自由でいるためには、モノとどう付き合えばいいか。カウンセラーの藤本梨恵子さんは「片付ける時に『いる』『いらない』で判断しないほうがいい。
所有すれば、囚われるものが増え、少なければ自由でいられる」という――。
※本稿は、藤本梨恵子『なぜか機嫌がいい人がやっている100の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■禅僧が「裸で山に入れ」と説いた理由
部屋が散らかると心も落ち着かなくなります。内側と外側はいつも影響し合っているからです。
例えば、電球が切れかけてチカチカしているとイライラしたり、ストレスで胃が荒れていると肌にブツブツができます。これは、外側が内側に影響し、内側が外側に表れた典型です。
だから、部屋をスッキリさせると気持ちもスッキリします。
「捨てるのがもったいない」とモノを溜め込むのではなく、自分の快適空間がモノに占領されていることが「もったいない」とマインドチェンジすることが大切です。
ドイツ人建築家、ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエも「Less is more 少ないほうが豊かである」といっています。
こんな寓話があります。ある男が、禅僧に「瞑想修行に集中する方法は?」と聞くと禅僧は「裸で山に入りなさい」と答えました。
しかし、男は腰巻を一枚つけて山に入りました。
すると、腰巻をネズミに齧られ、ネズミ退治のために猫を飼い始めました。
■死蔵品に囲まれて生きるな
さらに猫のミルクのために牛を飼い、牛の面倒をみるために、妻を娶りました。やがて子供が生まれると、男は朝から晩まで畑仕事に精をだし、瞑想する時間が全くなくなりました。
数年後、男の元を訪ねた禅僧が、「これはどうしたことか? 修行をしに山にはいったのではなかったのか?」と聞くと、男は「腰巻を巻いて、山に入ったのが失敗でした」と答えたのでした。
このように所有すれば、囚われるものが増え、少なければ自由でいられます。
現代でも個性的な服を買うとそれに合わせる靴や鞄がどんどん増えます。
食べきれず傷んだものが冷蔵庫にある、服が床やソファーに溢れていることもあります。もし、それらが死体だったらどうでしょう? 死臭が漂うその部屋に、1分といられないはずです。死蔵品に囲まれていることは、風水的には、ガラクタが発するオーラで運気が上がらないと考えます。
片付ける時に「いる」「いらない」ではなく、「使っている」「使っていない」で判断しましょう。
使っていないものを捨てよう!

■一軍の服だけにすると運気が上がる
クローゼットの中はお気に入りの服だけになっていますか?
(株)AOKIが働く女性約1000名に行った調査では70%以上の女性が着る服でモチベーションが変化すると答えています。
風水では人やモノは常に「気(エネルギー)」を発生し、「気」を一番吸収するのは「布地」だと考えます。
風水では下着は皮膚から最も近く、自分の出す「気」を吸うので、一年周期での処分が望ましいとされています。
恋人と喧嘩した時に着ていた服を見ると嫌な気持ちを思い出す、職場で着る服はプライベートで着たくないと感じることはありませんか?
これは風水的には、嫌な出来事の「気」を布地が吸っているのが原因です。これは、心理学的には「アンカリング」です。
「アンカリング」とは、五感の刺激から何らかの心理状態が引き出されることです。例えばお店で『蛍の光』の音楽を聴くと、閉店間際だと無意識に感じ、早く帰らなければと思いませんか? これもアンカリングです。
元プロ野球選手のイチロー氏が現役時代に、バッターボックスでいつも決まったポーズをとっていたのも、ゾーンに入り高いパフォーマンスを出すためのアンカリングです。
だから、着るたびに嫌な思い出が蘇る服を捨てて、クローゼットは一軍の服だけにすると運気もパフォーマンスもあがります。
洋服は①好きで着ている②好きだけど着ていない③嫌いだが着ている④嫌いで着ていないものに分かれます。一度整理して、好きな服だけ残してみましょう。
着ていない服を手放す

■物理的な距離とコミュニケーション頻度の相関関係
「あの人と会うと疲れる」「前はよかったけど最近話が合わない……」と感じる人はいませんか?
相手からネガティブな影響を受けない自分になれればいいのですが、繊細な人はどうしても影響を受けがち……。そんな時は、思い切って距離をとっても大丈夫です。
自分が影響されなくなったらまた会ってもいいし、「今の自分には合わないな」と感じたら、そのままフェイドアウトしても問題ありません。

自己啓発などでは「3年間友人関係が変わらなければ、あなたは成長していない」といわれるほど、人は成長に合わせて波長が合う人、合わない人がでてくるのが普通です。
職場で苦手な人を避けられない場合は、できる範囲で物理的な距離をとりましょう。
米国のマサチューセッツ工科大学教授のトーマス・アレンは物理的な距離とコミュニケーションの頻度には相関関係があることを証明しました。この法則はアレン曲線と呼ばれています。
約1.8メートル離れた席の相手と約18メートル離れた相手とでは、明らかに前者の方がコミュニケーションを多く取っています。
また、約46メートル離れてしまうとコミュニケーションをとることはほとんどなくなり、別のフロアや別のビルになると滅多に連絡しないという結果がでています。
■善友が得られなければ孤独に歩め
つまり、苦手な人とは距離をとることが、最善の策なのです。
そもそも、接点がなければ嫌な気分にもトラブルにもなりません。
最近は会社のデスクも自由に席を選べるスタイルを採用している企業も増えました。
もし、できるなら苦手な人と離れた席を選ぶ。会議などでやむを得ず同席するときも離れて座る。部署移動を申し出て、フロアやビルを変えることができれば変える。
出勤時間をずらしたり、営業職ならなるべく外出し、顔を合わさない工夫をするとストレスが減るはずです。
実はお釈迦さまも「悪友を避けて善友を求めなさい。しかし善友が得られなければ孤独に歩みなさい」という意味の言葉を残しています。
「人には親切にして、仲良くしましょう」と良く言われますが、あなたがエネルギーを奪われ、誰かや何かに貢献する機会を奪う人とは距離を置いてもいいのです。
疲れる相手とは距離を置こう!

■自分の思い込みによる制限をはずす
「自分にできるわけがない……」「無理だ……」と諦めていることはありませんか?
人は一度の失敗で、もう一生無理だと思い込んでしまうことがあります。
サーカスの象(=エレファント)は子象の頃に小さな足枷をつけると逃げることができません。成長して力が強くなっても、小さな足枷をつけておけば、幼い時に覚えた「逃げるのは無理」という思い込みがあるので逃げようとしません。
人間も同じです。無理だと思い込んでいるだけで実はやってみたらできること、方法がわかればうまくいくことが多いのです。
NLP心理学では、As(アズ) If(イフ) フレームという手法で「もし~だったとしたら?(肯定的な想定)」と質問し、自分の思い込みによる制限をはずし、新たな可能性を見出します。
普段、自分に不安を煽る質問を投げかけていませんか?
「もし、失敗したらどうしよう……」

「もし、嫌われてしまったら……。そんなの怖い……」
など、「もし」の質問の後に否定的な想定をすると「できない理由」を脳が見つけ出し、やる気をなくし、不安になります。

■脳は「解決方法」を探す質問の仕方
反対に、肯定的な想定で
「もし、できたとしたら、どんないいことがあるだろう?」

「もし、うまくいったら、どんな気分になるだろう?」
と質問すれば、脳は「解決方法」を探します。
ソリューション・フォーカスト・アプローチ(解決志向のアプローチ)で知られるスティーブ・ド・シェイザー氏は「問題についてのコミュニケーションは問題を維持する。解決についてのコミュニケーションは解決を生む」と言っています。
だから「もし、できなかったとすると?」と「もし、できたとすると?」と聞くのでは雲泥の差があるのです。「As(アズ) If(イフ) フレーム」は「もし(As If)+~できたとすると(肯定的な想定)」で使うことがポイントです。
肯定的な解決志向の質問はあなたの可能性を広げ、挑戦する勇気をくれます。
「もし、できたとしたら?」と考えよう!

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藤本 梨恵子(ふじもと・りえこ)

ファイン・メンタルカラー研究所代表

NLP心理学を中心にコーチング、カウンセリング、マインドフル瞑想などの手法を習得し統合。その手法を生かし、キャリアカウンセラー・講師として独立。各企業・大学・公共機関の講演の登壇数は2000回を超え、婚活から就活まで相談者数は1万人を超えている。コーチング、パーソナルカラー、カラーセラピスト、骨格診断ファッションアナリスト等のプロ養成講座の卒業生は500人を超え、個人診断においては1000人を超える。著書に『いつもよりラクに生きられる50の習慣』(かんき出版)などがある。

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(ファイン・メンタルカラー研究所代表 藤本 梨恵子)
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