※本稿は、長谷川智也『中学受験で後悔したこと 失敗しない「頭・時間・お金」の使い方』(講談社)の一部を抜粋したものです。
■「全落ち」は少数派だが、共通点がある
「1月のお試し受験で合格。今思えば、それですっかり私も娘も浮足立ってしまいました。最後の模試で合格圏だった本命校は2月1日に不合格。2日以降も悪夢のように、本命校2回目3回目に落ち、第二志望校まで落ち……。2月8日、第二志望校に繰り上げ合格をいただきました。今は楽しく通っていますが、当時はとにかくつらすぎました。偏差値や学校のレベルにこだわらず、2月1日か2日のうちに合格を一つ押さえておくべきでした」(Kさん)
いざ入試本番へ、出陣前夜。親子としては、本命校を含めてどのように併願校を決めていくか、悩ましいところです。当日の戦い方のポイントについて、後悔の声に学びましょう。
中学受験生の親にとって、「全落ち」は最も恐れる事態だと思います。
●絶対早慶附属、○○以上の学校、など、こだわりが強い
●当日のプレッシャーを考慮に入れていない
●受験生自身がナメた勉強の仕方しかしていない
という特徴があります。
この中でも僕が一番怖いと思うのは、「絶対○○校だ!」と息巻いているご家庭です。こういうご家庭は、現状の学力を冷静に考えに入れずに物事を判断していくので、やっている対策もチグハグだったり、ムダの多いものになったりしやすいです。
■早慶付属にこだわりすぎて玉砕した事例
過去に実際にあった例をお話ししましょう。そのご家庭は早慶の附属校に行きたいと思うあまり、
基礎がまだ甘いのに、固めようとしない
↓
早慶附属に出そうな難しい問題ばかりを家で解いている
↓
模試ではボロボロなのに、過去問ではたまにボーダー近辺に行くのでそのまま受験
ということがありました。結果として惨敗。併願校もまともに受けていなかったため、公立中に進学することになった、という例があります。
当時は僕も若かったので、ご家庭の方針に特に口出しはしなかったのですが、その子の学力ならば、当時の巣鴨や海城であれば普通に受かったでしょう。僕にしてみれば、そういう進学校に行って普通に勉強すれば、早慶くらい大学から行けるのではないのかな、と思えました。
結果として、その子は高校受験でも同じ失敗(=早慶附属ばかり狙う)を繰り返し、結局大学も早慶へは進めず、今も後悔をたまに口にしています。
最近でもまれに「2月1日から3日まで、すべて慶応の附属校を受けます」などと、狂気としか思えない日程を組む方はいます。
■「逆転合格」が可能な子のタイプ
何度も言及していますが、今、特に関東エリアの中高一貫校の中には、気合の入った良い学校がたくさんあります。そもそも「絶対○○」などとこだわる必要もそんなに感じません。僕は実際にいろいろな中高一貫校生のコンサルも行っているので、いっそう実感できています。
昔の評判やこだわりは捨てて、ぜひ偏差値帯を広く考えて併願校を決めていくべきです。
今偏差値が届かなくても、どうしても行きたい、熱望する学校がある、と、合格のミラクルを願う親子もいらっしゃるでしょう。
3冊目の著書『』では、主に逆転合格を果たした生徒たちから学んだ法則を示しました。その中では、読解力や読書経験が多い子、もしくは日能研など後伸びしやすい塾の子などが、逆転合格を数々勝ち取っていく事例を紹介しています。
■家庭学習では偏差値より大事な指標がある
また、『』では取り上げていない、下世話なところを言い添えますと、
●豊島岡などのトップ層の偏差値高騰は気にする必要がない(=あまりに高い偏差値予想が出ても、数値ほどの学力差はない)
●栄東や市川などの1月校は定員よりかなり多めに合格をとる(=偏差値が届かなくても、合格する子がいるという事実)
などもあります。何が言いたいかといいますと、併願校を決めるうえで、偏差値は判断材料に使えますが、同時に、「偏差値に振り回されすぎない」ことが極めて大事だ、ということです。
ブログなどでも、偏差値とは我々プロが使うデータであり、素人が気にする必要はあまりないと提言しています。ご家庭で学習を進めていくうえでは、実際のテストの素点のほうを気にするべきです。
偏差値とは、統計学を応用し、得点帯の人数のバラつきなどを、正規分布といわれるグラフのようなものに置き換え、平均ジャストの子を50とし、わかりやすくデフォルメしたものでしかありません。特に上位の子にとっては、あまり意味のあるものではないです。
平均点が低い試験で、自分が良い点数をとり、十分な受験人数がいた場合は、とんでもない値が出ることがあるのです。過去には偏差値105や210など、笑ってしまうような数字も見たことがあります。
■同じ「偏差値3」の差でも…
四谷大塚でもサピックスでも、偏差値55~65ゾーンの中での差と、65~75のゾーンの中での差は、全く意味合いが違います。例えば、AくんとBくんで偏差値「3」の差があったといっても、前者のゾーンでの話なら、人数がものすごく多い中での差です。
後者ならば、そもそも人数が少ない中での差となります。後者のゾーンでは、それは学力の差ではなく、ケアレスミスを一個してしまったか、くらいのことです。もしお子さんが今偏差値65以上に位置しているならば、10足りないといっても、統計的には正規分布の端っこのほうですから、大きな問題になりません。
一方で、もしお子さんが志望校の偏差値に10足りないという場合。現在、偏差値45~60のボリュームゾーンにいるならば、それは何らかの手を打つべきです。志望校を変えるなど今後の戦略を考えたほうがいいでしょう。
実際の入試では、得点の高いほうからの人数でとっていくので、自分より上の点数の人間が何人いるか、ということだけが重要です。つまり試験当日の倍率と受験人数、合格ボーダー点が問題であり、偏差値そのもので合否が決まるわけではありません。
■「模試でA判定でも不合格」はなぜ起こる?
また、親御さんが「我が子の偏差値だ」という数字は、各大手塾がやっている模試数回の結果です。どこの大手塾もクオリティーの高い模試を実施していますが、どうしても難しい問題から簡単な問題をバランスよく含まざるを得ず、出題範囲も偏りなく、毎年似たような傾向で作っています。
「合不合判定テストやサピックスオープンでの結果も良かったのに、御三家に落ちてしまった」という嘆きもよく聞きます。
開成や灘、筑駒、麻布などの難関校では、いくら普段の模試が良くできて「A判定=合格率80%」が出たとしても、警戒は必要です。同じことは、大学受験の全統模試などと東大入試の関係においてもいえます。
この手の難関校の試験問題は、思考力を本格的に問うものであり、普段の知識や解法の暗記でいける模試で測れる能力だけでは判定は難しいからです。また小5くらいまでの成績が良かったとしても、小5までは基礎内容の徹底や暗記で点数をとれてしまうので、難関校直結の能力がある、とはいえないのが実情です。
■1月受験の結果で冷静に判断を
難関校の判定は、開成オープン、灘模試、など冠模試の判定を第一としましょう。それで全体の受験生の上から半分にも一向に入る気配がないのであれば、相性が悪いか、単純に学力水準が届いていません。
その場合は、少し志望校ランクを下げても良い学校はいくらでもありますから、貴重な初日の入試日に合格率ゼロに突撃するよりは、合格できそうなレベル帯の学校を受験するのが良いと思います。
子ども自身が、偏差値が届いていない学校を熱望する場合もあると思います。その場合は、最後の最後まで行きたい学校を目指せば良いでしょう。しかし1月受験の結果を受けたら、親としては、やはり賢明な判断をしたほうが良いと思います。
特に中学受験の場合は、開成や灘、桜蔭、女子学院などの御三家はもてはやされますが、僕自身は、これらの学校はある種のクセがあり、受験対策をするにも入学後にも、いろいろな心づもりが必要だと感じています。「資格」「特性」がない子にはおすすめしにくいのが本音です。
このあたりも冷静にご判断いただき、大事なのは最終学歴ですから、中学受験は、まずは最後まで健康にしっかり走り切ることを目指していただきたいと思います。
■中学受験の反省を大学受験で活かせばいい
その結果、頑張り切れなかった、大事なところでサボってしまった、子どもではなく「親の受験」のまま終わってしまった、などの悔いを残すこともあるでしょう。でも、それだっていいと思います。反省点をしっかり精査し、次なる大学受験の戦いに活かしていけばいいのですから。
いずれにせよ、「偏差値」というのは統計学的な処理をしている分、あいまいさの残る数字です。中学受験の当事者たる皆さんは、偏差値に振り回されることなく、
●次回の模試の点数が今回よりも1点でも高ければOKとする
●平均点との比較で良い
●最終的には、試験当日、志望校の合格ボーダー点を超えれば良い、と考える
●過去問などでボーダー点をあまりに超えないなら、相性が悪いか、要求されている能力が育っていないので再考の余地あり
以上の考え方のポイントを心得て、受験計画に役立てていきましょう。
■受験直前期の偏差値の考え方
なお併願校を決定していくうえでは、小学6年生、受験直前期の偏差値は次のように見ていくといいでしょう。
(1)秋以降の4回前後の模試で、全体的に上り調子なのかどうか
ほとんどの子は上がったり下がったりのギザギザになると思いますが、その中で一番調子が良かった時と、一番調子が悪かった時を除いて、残り2回くらいが本人の持ち偏差値だと思っていただければ良いです。
(2)最終的な判断に迷った場合は、栄東、大宮開成、開智などの得点の開示をしてくれる学校で、約6割いったかどうか
お試し受験でも気持ちとしては合格が欲しいと思いますが、不合格でもある程度点数をとれていれば、「学力はある」とするべきです。逆に合格でも、決して手綱をゆるめてはならないのは言わずもがなです(すっかり油断することはよくある)。
ただし上位校受験の場合は、その年の平均点にもよりますが、栄東190点くらいは欲しいところ。御三家を目指す場合、1月の栄東で合格をもらえない場合は志望校のランクを下げるべきだとは思います。
偏差値とは何かをよく知り、安易に踊らされることなく、賢く使いこなして戦っていきましょう。
----------
長谷川 智也(はせがわ・ともなり)
プロ家庭教師
1980年兵庫県明石市出身。高卒の両親のもとに育つもハードな中学受験を経験。白陵中学校・高等学校を経て、東京大学現役合格。卒業後、大手塾に勤務、人気講師となる。2009年独立してフリーランスの「プロ家庭教師」に。既存の固定観念にしばられない、生徒個人を見つめた指導で数々の実績を上げる。独自のプログラム「究極の受験セカンドオピニオン・スーパーコンサル」は年間300件を超える申し込みが殺到する。甲冑メタルバンド「武士メタルAllegiance Reign」のベーシストとしても活動中。
著書に『中学受験 論述でおぼえる最強の社会』『中学受験 論述でおぼえる最強の理科』(エール出版社)、『中学受験 自走モードにするために親ができること』『自考モードにする 中高6年間の過ごし方』『中学受験 奇跡を引き出す合格法則』(講談社)などがある。
----------
(プロ家庭教師 長谷川 智也)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
