※本稿は、堀江貴文『僕が料理をする理由』(オレンジページ)の一部を再編集したものです。
■寿司屋に修業は要らない
どんなにテクノロジーが進化しても、人間にしか担えない役割は確実に残る。そのひとつが、「コミュニケーション」だ。
会話の間合いや空気の読み合い、相手の気分を察する力――こうした非言語的なやりとりは、AIでもそれっぽくふるまうことはできるが、リアルな人間関係の中で即興的に対応するのは、いまだに難しい。
料理の世界にも、同じことが言える。
僕は以前から「寿司屋に修業は要らない」と言ってきた。これは決して職人技を否定するものではない。むしろ、料理という行為の本質を「接客」だと捉えているからこその発言である。
寿司を握る職人に求められるのは、手先の技術だけではない。目の前の相手の気分やテンションに合わせ、絶妙なタイミングで一貫を出し、その場に合わせた軽やかな一言を添える。
その仕事は、スナックのママが行っている接客と、構造的にはほとんど変わらない。
■料理スキルよりコミュニケーション力
実際、僕がプロデュースしている焼肉店「WAGYUMAFIA」でも、料理人としての経験よりも、コミュニケーション力のある人材を優先して採用している。
調理技術はあとから教えることができるが、人と心地よくやりとりする力は、短期間で習得できるものではないし、マニュアル化するのも難しい。
とはいえ、コミュニケーションが「属人的な才能」によってのみ支えられるかといえば、そうでもない。一定の仕組みや演出によって補うことは可能だ。
たとえば「WAGYUMAFIA」では、「いってらっしゃい」という声かけや、SNSでの写真撮影をお客さんに促す流れまでをすべてオペレーション化している。誰が対応しても、一定以上のホスピタリティーが担保されるような設計にしている。
■料理人には「演技力」が求められる
ただし、最後の〈もう一歩〉はやはり人の力である。
食事の場が華やぐ、共感と温度感をともなった雰囲気づくりは、仕組みではなく、一人ひとりの感受性によって生まれる。コミュニケーション力とは、単に話がうまいということではない。相手の表情の裏にある感情を汲み取り、先回りして行動する力。適切なタイミングで言葉を投げかける余裕。
こうした力は、料理の現場だけでなく、あらゆる仕事においても極めて重要だ。共感と気配りに裏打ちされたやりとりには、ある種の〈演技力〉すら求められる。料理人に向いているのは、実は役者のような人間かもしれない――そんなふうに思うことがある。
料理をするという行為には、「正確さ」や「丁寧さ」といった職人的な要素だけでなく、「見せ方」や「タイミング」といった演出的な感覚が強く求められる。
特にカウンター越しで料理や接客を提供する場面では、目の前の客とどう呼吸を合わせ、どう盛り上げるかが重要になる。
AIが大量のデータを処理し、高度な予測や分析を行う時代において、人間が価値を発揮できる場面は限られてきている。その中で、唯一残り続けるのが「人と人とのあいだ」に生まれるもの――すなわち、コミュニケーションの技術である。
どれだけ技術に秀でていても、人と関係を築けなければ、その技術は孤立する。だからこそ、料理でも仕事でも、今後ますます求められるのはコミュニケーション力になってくる。
■IT業界出身のホリエモンが飲食業に関わるワケ
料理は、やればやるほど上達する。
失敗して、直して、また試す。
実は、飲食店の経営もまったく同じだと思っている。
僕のようなIT出身者がなぜ飲食業にこれだけ関わっているかといえば、理由のひとつは〈PDCAを高速で回せる〉からだ。
飲食店はスモールスタートが可能で、何をやってもすぐに結果が出る。たとえば、ある施策を試したら、1カ月も経たずに数字に表れる。打った手が当たるか外れるかが早い段階で見えるのは、非常に面白い。
■小さな工夫がすぐに数字に表れるのが面白い
僕がプロデュースした「カレーだしっ!」という出汁カレー専門店も、ある意味で実験の積み重ねだ。
もともとのきっかけは、ひょんな出会いからだった。
僕が主催したパーティーで「カレーマン」というカレーブロガーが作ったカレーを食べて、その味に驚いた。「このレベルなら店舗展開できるんじゃない?」と提案したところ、彼はすぐにクラウドファンディングを実施。「カレーマンのだしカレー」が誕生した。
そして、初の実店舗を構えることになった。場所は東京都大田区の池上。
ここを1号店に選んだのにも理由がある。池上は住宅街で平日でも人通りがあり、それでいて家賃がそこまで高くない。つまり、地味だけど手堅いエリア。ここで日常使いの店として成功モデルがつくれれば、他地域にも展開できるという目算があった。実際、メニュー開発もあれこれ試しながら進めている。
たとえば、原価率をあえて高めに設定してでも、クオリティーを追求したカレーパンを作ってみたり、気温や天候に応じてスパイスのブレンドを微調整してみたり。
経営会議という名の「試食会」を定期的に開いては、みんなで味を確認しながら施策を検証している。まさに、実験を楽しんでいる感覚だ。
最近では「子連れのお客さんにもっと来てもらうにはどうすればいいか?」というテーマでスタッフと議論した。
出てきたアイデアはさまざま。
ミニサイズのカレーを50円で提供してみたり、アイスキャンディーを無料配布してみたり、子ども用の塗り絵を用意して、それを壁に飾る仕組みを作ってみたり。
こういう小さな工夫が、実際に「刺さったかどうか」はすぐにわかる。1カ月もすればリピート率や来店数に表れてくる。それを見ながらまた改善する。このサイクルが本当に面白い。
■型を変えないことは美学ではない
店舗でも他の仕事でも、一度決めた〈型〉を延々と守り続ける人がいる。「変えないこと」に美学を見出しているように見えて、実際は「変えるのが怖い」か「めんどくさい」のどちらかじゃないか?
変化を怠った結果、気づけば時代に取り残されていた――なんてことは、現代のビジネスでは十分起こりうる話だ。
飲食店の仕事は本当に楽しい。だけど、ひとつだけ悩みがある。
それは、試食が多いことだ。以前は定期的にダイエットをしていたけど、最近はそれもままならない。しかも、試食で出てくるものがどれも美味しいと、ついつい食べ過ぎてしまう。
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堀江 貴文(ほりえ・たかふみ)
実業家
1972年10月29日、福岡県生まれ。実業家。SNSグループ株式会社ファウンダー。
現在はロケット開発や、アプリのプロデュース、また予防医療普及協会理事として予防医療を啓蒙する等、様々な分野で活動する。会員制オンラインサロン『堀江貴文イノベーション大学校(HIU)』(http://salon.horiemon.com)では、500名近い会員とともに多彩なプロジェクトを展開している。
著書に『小学ゼロ年生 7歳からの進路相談』(小学館集英社プロダクション)『体力が9割 結局、動いた者が勝つ』(徳間書店) 『僕が料理をする理由 AI時代を自由に生きる40の視点』(オレンジページ)など多数。
その他詳細はhttps://zeroichi.media/
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(実業家 堀江 貴文)

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