※本稿は、藤本梨恵子『なぜか機嫌がいい人がやっている100の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■スタンフォード監獄実験で「日に日に囚人役は卑屈に」
同じ両親から生まれても兄弟姉妹で性格が違うのはなぜでしょうか?
要因の1つに役割性格があります。「お姉ちゃんなんだからしっかりしなさい」「弟なんだから、お兄ちゃんの言うことをききなさい」「末っ子だから甘えん坊だね」など人には、生まれつきの性格の他に社会的役割によって作られる役割性格があるのです。
部活のキャプテンと部員、役職者と社員、親と子など役割によって責任感やリーダーシップの発揮に違いがでます。
役割があなたの考え方や振る舞いに影響するのです。
スタンフォード監獄実験では、監獄の空間を再現して「環境が行動に影響を与えるか」を研究しました。被験者を「看守役」と「囚人役」にわけ、それぞれの役割にあった服装をし、囚人役の人たちは、看守役の許可なしに行動できないルールの下では、日に日に囚人役は卑屈に、看守役は威圧的になったと言われています。
■「取締役」という役割を辞任する
ホスピタリティの素晴らしさに定評があるリッツ・カールトンホテルには「紳士淑女をおもてなしする私たちも紳士淑女です」がモットーです。
「私たちは山賊です」と「紳士淑女です」では、考え方から振る舞いまで変わります。
紳士淑女という言葉が上品でマナーや思いやりのある人物を育てるのです。
役割という自分に貼ったラベルが人の価値観や、行動に影響を与えます。
そして、「上司だから部下を教育しなくては」「親だから、子供を厳しくしつけなければ」「夫だから世間知らずの妻に教えてやらなくては」など教育や指導をする役割意識が強すぎて、「取締役」になってしまうと、相手が期待に応えられないと怒り出したり、不機嫌になる可能性が高いのです。
もちろん、リーダーは部下を指導する人と考えるか、部下の能力ややる気を引き出すサポートをする人と捉えるかで、気持ちも行動も変わります。だから誰かを取り締まるのではなく自分も周りも上機嫌でいられる役割、呼び名を見つけることが重要です。
上機嫌でいられる呼び名を考えよう!
■イラッとしたら、一度その場を離れる
火事には「初期消火の3原則」があります。「早く知らせる・早く消火する・早く逃げる」です。
私が考える人の怒りの初期消火の3原則は「①逃げる・②消火・③防火」です。
イラッとする一言を相手に言われた場合、その場に留まりながら、怒りをおさめるのは難しいものです。
芸人の小島よしおさんは、子育てに奮闘しているある日、散髪して家に帰ると奥さんから「いいよね、自由で」と言われ、「俺だっていろいろやってる」と言いたくなりましたが、トイレに駆け込み、冷静になるのを待ちました。
そして、ギャグのポーズで奥さんの前に再登場すると奥さんは「がんばってくれてるのはわかってるのに、つい言っちゃった」と涙を見せたといいます。
このように、一度その場を離れる=①逃げるをすると、上手く対応できます。ヤカンを触って火傷しそうになったなら、まず手を離すことが先です。同様に、怒りが込み上げる場所から離れ、冷静になることが大切です。
■些細な出来事を防火する怒りの数値化
次は②消火です。「なぜ、こんなことを言われなければいけないんだ」と考え続けるのは、火に油を注ぐ行為です。火事に気づいたら、まず犯人探しをするでしょうか?
もしそんなことをしていたら、犯人探しをしている間に家が焼け落ちてしまいます。火を発見したらまずは消火です。同様にまずは自分の怒りの火を消すことに集中しましょう。強い怒りは数秒間しか続かないといわれています。
有効な方法は深呼吸です。友人は10秒爪をみて、深呼吸することでカッとなって怒鳴ることが減ったといいます。顔を洗える状況なら、顔を洗い、興奮で高まった交感神経を鎮めましょう。散歩や飲み物を飲む、好きな動画を見る、運動するなどで落ち着くのもOK。
最後は③防火。これは、冷静な時に腹を立てにくい状況を作ることです。
オススメは怒りの数値化です。例えば、電車で足を踏まれた10点、上司に理不尽に怒られた50点、財布を盗まれた100点など、数値の高い怒りを覚えておくと、今起こった出来事は5点程度で取るに足りないと判断でき、些細なことに感情を揺さぶられなくなります。
イラっとしても大火事にせずボヤでおさめることが大切です。
イラッときたら、その場を離れよう!
■与えたものが自分に返ってくる
最近、誰かに贈り物をしましたか?
アメリカの心理学者エリザベス・ダン氏らの研究によると自分よりも他者にお金を使った人の方が幸福度が高いことが分かっています。
Aさんは、「損したくない」という気持ちが強い人です。友人から奢ってもらうことやプレゼントや仕事をもらうことさえあるのに、近所に住む友人がAさんに「一緒に車に乗せてもらえる?」と聞くと、「悪いけど、ガソリン代もらっていい?」といいます。
過去に自分がしてもらったことは忘れて、「今この瞬間」だけを見て、自分のお財布の中身が減るのが嫌なのです。
友人は、お金を出し惜しみされたというより、友情を出し惜しみされたと感じAさんと疎遠になっていきました。
反対に、お金のない時から友達に自分が読み終えた本をプレゼントする人がいました。すると彼の元には、お返しとしてたくさんの本と情報が集まるようになりました。それが数年続き、彼は海外で有名な作家になりました。
与えたものが自分に返ってくるのです。
■「損したくない」と失われていくもの
お布施にまつわるお釈迦さまのエピソードがあります。
お釈迦さまが弟子と托鉢に出かけた時、道が二股に分かれており、一方は裕福な人が暮らす村。もう一方は貧しい人が暮らす村でした。弟子が裕福な村へ向かおうとするとお釈迦様は「托鉢は、貧しい人の家から回りなさい」といいました。
施しは、米1粒でもいいのです。自分のことばかり考え、人を思いやる余裕もない悪循環から抜け出し、豊かになるきっかけを与えるために托鉢に向かうのです。
イギリスの元首相ウィンストン・チャーチルも「人は得るもので生計を立て、与えるもので人生を築く」と言っています。「損したくない」という思いが強いと、与える喜びを知る機会を失って、結局、一番自分が損してしまいます。
贈り物は笑顔や情報などお金のかからないものでかまいません。
普段から相手の話をよく聞き、相手の不満・不便・不安を理解し、その「不」を解消するような贈り物か、期待や希望を叶えるモノや情報を送ると喜ばれます。そうすることで、あなたが自分を大切にしてくれたと感じるからです。
ささやかなプレゼントをしよう!
■「なんで自分ばっかり」を手放す
面倒な仕事、飲み会の幹事や、家事など「なぜ、私だけ?」「ちょっとは手伝ってよ!」と損した気分になったことはありませんか?
Aさんの仕事はグループで処理が終わった人から、箱から新たなファイルを取り、入力業務を行います。
私は「イライラしない、負担にならない程度にゆっくり入力したら、他の人がやるのでは?」とアドバイスをしました。次の日からAさんは意識的に無理しないよう休憩しつつ仕事をしました。するとAさんがやらなければ、同僚が入力業務を進めたのです。
「私ばっかり……」と思っている時は、責任感から何かをやり過ぎているのです。
無理しなければ、他人にイラつくこともなくなります。まずは、自分でできる範囲で負担を減らしましょう。
やり過ぎてしまう人は自分に厳しい人です。「○○しなければならない」という思いが自分を突き動かしているのです。自分に厳しい人は、他人にも厳しくなりがちです。他人にやさしくしようと思ったらまず自分にやさしくすることが大切です。
■無理は禁物、周りに上手に助けをもとめる
心理学でも親切が継続する人は、自分が負担に感じない範囲で行っているといわれています。無理は禁物。「なんで、自分ばかり……」と思ったら、一旦手をとめて、自分の負担を減らすことが大切です。そのために周りに上手に助けをもとめることも必要です。
必要にせまられて冷静に行動するのはいいですが「早く片づけなくてはならない」などと強迫観念にかられて、本当は必要でないことにまで手をつけると疲れで不機嫌になってしまいます。
「無理をする」とは自分と戦っている状態です。戦いを終わらせ、くつろいで物事に取り組むことが上機嫌の秘訣です。
無理しない!
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藤本 梨恵子(ふじもと・りえこ)
ファイン・メンタルカラー研究所代表
NLP心理学を中心にコーチング、カウンセリング、マインドフル瞑想などの手法を習得し統合。その手法を生かし、キャリアカウンセラー・講師として独立。各企業・大学・公共機関の講演の登壇数は2000回を超え、婚活から就活まで相談者数は1万人を超えている。コーチング、パーソナルカラー、カラーセラピスト、骨格診断ファッションアナリスト等のプロ養成講座の卒業生は500人を超え、個人診断においては1000人を超える。著書に『いつもよりラクに生きられる50の習慣』(かんき出版)などがある。
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(ファイン・メンタルカラー研究所代表 藤本 梨恵子)

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