※本稿は、牧田善二『すごく使える栄養学テクニック』(日本実業出版)の一部を再編集したものです。
■DNAは糖質を欲している
お腹がすいているわけではなくても、口寂しくなると、つい甘いものに手が伸びてしまうことはありませんか?
1つ食べていたものが2つになり、3つになり……とどんどん増えていき、いつしか習慣になっていきます。こうなってしまったあなたは「糖質中毒」かもしれません。
まだ、農耕技術すらなかった頃の私たちの祖先は、木の実や山菜を採取したり、動物や魚を捕まえたりして命をつないでおり、エネルギーとなる糖質は不足しがちでした。そのため、少しでも糖質があれば、脳から「食べろ」という指令が出されるように、糖質を「もっともっと」と欲するようにプログラミングされていました。
そして、私たち現代人のDNAは、遠い祖先が誕生した時代とほとんど変わっていません。
つまり、甘いものや炊きたての白いご飯を「おいしそう」「食べたい」と思うのは当たり前の反応でもあります。
しかし、祖先の時代と違って糖質があふれている現代社会において、脳の命令にそのまま従っていたら、あっという間に糖質中毒になってしまいます。糖質を「もっともっと」と求め続け、その欲求のまま糖質を摂取してしまうようになります。
■「糖質中毒」を抜け出すには、置き換えから
糖質中毒になってしまっては、たとえ摂取カロリーを制限したとしても痩せられません。
「中毒だなんて大げさな。
糖質中毒から脱却することで、短期的に感じられる効果は体重の減少でしょう。それだけではなく、さらに重要なのは糖尿病、腎臓病、心疾患、脳疾患、がん、認知症など、ありとあらゆる病気のリスクを低減できることです。
自分の数年後を見据え、糖質から離れるように行動を変化させていきましょう。
たとえば、白米の代わりに、豆腐やカリフラワーなどを茶碗に盛って食べてみたり、パスタの代わりにシラタキを用いてみたり、ジュースの代わりにハーブティーを飲んでみたりと、脳を騙してなだめすかす工夫をしつつ、少しずつ糖質の量を減らしていきましょう。
「糖質は一切摂ってはいけない」と言っているのではありません。これまで過剰に摂りすぎていたぶんを、時間をかけてでもほかの食材に置き換えていくのです。それが長い目で見たときに、あなたの健康を守ります。
■炭水化物を食べたいなら「茶色」を選ぶ
とはいえ、炭水化物を摂るのをキッパリやめることは難しいと思いますので、ここでは炭水化物を選ぶときのコツをお伝えします。
それは、「茶色い炭水化物」を選ぶこと。
私がなぜ「茶色い炭水化物」をおすすめするのか。それは、そのほうが栄養素的に優れているからです。その理由は、製造工程にさかのぼります。
田んぼから収穫された稲は、乾燥させた後に「籾すり」という作業が施されます。これによって米を包んでいた籾が取り除かれたのが玄米です。さらに、この玄米から外側のぬか層を除去する「精米」作業を経て、白米ができ上がります。
つまり、白米も玄米も元は同じ稲であり、炭水化物です。当然のことながら、どちらも血糖値を上げて太るので、量をたくさん食べないでほしいものです。
ただし、どうしても「お米を食べたい」と思うときはありますよね。そうしたときは、ぜひ玄米を選んでほしいのです。
白米は玄米の外側のぬか層を削るために、そこに含まれていたビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素が減ってしまいます。精米したとしても、あまり削らずに、1分づき、3分づき……など、その度合いが低い米ほど玄米に近い栄養状態が保たれます。ビタミンやミネラルが、健康維持に必須です。
■白米より玄米のほうが、糖尿病や肥満のリスクを低減
また、食物繊維が多く含まれるほど消化のスピードが落ちるので、血糖値の上がり方も緩やかになります。結果的に、白米より玄米のほうが、糖尿病や肥満のリスクを低減できます。
食べるときに玄米だけでは硬さが気になるなら、白米と混ぜて炊いても良いでしょう。その割合は、5:5でも、3:7でも好みで良いのです。ただし、玄米のほうを多めにして、白米の分量を減らすことを意識してみましょう。
パンやパスタの小麦粉についても、同様です。精製された小麦粉でつくる白いパンやパスタよりも、全粒粉でつくるほうが栄養的に優れています。
なお、最近は、アワ、ヒエ、キビなどが混ざった雑穀米も人気です。白米と比較してビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富なものが多いのも事実ですが、健康ブームに便乗しただけで、食べても健康になれない商品も市販されているので注意が必要です。
たとえば、遺伝子組み換えの輸入とうもろこしが混ざっている可能性があるなら、それが健康に良いと考えるのは早計でしょう。
なお、米類に関しても、できれば有機栽培や無農薬栽培ものを選び、それを控えめに食べることをおすすめします。
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牧田 善二(まきた・ぜんじ)
AGE牧田クリニック院長
1979年、北海道大学医学部卒業。地域医療に従事した後、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を約5年間行う。この間、血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、「The New England Journal of Medicine」「Science」「THE LANCET」等のトップジャーナルにAGEに関する論文を筆頭著者として発表。1996年より北海道大学医学部講師、2000年より久留米大学医学部教授を歴任。
2003年より、糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。世界アンチエイジング学会に所属し、エイジングケアやダイエットの分野でも活躍、これまでに延べ20万人以上の患者を診ている。
著書に『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)、『糖質オフのやせる作おき』(新星出版社)、『糖尿病専門医にまかせなさい』(文春文庫)、『日本人の9割が誤解している糖質制限』(ベスト新書)、『人間ドックの9割は間違い』(幻冬舎新書)他、多数。 雑誌、テレビにも出演多数。
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(AGE牧田クリニック院長 牧田 善二 イラストレーション=たけうちあつし)

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