“義実家”への帰省は、夫婦間のトラブルに発展しやすい。男女問題に詳しい日本合コン協会の田中絵音さんは「夫の実家に帰省した際、夫の何気ない一言で妻が傷ついたり、怒りを感じたりすることがよくある。
つねに妻の立場を想像して話すよう心掛けたほうがいい」という――。
■“夫の無神経な一言”に妻がブチ切れる瞬間
年末年始――本来なら家族でゆったり過ごし、1年の疲れを癒やしながら新年を迎える穏やかな時間であるはず。しかし「義実家」というフィールドに足を踏み入れた途端、気遣いでどっと疲れてしまう妻は少なくありません。特に、姑の目は気になるものです。
さらに厄介なのが、本人には悪気がなくても、妻の心をざわつかせる夫の無神経なひと言。今の時期にママ会で最もヒートアップする話題のひとつでもあります。
今回は、仕事柄女性からの相談が多く寄せられる日本合コン協会会長の私が、実際にあった「義実家で妻をイラッとさせる夫の無神経なセリフ」を3つピックアップ。その裏に潜む問題点を年末年始特有のシーンと合わせてご紹介します。
■姑による地獄のファッションチェック
夫の無神経フレーズ①「うちの母は、ああいう人だから諦めてくれ」
義母からの心ない一言や過度な干渉、イヤミや皮肉、家事や育児のプレッシャー……。ヒドイことを言われると、妻がそっと夫に相談することもあります。しかし夫から返ってくる、投げっぱなしなこのセリフです。A子さん(30代・女性)が義実家に帰ったときのこと。
脱いだ靴やコートのタグを姑に細かくチェックされて、「あら~A子さんはいいブランドのものばかり身に着けてるわねぇ」とチクリチクリとイヤミを言われたそうです。しかしそれを夫に言ったら「母はそういう人だから、諦めてくれ」と一言。義母の性格に慣れてくれと言わんばかりの態度にガッカリ……。
■妻だけが我慢しなければならないのか
これ、実はかなりの破壊力があります。
姑の態度を改善させる気がさらさら見られない夫のセリフだからです。妻としては、「私が我慢するのが当然なの?」「あなたは板挟みになりたくないから逃げてるだけでは?」と怒りを通り越して、落胆してしまいます。
本来は、妻から義母に何か言うのは関係性的になかなか難しいもの。だからこそ、実の子であり話もしやすいであろう夫が、2人の関係を調整したり、妻の立場をフォローする役割を担ってほしいものです。
しかし「母の性格だから仕方ない」と片付けられると、妻だけが我慢を強いられる結果に。妻にとって、年末年始の義実家滞在が一気につらい時間に変わってしまいます。姑の態度が改善される見込みがないなら、妻は義実家に帰る気が失せてしまうでしょう。
■「そもそも私の前でそれを言う必要ある?」
夫の無神経フレーズ②「やっぱり、うちの母さんの味が一番だ」
義実家に到着して、姑が作ってくれた年越しそばやおせち料理、お雑煮などをいただいたタイミングで出てきがちな一言。
B子さん(30代・女性)は、夫の「母さんの味が一番」という言葉に悩まされてきました。
夫にとっては「懐かしさ」や「実家の安心感」をお母さんに伝えたいだけかもしれません。しかし、妻からすると日頃の手料理の腕を比べられたように感じますし、姑からもマウントを取られかねません。
「毎日、一生懸命料理を作っているのに!」「そもそも私の前でそれを言う必要ある?」と、妻のモヤモヤが一気に噴出します。
■こうして妻は夫を「マザコン認定」する
さらには「お母さんの味つけ、覚えてよ」と夫が言ったり、義母にも「ウチの味に合わせてね」というような空気感を出されたりすると、妻は完全に居場所を失ってしまいます。度を過ぎると、妻が夫を「マザコン認定」してしまうことも!
年末年始は家でのやることが多い時期だからこそ、料理に関する口出しは、妻にとって余計に刺さるセリフなのです。では、夫は何と言えばいいのか。むしろ義実家では気を利かせて、「妻の手料理はおいしいんだよ」くらい言ってくれた方が、円満になるのではないでしょうか。
■ワンオペ妻の前でドヤる夫が許せない
夫の無神経フレーズ③「ゴミ出しは俺がやってるから」
続いては、義実家で夫が伸び伸びと過ごしながら両親と話しているときに、ぽろっと出る危険な一言。
C子さん夫婦(ともに30代)は共働きですが、家事と育児はほぼ妻のC子さんがワンオペでやっています。夫が唯一やっている家事は「ゴミ出し」だけ。にもかかわらず、義実家で「ゴミ出しは俺がやってるから~」と誇らしげに言って、“家事やってるアピール”をしたそうです。

すると姑は「あら、息子にそんな家事やらせないでくれる?」とC子さんに苦言を呈してきたとのこと。その時はぐっと堪えましたが、内心ははらわたが煮え繰り返っていたそうです。
■自分の見栄のために妻を貶めるひとこと
確かにゴミ出しは助かる家事のひとつ。しかし妻の心の中では「いやいや、家事の中でゴミ出ししかやってないのに、他にもやってる感出さないでくれる?」とツッコミたくなるものです。
C子さんは掃除・洗濯・料理・育児に加えて、年末は帰省の準備など多くのタスクを抱えています。その中で「自分は十分やっている」という態度で言われると、不満が募るのは当然のこと。
親の前でカッコつけたいのかもしれませんが、妻の立場を危うくする発言には気をつけていただきたいものです。
■妻が機嫌を損ねるかは、夫の言動にかかっている
今回紹介した夫のひと言は、無意識であり、本当に悪気がない場合がほとんどです。
「義実家」という夫にとって心安らぐホームに帰ることで、伸び伸びと遠慮なく何でも話してしまうのでしょう。しかし、その無自覚さこそが妻の心を傷つけ、年末年始の義実家を憂鬱にさせる原因となってしまうのです。
無意識にこうしたセリフで地雷を踏み続けると、翌年から妻だけ義実家に帰らなくなることもあります。さらに離婚問題にも発展しかねないので気をつけたいものです。

夫が実家で過ごす際に大切なことは、「妻の立場を想像して話すこと」です。妻にとって義実家は、緊張感があってどうしても気を使ってしまう場所ですからね。また年末年始は、家庭の価値観や役割分担を見直す絶好の機会でもあります。
夫婦にとってより快適な帰省と、妻と義両親との円滑なコミュニケーションの場になるよう心がけたいものです。笑顔でお正月を迎えられますように!

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田中 絵音(たなか・えのん)

一般社団法人日本合コン協会 会長

イベントプロデューサー。恋愛アドバイザー。2000回以上の合コンイベントに携わり、男女の恋愛心理に精通。婚活、デート、合コン、マッチングアプリなど、最新の出会いビジネスに詳しい。識者としてのメディア出演は500本以上。著書に『こじらせ男子の取扱説明書(トリセツ)』ほか国内外で8冊。

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(一般社団法人日本合コン協会 会長 田中 絵音)
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