※本稿は、藤本梨恵子『なぜか機嫌がいい人がやっている100の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■「自分にも優しく、他人にも優しく」
「自分に厳しく、他人に優しく」と教育されたり、「自厳他寛(じげんたかん)」が四字熟語になるほど、自分に厳しく、というのは世界共通の考え方です。
実は、この考えは悪手。「自分にも優しく、他人にも優しく」が正解です。
セルフ・コンパッション=自分の愛する人を思いやるように、自分のことを思いやることの研究が先駆者であるクリスティン・ネフ氏によって英語圏を中心に進んでいます。
「セルフ・コンパッションなんて、自分に甘いだけじゃない?」「他人を顧みない自分勝手な人の理屈では?」と誤解されることがありますが、自分への慈しみを大切にするセルフ・コンパッションのメリットは、世界中で1000を超える研究からも証明されています。
《セルフ・コンパッション=自分への思いやりのレベルが高い人の特長》
・他者に思いやりを持って、配慮でき、対立した相手に対しても和解案を提案できる
・自己コントロール能力が高く、自分の行動に責任を持ち、必要な時に謝ることができる
・人生への満足感や幸福度が高い
・自信・感謝・楽観性が高い、うつ・不安やストレスが低減される傾向がある
・身体的な健康状態がよい
■優しさの循環は自分がスタート
自分に厳しく、何かにつけて「自分はなんてダメな奴なんだ!」と頭の中で自己批判を繰り返す人ほど、体内で自己防衛システムが働き、ストレスを感じるホルモンのコルチゾールやアドレナリンの分泌が活発になります。
反対にセルフ・コンパッション=自分への思いやりを感じると、幸せを感じるホルモンのオキシトシンなどが分泌されることがわかっています。
つまり、自分に対する思いやりを持っている人の方が、他人に優しく、感情のコントロールができ、目標も達成でき、健康でいられるのです。
結局、自分の機嫌がいい→人にも親切にできる→相手の機嫌も良くなる→人間関係が良くなる→応援者も増える→自分のやるべきことに集中できる→成果があがると人生の良い循環が生まれやすくなります。
自分に優しくしよう!
■傷口に塩を塗るのをやめる
友人からこんな相談を受けたら、どんな言葉をかけますか?
友人「大事なプレゼン大会で、途中で頭が真っ白になって、話せなくて失敗しちゃって……。
あなたは、きっと「誰にでも失敗はある。次回頑張ればいいよ!」などと励ますのではないでしょうか?
間違っても「そりゃ、ひどい。終わったね……。もう君が出世する見込みはゼロだね」と落ち込んだ友人を追い込むようなことは言わないです。
では、自分が失敗した時はどうでしょうか?
「なぜ、もっとうまくできなかったんだ」「自分はなんてポンコツなんだ……」と自分を責めていませんか?
他人には言わないような批判的な言葉を自分には平気で使う。「人には優しいのに自分には厳しい」というのは世界共通の考え方です。真面目な人ほど、自分に厳しい言葉を投げつけます。そのほうが成長すると信じているからです。
実は、失敗して傷ついている自分の傷口に塩を塗るような行為は、自分のパフォーマンスを下げます。怪我をした時に手当てもせずに動き続けたら、傷口が広がっていつか動けなくなりますよね?
人の精神も同じです。頭の中で自分を責め続けていたら、いつか心が壊れてしまいます。とても機嫌良く過ごせません。
■自責の念が強さは、その後の挑戦を阻む
だから、怪我人をさらに痛めつけるような行為をせず、自分に思いやりを持って接することが大切です。
心理実験でも、「自責の念が強い人のほうが、次の失敗を恐れて挑戦できなくなる」「セルフ・コンパッション=自分への思いやりのレベルが高い人のほうが、失敗は失敗で冷静に受け止め、対策を立て、すぐに次の挑戦ができる」という結果がでています。
セルフ・コンパッション=自分への思いやりは、辛い状況にいる友人に接するように、困難な状況にいる自分に接することです。
失敗した時ほど、物事が上手く行っていない時ほど、自己批判ではなく、自分への思いやりが不可欠なのです。
自己批判をやめよう!
■ネガティブ感情も私たちの生存に不可欠
感情にはそれぞれ大きな役割があります。
《ポジティブな感情》
ポジティブな感情は「あの人とお近づきになりたい」「もっとやりたい」など物事への接近行動や継続行動を促します。
喜び:食事と同様、人生に不可欠な栄養。喜びが人を意欲的に物事に取り組ませる。
興味:もっと知りたいという興味から新たに学び、生存の可能性や選択肢を増やす。
楽しさ:楽しいから集中でき、続けられ、創造的になることができる。
満足:味わい尽くしたいという思いが人を積極的にする。
愛情:相手に好意を感じ、理解し、親しくなりたいという衝動を起こす。
このように前向きな感情は、思考と行動の選択肢を増やし、他者との交流を促します。
《ネガティブな感情》
ネガティブな感情は問題発生を知らせるアラートです。このアラートが適切なタイミングと音量で鳴れば、問題解決に必要な行動がとれます。しかし、不安にかられ、何度も施錠を確認するなど日常生活に支障がでるなら、調節が必要です。
怒り:自分のテリトリーへの侵入を知らせ、脅威との戦いを表明し、安全を確保する。
恐怖:危険を知らせ、それを合図に、身体が防衛反応を作動させ、身を守る。
不安:未来に起こり得る脅威、危険に備え、最悪な事態を避けることができる。
悲しみ:大切な人や物を失う=「喪失」とつながる感情。悲しむ自分を誰かが気にかけてくれることで絆を深めたり、孤立しないように人とつながろうとするエネルギーになる。
このようにネガティブな感情も私たちの生存に不可欠なのです。例えば、恐怖を感じた時、私たちがとる選択は「戦うか」「逃げるか」です。
戦える相手だと判断した時だけ、怒りが湧き、自分より強いと本能的に感じたら逃げます。
ネガティブな感情の役割を知り、無闇に否定せず上手に活用しましょう。
私たちは感情に生かされている
■湧き上がった感情は抑え込んではいけない
感情は自然に湧き上がり、流れればいいのですが、堰き止めると苦しみます。
例えば、腹が立っても、怒らず、笑って誤魔化すことで、相手は「この人は怒らない」と感じ、不快な行動を続けることがあります。自分を守るために怒りを表明できなかったということは、自分を見捨てて、相手を優先したということです。
その結果、自己嫌悪や自己否定につながることも。だから相手を尊重しつつ、しっかり自分の意思を伝えることも大切です。
湧き上がった感情は抑え込まず、「今、自分はこんな気持ちなんだな」とあるがまま受け止めることも大切です。
多くの人が悲しみは避けたがりますが、人は深く悲しむことで前を向けるのです。
大切な家族やペットを亡くしたり、病気で余命宣告を受けるなど深い喪失感を覚えた時はグリーフケアが必要です。グリーフとは悲嘆という意味です。
■泣きたい時は思いっきり泣いてもいい
《心理学者エリザベス・キューブラー・ロスの「死の受容の5段階モデル」》
1.否認―「こんなことが起こるはずがない」と現実を受け入れられない状態
2.怒り―「なぜ自分がこんな目に遭うのか?」と怒りを感じる
3.取引―「○○するので、あと少しだけ」と神仏にすがるなど、なんとか回避しようとする
4.抑うつ―「これだけやってもだめなのか」と回避できないと悟り、深く悲しむ
5.受容―「もうどうにもならない」と徐々に現実を受け入れ、心に平穏が訪れる
グリーフケアは、こうした過程を理解しながら、ありのままの感情を受け入れ、苦しい胸の内を誰かに話していくことが欠かせません。このように、感情を抑え込まず、表に出していくことが癒しにつながることも多いのです。
だから泣きたい時は思いっきり泣いてもいいのです。そんな自分を許してあげましょう。そしてその悲しみが心を揺さぶらない程度になったら、それはあなたの宝物となり、人の痛みと人生の意味がわかる人になれるのです。
感情を堰き止めるのをやめよう!
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藤本 梨恵子(ふじもと・りえこ)
ファイン・メンタルカラー研究所代表
NLP心理学を中心にコーチング、カウンセリング、マインドフル瞑想などの手法を習得し統合。その手法を生かし、キャリアカウンセラー・講師として独立。各企業・大学・公共機関の講演の登壇数は2000回を超え、婚活から就活まで相談者数は1万人を超えている。コーチング、パーソナルカラー、カラーセラピスト、骨格診断ファッションアナリスト等のプロ養成講座の卒業生は500人を超え、個人診断においては1000人を超える。著書に『いつもよりラクに生きられる50の習慣』(かんき出版)などがある。
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(ファイン・メンタルカラー研究所代表 藤本 梨恵子)

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