※本稿は、長谷川智也『中学受験で後悔したこと 失敗しない「頭・時間・お金」の使い方』(講談社)の一部を抜粋したものです。
■基本的には「中学受験はおすすめ」だが…
親子ともにかなりしんどい3年間を経て、某私立女子校に進学しましたが、女子だけの雰囲気になじめない、勉強がきついなどで娘が不登校気味に。一方で地元の公立中学に進学したお友達は、毎日が楽しそう。高校進学も自由な校風の都立高校を目指すと聞いて、娘は落ち込んでいます。そもそも中学受験をして良かったのか、親の私がもっと冷静になるべきだったかとモヤモヤしています」(Nさん)
「そもそも我が家は、中学受験をするべきではなかったかも」という後悔は、合格組からも残念組からも、少なからず聞かれました。また現在、受験勉強真っ最中というご家庭でも、あまりのしんどさなどから「そもそもどうなのか」と迷うことがあるようです。
ここではまず、中学受験の利点をフラットに考えてみましょう。代表的なメリットとしては、次の通りです。
・良質な環境(友人、先生、学校設備、部活)が手に入る
・カリキュラムの優位性
・中高6年間で高校受験が避けられることによるゆとり
・大学受験にアジャストしやすい仕組み
・友人の知的レベルが近い
受験界に長年関わってきた僕には、これらの利点を事あるごとに強調してきた過去があります。また今でも経済的に許すのであれば、基本的には中学受験をすることをおすすめしています。理由は、ここに列挙した通りであり、また箇条書きはメリットが大きい順、と考えてください。
■受験の現場でたまに浮かぶ「はてなマーク」
ただ、一方で、「うーん。
最近は前著3冊の影響もあり、「受験コンサル」と称して、これまで以上に多岐(たき)にわたるご家庭にお邪魔するようになり、さらに全国津々浦々の、いろいろな状況の親子関係や進学の様子を見るようになりました。中学受験での進学はかなり幅広い偏差値帯に散らばっていますし、高校受験組や大学附属校に進学した子の様子も把握しています。
そのうえで、「そもそも中学受験でなくても良かったかも」というご家庭は、毎年10件くらい、確実に存在しています。
先にお断りしておきますと、大学受験で東大や京大などの国公立大や早慶などを目指すのであれば、やはり中高一貫校の6年間で鍛えられたほうが何かと有利です。特に「才がそこそこの凡才タイプ」(僕を含む)や、「知的水準が高かったり、趣味などに偏りがあったりして、小学校の友達と話が合わないような子」は、中高6年間でじっくり、やや厳し目のカリキュラムで鍛えられたほうが、その後の人生においても土台となる学力や胆力が身につくと思っています。
■「家庭もお金も犠牲にした結果がこれか…」
以上を踏まえつつも、「中学受験よりも高校受験のほうがラクだ」という側面は、確かにあります。少子化の影響が出始めているにもかかわらず、2025年中学受験者数は依然として、首都圏で約5万人、関西で約1万7000人います。
その一方で都立高校志願者は減少し、全日制志望予定者は卒業予定者の58.72%、前年から4.57%減と大幅に下落しています(2024年12月時点)。純粋に学力では勝負しにくいものの(高校受験の難しさについては、『中学受験で後悔したこと 失敗しない「頭・時間・お金」の使い方』の中で別途述べています)、都立トップ校では男女の募集枠も撤廃され、競争としてはラクになりつつあります。また、開成や筑駒、灘など、男子の名門校は高校受験のほうがトップ層も薄い印象で、受かりやすいようです。
そのようなことを考え合わせれば、例えば精神年齢が低いうちに、親が日々叱責(しっせき)しながら、親子関係や多大な金銭を犠牲にしたあげくに、そこそこの結果しか得られず、親子ともども疲れ切ってしまった。
■こんなご家庭は高校受験も選択肢に
ここまで読んで、では我が家の場合は高校受験にしたほうがいいのか? と思った方へ。僕から見る「高校受験に切り替えたほうが良かったのではないか」と思えるご家庭の特徴は、以下の通りです。
●子どもの精神年齢が低すぎて、小5の中盤になっても成長の気配がない
●競争心がなく、マイペースを崩せない
●英語が得意、もしくは海外志向で将来は海外で就職したいと考えている
●小さなころから勉強をさせてきたが、中学受験の偏差値50にも届かない(=親のやり方がマズい、もしくは間違っている)
それぞれ、簡単に解説していきましょう。
●「子どもの精神年齢が低すぎて、小5中盤になっても成長の気配がない」について
子どもは身体(からだ)→心→思考、の順番で育っていくそうです。ですから、高い思考力を要するような中学受験上位層向けの問題は、発育の遅い子にはかなりの負担となります。他方、高校受験ではさすがに発育のハンディは限りなく小さくなっています。育ちがややのんびり型の子には、中学受験を無理強いするよりは、高校受験のほうがラクな面はあります。
●「競争心がなく、マイペースを崩せない」について
マイペースで、自分のペースを制限時間に合わせるのが苦手なタイプの子もかなりいます。そういう子は、そもそも受験には不向きになりやすいのですが、高校受験のほうが学力の要求度が低く(つまり簡単。応用内容が少ない)、なんとかなりやすい面があります。精神的に幼い子と同様で、中3の時点なら対応できる可能性がやや高くなります。
●「英語が得意、もしくは海外志向で将来は海外で就職したいと考えている」について
英語を小さなころからやっていたり、インターナショナルスクールに通ったりしているご家庭、もしくは海外出身のご家庭では、国語で苦労します。中学受験の国語に対応するのは、かなり難しいのが実情です。
帰国子女であれば、帰国枠をうまく使えば偏差値の高い学校にも進学することができます。が、その後、学校によっては激戦を勝ち抜いてきた子たちとの差(学力はもとより、活力やバイタリティー、メンタルのタフさ、平たくいえばパワー)をとても感じることになるでしょう。その場合は、英語を活かして私立の高校受験をされることが最も優位性を活かすことになると思います。
国公立大に行きたいとなると、中高一貫校のガチ勢と戦うことになるので、英語特化型の子にはあまりおすすめできません。また、英語を一生懸命やっている方に抜けがちな、「英語で『何』をするのか」という点を意識することも覚えておきましょう。英語を活かして、何をもって社会貢献をするのかを考えておくことが、受験に限らず、進路を考えるうえで大事です。
■一番こじれるのはこのパターン
●「小さなころから勉強をさせてきたが、中学受験の偏差値にも届かない(=親のやり方がマズい、もしくは間違っている)」について
これが最もこじれているパターンです。親主導でやってきた、もしくは塾に任せきりにしてしまい、小5の中盤以降、偏差値50にも届きそうにないご家庭のケースです。
中学受験の偏差値50は、高校受験の60超に相当しますから、本来なら、そのまま最後まで、中学受験を走り切ることをおすすめします。ですが、このうえに、親子間でケンカが絶えなかったり、親子のどちらか、もしくは両方がメンタルを病んでしまったりするような場合は要注意です。
中学受験では、小5の後半から思考系の問題が出てきます。小4くらいまでは、「とりあえず解法暗記」でもなんとかなるし、繰り返し演習で高得点をとれます。が、上位校を意識し始める小5になると、だんだん理解していないと解けないものが多くなり、本当の学力が要求されるようになります。
塾ではこれに対応すべく、式を書いたり図を描いたりして理解を深めていきますが、ご家庭の方針が「とりあえず繰り返す」だった場合や、効率の悪すぎるやり方をしている場合に、下位クラスに固定されてしまう事態が起きます。
僕の視点では、そういう場合でも、子どもが自分から進んで勉強をしていれば、なんとかなります。ですが、この時点で「親が怒るから勉強を嫌々している」状態ですと、改善することはほぼないことが予想されます。
これに当てはまる場合は、高校受験に切り替えることも賢明な選択肢の一つです。
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長谷川 智也(はせがわ・ともなり)
プロ家庭教師
1980年兵庫県明石市出身。高卒の両親のもとに育つもハードな中学受験を経験。白陵中学校・高等学校を経て、東京大学現役合格。卒業後、大手塾に勤務、人気講師となる。2009年独立してフリーランスの「プロ家庭教師」に。
著書に『中学受験 論述でおぼえる最強の社会』『中学受験 論述でおぼえる最強の理科』(エール出版社)、『中学受験 自走モードにするために親ができること』『自考モードにする 中高6年間の過ごし方』『中学受験 奇跡を引き出す合格法則』(講談社)などがある。
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(プロ家庭教師 長谷川 智也)

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