いつも機嫌がいい人はどんな言葉を使っているか。カウンセラーの藤本梨恵子さんは「否定語で避けたい状態を言葉にする『慌てずに』という言葉は焦る準備をさせる言葉で、慌てている自分が頭に浮かんでしまう。
そうではなく、落ち着いてご機嫌に過ごすには、優しい響きを持っているアクセル言葉を使うといい」という――。
※本稿は、藤本梨恵子『なぜか機嫌がいい人がやっている100の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■目標にしたい人と共に過ごす
あなたが普段一番長く一緒にいる人は誰ですか?
アメリカの起業家であり、31歳で億万長者となったジム・ローン氏はこう言っています。
「あなたは、最も一緒に過ごす時間の長い5人の友人の平均になる」
この彼の言葉は5人の法則と呼ばれ、いつも一緒に過ごす相手から、話し方やしぐさ、考え方から年収まで無意識に影響を受けるという意味です。
NLP心理学では、すでに目標を達成している人のしぐさ、考え方や行動を自分も真似をして、取り入れることで成果を出すことをモデリングと言います。
Aさんは運動習慣がなかったのですが、ジムに通い出し、トレーナーと話すようになり、体を鍛える意識が高くなり、食事の質に気を配り、エレベーターと階段があったら、迷わず階段を上るようになったと言います。
Bさんは前職で経験がない営業職へ転職しました。Bさんはお客様が一人もいない時から、営業成績のいい先輩たちと食事をし、彼らが何をしているか徹底的に観察し、真似しました。その結果、数年後、Bさんもトップセールスパーソンの仲間入りを果たしました。
自分の営業成績がよくない時に、うまくいっている人と一緒にいるのは、居心地が悪く感じたものの成功者に学ぶことを徹底したそうです。
■出来ることから少しずつ始めて、慣らしていく
自分がうまくいっていない時、成果を上げている人を妬んだり、批判するのは、潜在意識で「絶対に自分はあの人のようになれない」と刷り込みをしています。これではうまくいきません。

「あの人は、何を考え、何をしてうまくいっているのか?」と考えることが大切です。仲が良ければ、直接聞いてみましょう。案外、アドバイスが好きな人も多いものです。
もし、近くにモデルになる人がいなければ、本や動画などから学べます。
潜在意識は変化が嫌いです。昨日まで運動せずに生き残ってきたなら、今日も運動しないほうが生き残れるのではと感じ、最初は腰が重いはずです。でも、負荷がかかるのは最初だけで、すぐに慣れます。
潜在意識を驚かせないように、急にではなく、徐々に自分のモデルになるような人たちと共に過ごし、出来ることから少しずつ試してみましょう。
うまくいっている人から学ぼう!

■人は自己認識が変わると価値観や行動全てが変わる
羨ましいと感じる人がいたら、妬むのではなく、その人から学んだ方が自分の成長や幸せにつながります。
「あの人は、どんな考えで、何をしているからうまくいっているのか?」と考えるのです。
ポイントは「やり方=Do」だけではなく「在り方=Be」を学ぶことです。
「やり方=Do」が行動・手段であるのに対し、「在り方=Be」は考え方、目的、などを示します。
どうやるのかという方法論は応用が利きません。なぜやるのかという考え方がわかっていれば、応用が利きます。
うまくいっている人の「在り方=Be」を学ぶ必要性を、左のNLP心理学のニューロロジカルレベル(人の意識を階層化し、他者や出来事との関わり方を知ることで、自己成長や効果的なコミュニケーションや問題解決に活用できる理論)の図で説明します。
人は自己認識が変わると価値観や行動全てが変わります。
自己認識レベルで「自分=売る人」だと思っているセールスパーソンは、「売上が全て」という価値観で、強引なセールスを行い、結果、お客様から嫌われる環境にいます。
「自分=お客様の良き相談相手」という自己認識を持っている人は、お客様の満足を一番に考え行動するので、お客様の困りごとに耳を傾け、親身になって提案し、お客様に頼りにされ、結果、高い成果を出します。
つまり、「在り方」=自己認識が変われば、考え、行動は自然に変わり結果も変わるのです。
だから、達人の「やり方=Do」だけではなく「在り方=Be」を学ぶことが大切です。磨きたい分野が上達すれば、あなたの自信と幸福度は上がるはずです。
「やり方=Do」より「在り方=Be」を学ぼう!

■否定語で避けたい状態を言葉にしてはいけない
「慌てずに」「緊張しないように」「遅れないように」「汚さないように」
否定語は自分が望むものを手に入れることにブレーキをかける言葉です。
「慌てずに」と言われると慌てている自分が頭に浮かびます。脳は否定語を理解できません。
そして、脳はイメージしたものを実現しようとします。「慌てずに」は、焦る準備をさせる言葉です。
だから、否定語で避けたい状態を言葉にするのではなく、肯定語で望む状態を言葉にすることが大切です。ここでは、避けたい状態を表す否定語をブレーキ言葉。望む状態を表す肯定語をアクセル言葉と呼ぶことにします。
ブレーキ言葉「慌てずに」「緊張しないように」「遅れないように」「汚さないように」

↓変更

アクセル言葉「ゆっくり」「落ち着いて」「定刻までに」「綺麗に」
昔は公衆トイレの張り紙も「汚すな!」とブレーキ言葉で書いてあり、汚い所も多かったと思いますが、今は「きれいに使っていただき、ありがとうございます」とアクセル言葉で書いてある張り紙が増えました。
すると脳はイメージしたものを実現しようとするので、トイレを綺麗に使おうと思う人が増えます。だから、最近の公衆トイレは綺麗なのではないでしょうか?(もちろん設置する自治体の努力もありますが)
■優しく望みを叶える言葉をいつも自分にかける
知人は、プレゼン中に早口になってしまうのを改善しようと「早口にならないように」とブレーキ言葉を書いた付箋をパソコンに貼っていたのを、「ゆっくり話す」とアクセル言葉に書き換えたところ、落ち着いて話せたそうです。
親が、子供が7歳になるまでに躾のために使う言葉は「走らない!」「喧嘩しない!」など否定語がほとんどです。だから、私たちも意識しないと「ゆっくり歩こうね」「仲良くね」など肯定語で話すことが難しいのです。
そして、ブレーキ言葉よりアクセル言葉のほうが、優しい響きを持っています。優しく望みを叶える言葉をいつも自分にかけることで、落ち着いて、ご機嫌に過ごすことができるはずです。

望む状態を言葉にしよう!

■「人に親切にしよう」と思うことの落とし穴
あなたが信じて疑わない信念は何ですか?
人は無意識に信念に突き動かされています。
「人に親切にしなくてはいけない」「他人に迷惑をかけてはいけない」など、これらは一見、良い信念のように感じます。
しかし、信念はモチベーションにもなれば、制限にもなります。
「人に親切にしなくてはいけない」という信念は、思いやりのある人を育てます。しかし、同時に相手を優先しすぎて、自分が苦しくなる場合があります。
私は講座で2人1組のペアで信念のワークをすることがあります。自分の信念を伝え、相方に論破してもらう。それでも自分の信念を言い続けるというものです。
例えばAさんの信念が「他人に迷惑をかけてはいけない」の場合、ペアのBさんに論破してもらいます。
Aさん「他人に迷惑をかけては、絶対にダメなんです」

Bさん「でも、病気で会社を休む場合は他人に迷惑をかけますよね?」

Aさん「それでも、他人に迷惑をかけては、絶対にダメなんです」

Bさん「でも、どんな人も一度も人に迷惑をかけずに生きるのは無理ですよね?」

Aさん「それでも、他人に迷惑をかけては、絶対にダメなんです」
このように、信念を論破するやりとりを何度か続けると「他人に迷惑をかけては、絶対にダメなんです」と頑なに言い続けることに無理があることに本人が気が付きます。
「基本的に人に迷惑をかけないようにするけど、できない時もあるよね。そんな時は、しょうがないと自分を責めない」と思うほうが自然です。

つまり、信念は柔軟性があって初めて機能するのです。あなたの信念がどんなに素晴らしいものでも、頑なに守ろうとすると無理が生じます。
だから、信念は「そのほうがいいけど、そうでなくてもしょうがないよね」と柔軟に受け入れることが大切です。すると、ストレスが減り、物事や人へもしなやかに対応することができるようになるからです。
頑なさに気づいたら手放そう!

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藤本 梨恵子(ふじもと・りえこ)

ファイン・メンタルカラー研究所代表

NLP心理学を中心にコーチング、カウンセリング、マインドフル瞑想などの手法を習得し統合。その手法を生かし、キャリアカウンセラー・講師として独立。各企業・大学・公共機関の講演の登壇数は2000回を超え、婚活から就活まで相談者数は1万人を超えている。コーチング、パーソナルカラー、カラーセラピスト、骨格診断ファッションアナリスト等のプロ養成講座の卒業生は500人を超え、個人診断においては1000人を超える。著書に『いつもよりラクに生きられる50の習慣』(かんき出版)などがある。

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(ファイン・メンタルカラー研究所代表 藤本 梨恵子)
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