※本稿は、吉田幸弘『「また今日も、部下が浮かない顔してる…」 これからのリーダー必修「サーバント・リーダーシップ」入門』(きずな出版)の一部を再編集したものです。
■上司の言葉は部下を傷つける凶器になる
何か言うとすぐにハラスメントと言われる時代、部下に気を遣ったつもりが、逆に怒らせてしまったなんて経験がおありの方もいらっしゃるのではないでしょうか。他にも部下のモチベーションを上げようと思って褒めたつもりが、「適当に言っている」「しっかり見ていないじゃないか」といったようにかえって信頼をなくしてしまう……。
ここでは、いくつか部下を凍らせてしまった言葉を紹介し、どのような声かけにすればよかったのかを言い換え、解説していきます。言葉は同じ意味でも表現によって、相手の心に響く行動を後押しする「武器」にもなれば、モチベーションを下げて時にはメンタルダウンをさせてしまう「凶器」になる場合もあります。
せっかくなら「武器」になるような言葉を使いたいものです。しかし、言葉は難しいものです。リーダーとしては武器になるような言葉に思えていても、言われた側からするとそうは思えない言葉、時には狂気に感じてしまう言葉もあります。
私自身が使って部下を凍らせてしまった言葉、私が研修や面談で会った人から聞いた凍った言葉からいくつかをピックアップし、その中から特にお伝えしたい言葉を厳選していきます。それでは見ていきましょう。
■1ミリも嬉しくない上司からの褒め言葉
部下と同期のAさんを例に出し、刺激を与えようとしたリーダーのCさん。
誰かを比較対象にするのは褒める場合も叱る場合もよくありません。「A君に勝ったね」などと褒められても、もしかするとその時はうれしいと思いますが、油断につながりがちです。
逆に「A君は頑張っているよ」と反骨神を煽るのもよくありません。昭和生まれのリーダーならプレイヤーの頃、比較をされてきた方が多いでしょう。でも今はあまり比較されてこなかった世代です。
また、個人同士の比較ばかりしていると「自分さえよければいい」というセクショナリズムに陥る部下が出てくる可能性もあります。
■インセンティブを相対評価→絶対評価に
以前、私がコンサルティングをした会社で、インセンティブを相対評価から絶対評価に変えてもらったことがあります。売上3位以内の人を表彰するのではなく、500万以上の人に変えたのです。
支払う総額は上がりましたが、蹴落とし合いなどがなくなり、メンバー間の情報共有が進みました。結果、会社としての売上も大きく伸ばすことになりました。
よって誰かと比較するのではなく、本人の過去と比較しましょう。過去と比べてどの点が成長しているかを伝えましょう。
たとえば、「以前より新規顧客の獲得件数増えているね」と事実に言及するか、「プレゼン資料にリスク対策など入れていて、きちんと検証しているんだなと思った」といった成長しているポイントを指摘されると、部下も「このリーダーはよく見てくれてるな」と信頼します。この後に、改善点を伝える場合でも、真摯に受け止めてくれるでしょう。
■褒め言葉の代表格「サ行ほめ言葉」
少し前の平成の終わり頃、「部下をとにかく褒めよう」という動きがありました。ハラスメントの問題を過度に恐れて、部下の顔色を窺って「すごいね」と言って、かえって部下のモチベーションを下げてしまった人も少なくありませんでした。
褒め言葉の代表格として「サ行ほめ言葉」があります。「さすが」「知らなかったよ」「すごいね」「せっかくだから教えて」「そうくるか(そんな考え方もあったか)」といった相手をポジティブにさせる言葉がサ行には多くあります。
ちなみにダ行には「だからさあ」「でも」「どうせさあ」といった相手をネガティブにさせる言葉が多くあります。私はこのような言葉を「3Dワード」と言って、使わないようにと日々研修などでお伝えしています。
■「すごいね」には2つの危険が潜む
話は戻ります。「サ行褒め言葉」の中で使うのに注意が必要なのが、この「すごいね」です。
①何がすごいのかわからず、とりあえず上辺だけ言っておけばいいやという点が見え隠れしている
②年上の部下などからすると、ただおべっかを使っているだけのように思われる
この場合、①のケースでは、「3カ月連続で目標の120%達成、すごいね」というふうに「すごいね」の対象を明確にしましょう。
次に②のケースでは、上から目線に感じる言葉は避けるべきです。仮に年上部下Cさんが相手なら「Cさんのファシリテーション素晴らしいですね」ではなく、「どうしたらCさんのように上手くファシリテーションができるか教えてください」と教えを請うことです。
直接褒められると「こんな当たり前にできることをいちいち褒めてくるなよ」と部下は訝るかもしれませんが、「教えてください」という言い方なら「コツが知りたいんだな。まあ教えてやってもいいかな」と部下も思うかもしれません。おだてているようには感じないでしょう。
■令和の新常識「みんなの前で褒めはいけない」
振り返りの際に、「手本になって」と素晴らしいから褒めたのに逆に部下に嫌な顔をされたと相談に乗ってきたリーダーの方がいました。「手本になって」という言葉は明らかにリスペクトの念がこもっていて、言葉としては問題ないでしょう。しかし、この言葉は使わないほうがいいでしょう。
平成時代は「叱るときは1対1で、褒める時は皆の前で」となっていました。実際、私が初めて出版した際には「皆の前で褒めるといい」と書いていました。
叱るのは皆の前でメンツをつぶされたと部下に恨まれないためで、わかりやすいでしょう。しかし褒めるのは部下の自尊心を高めるので、皆の前で伝えるのはいいことじゃないかと思う人もいるかもしれません。
令和時代のメンバーは横の関係も重視します。「自分ばかり褒められて同期の他の人から調子に乗っていると思われたくない」「先輩から仲間外れにされたくない」といったふうに「横の視線」を気にするのです。
■褒め方を間違えると「拷問」になる
ですから、「手本になって」という言い方は仮にその部下に対しては1対1で伝えても、皆の前に出ろと言っているような形で、部下にとっては拷問を感じるかもしれません。
どうしてもその部下の行動を他のメンバーに見習ってほしいなら、「どうしたらCさんのような動きを他のメンバーもしてくれると思う? どう言ったらいいと思う?」とあえて相手に聞いてしまいましょう。
この言い方なら、部下も「あっ、私がミーティングで行動を継続するためにどんな仕組みにしているか話しましょうか」と言うかもしれません。逆に横の関係を気にする場合は「リーダーから私は毎日3件だけアポ取りをやろうとハードルを低くしているんです。でも皆の前で言うのは抵抗ありますよね」などと言ってくるでしょう。
この場合、リーダーが部下を代弁して、言葉の源泉は誰かを伝えずに、その旨をミーティングで皆の前で言えばいいでしょう。
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吉田 幸弘(よしだ・ゆきひろ)
人材育成コンサルタント・コミュニケーションデザイナー
1970年生まれ。
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(人材育成コンサルタント・コミュニケーションデザイナー 吉田 幸弘)

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