥政治にケンカを売る構造なので、敵が減りません。となると、政権内部の調整コストが常に高くなる。
■高市政権は“短距離ダッシュ型”
内部に敵。
外部に批判。
支持基盤は狭い。
この3点セットは、短命政権の典型的な特徴です。
ネット上では感情的に盛り上がる人が多いですが、実社会は違います。生活者は数字を見ています。財布を見ています。口座を見ています。派手な政治的演出を見てスッキリしても、レシートを見た瞬間に冷めます。
外交のパフォーマンスで拍手していた人たちが、数カ月後にこう言い始めます。
「最近きつくない?」
「なんか物価ばかり上がらない?」
「仕事減ってない?」
これは政権にとっては致命傷です。
冷静に見れば、現政権は“長距離走向き”ではなく、“短距離ダッシュ型”です。最初は勢いがありますが加速ができないとなれば、支持層が離れ、党内の不満が膨らみ、外交のしわ寄せが生活に出て、株価が下がり、期待がしぼみ、音もなく沈む。ちなみに戦後日本の首相の平均在任期間は、約720日(約1年11カ月)と言われています。だいたい2年弱で交代するのが“普通”ですが、高市政権はその半分も危ういでしょう。
そしてある日突然、ニュースになる。
短命政権のよくある終わり方です。
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ひろゆき(ひろゆき)
2ちゃんねる創設者
東京都北区赤羽出身。1999年、インターネットの匿名掲示板「2 ちゃんねる」を開設。2015年に英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。YouTubeチャンネルの登録者数は155万人。著書に『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)、『なまけもの時間術』(学研プラス)などがある。
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(2ちゃんねる創設者 ひろゆき)

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