■英語が話せないのは才能や努力不足ではない
「英語は中学・高校で6年間も勉強したはずなのに、まったく話せる気がしない……」
英語を勉強中の人や30代、40代のビジネスパーソンから、私は何度もこの言葉を聞いてきました。
「簡単な自己紹介すらとっさに口から出てこない……」
「会議で海外メンバーの英語が聞き取れない……」
こうしたことがあるたびに、「自分は英語のセンスがないのでは」と感じてしまう……。
そう落ち込む人もいるかもしれません。
最初に断言しておきますが、日本人が英語を話せないのは、決して努力や才能が足りないからではありません。
私は公立高校の普通科から専門学校へ進み、英語とはほとんど無縁のキャリアを歩んできました。学生時代の英語の成績は平均以下で、30代に入ってから初めて受けたTOEICは280点。そんな私が30代になってから英語を学び直し、TOEIC940点(リスニング満点)を取得して、現在はタイを拠点にノマド生活を送りながら英語のオンラインコーチとして活動しています。
元“英語難民”だった私でもTOEICで900点以上とれたのですから、皆さんもしっかり勉強すれば英語力を高めることができます。
ただ、当たり前ですが、時間はかかります。
■英語学習は日本からイギリスに徒歩で行くようなもの
日本人が実用レベルの英語を習得するのに、いったいどれくらいの時間が必要かご存じでしょうか?
答えは、2200時間です。
どういうことかというと、数ある言語の中でも、日本語と英語はもっとも遠い言語と言われているんです。
言語学に「言語間距離」という概念があって、これはある言語と別の言語がどれだけ似ているか、または構造的に離れているかを示すもので、その距離が遠いほどその言語の習得に時間がかかるという考え方です。
この言語間距離で見ると、日本語と英語はももっとも距離が離れている言語の一つだといわれています。語順や発音、文法構造、文化的背景などにほとんど共通点がありません。
アメリカ国務省の付属機関(FSI)の調査では、英語を母国語とする人が日本とを習得するのには約2200時間の学習が必要とされています。これは、日本人が英語を習得する場合も同様です。
計2200時間ということは、毎日2時間勉強して約3年、1時間なら6年、30分なら12年かかる計算です。日本(東京)とイギリス(ロンドン)の直線距離は9600キロ程度ですから、海や山などを加味せず時速4キロで一直線に歩くと2400時間。
たとえるなら、日本人が英語を習得することは、日本からイギリスまで徒歩で向かうようなものなのです。
時間がかかって当たり前。短期間で身に付くと思うほうが、現実を見誤っています。
■「話せない」のは、反復が圧倒的に足りないから
では、なぜ中高6年間も英語を学んだのに話せないのか。私が考える理由はシンプルです。英語に伸び悩んでいる人は、「反復量が決定的に不足している」のです。
単語を一度覚える。文法を一通り理解する。それで「できた気」になって、次へ進んでしまう。しかし、人間の脳は繰り返さなければ定着しません。これは英語に限らず、受験や資格試験の勉強でも同じです。
たとえば私がリスニング力強化のために「シャドーイング」(英語を聞きながら真似して発音する学習法)を毎日30分続けて、明確な変化を感じたのは4カ月目でした。ところが多くの英語学習者は、3カ月前後で挫折します。皮肉なことに、成果が出始める直前でやめてしまう人が多いのです。
英語学習はセンスの良し悪しではありません。正しい内容を、正しい量で、正しく反復するかどうか。それだけで結果は大きく変わります。
■忙しい社会人が英語を続けるための「継続の5カ条」
英語学習でもっとも多い失敗は、「正しい学習法を知らないこと」ではありません。
①小さく始める
まず1つ目のポイントは、「小さく始める」ことです。目標を立てたり計画をつくったりするタイミングは、誰でもやる気が高い状態です。そのため、「毎日2時間勉強する」「平日は必ずシャドーイングを1時間やる」など、つい欲張った計画を立てがちになります。
しかし、最初に立てるべきなのは、「どんなに忙しくても、これくらいなら余裕でできる」レベルの計画です。私はこれまで英語コーチとして何十人もの生徒を見てきましたが、多くの方がスタートダッシュを頑張りすぎて、2カ月ほどで中だるみし、3カ月を待たずにフェードアウトしていきました。
英語学習にスタートダッシュは必要ありません。むしろ、スタート時こそ「物足りないくらい」でちょうどいいのです。
②ゼロの日をつくらない
仕事や家事、子育てなどで忙しい日常の中で、毎日まとまった時間を確保するのは簡単ではありません。体調がすぐれない日だって、精神的に余裕がない日だって当然あるでしょう。
だからこそ、「最低限でも“できた”と認めるしくみ」をつくることが大切です。
英語学習は、1日サボると2日、3日、1週間……と空きやすくなります。完全にやらない「ゼロの日」をつくってしまうことが、挫折への入り口です。どんなに忙しくても、どんなに疲れていてもできる量。それを基準にしておくことで、英語学習は“生活の一部”になります。
■「何のために英語をやるのか」を明確にする
③完璧を目指さない
多くの人が、計画通りに進まなかっただけで「今日は失敗だ」と考えてしまいます。しかし、英語学習において完璧な計画達成を目指すのは現実的ではありません。
予定外の残業や急な用事、体調不良など、社会人であれば計画通りにいかない日のほうが多いはずです。それでも、「5分だけでもやった」「1ページ進めた」のであれば、それは立派な前進です。
完璧主義になると、小さな遅れを許せなくなり、自己嫌悪に陥り、やがてモチベーションが途切れます。続けられる人は、完璧を求めず“前に進んだ事実”を評価しています。
④無駄なことをやらない
英語学習では、「手当たりしだいに手広く勉強する」よりも、TOEICが目的ならTOEIC対策に集中する、英検が目的なら英検対策に絞るというように、「必要なことに絞る」ほうが重要です。映画やニュース、英会話、アプリ……と手を広げすぎると、努力の割に成果が見えなくなります。
努力したのに成果が出ないと、心が折れてモチベーションが一気に下がります。これが「成果を焦って挫折する」人の典型例です。英語は短距離走ではありません。正しい方向で努力を積み重ねていれば、結果は必ず後からついてきます。
⑤継続を目的にしない
最後に大切なのが、「継続そのものを目的にしない」ことです。「1年続けると決めたから、何があっても続けなければいけない」のように考えてしまうと、継続が“目的化”してしまいます。でも、本来は、「海外で仕事をしたい」「英語で会議やプレゼンができるようになりたい」「人生の選択肢を増やしたい」など、「英語を身につけてこうなりたい」というゴールがあるはずです。
継続はあくまで手段。「何のために英語をやるのか」を定期的に思い出してください。
■英語は、人生の選択肢を広げる
英語ができるようになったからといって、それだけで人生が劇的に変わるわけではありません。
私自身、TOEICという客観的な指標を通じてチャンスをつかみ、現在の自由な働き方につながりました。
日本人にとって、英語学習は簡単な挑戦ではありません。だからこそ、反復を重ね、淡々と続けることが何より大切です。英語学習に近道はないんです。
イギリスまで歩くつもりで、一歩ずつ。それが、英語を本当に自分のものにする、もっとも現実的な道なのです。
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マーク(村木幸司)(むらき・こうじ)
英語コーチング協会認定コーチ
大手自動車メーカー勤務時代に、英会話教室でネイティブ講師に英語を習うも、ろくに会話もできず、TOEICは毎回300点台。しかし、英語の基本文法を学び直したところ英語学習に目覚める。TOEICのスコアも劇的に伸び、その英語力を活かして海外出張や海外駐在を経験。現在は脱サラして、英語コーチング協会認定コーチとして、基本英文法やTOEIC対策をオンラインで教えている。X(旧Twitter)でのピクトグラムを使った英語解説が話題になり、フォロワーは6万人以上。
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(英語コーチング協会認定コーチ マーク(村木幸司))

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