※本稿は、犬塚壮志『「説明」がうまい人がいつも頭においていること』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
■プレゼンは完璧だったのにガッカリされたワケ
プレゼンテーションが終わった後、こう質問された場面を想像してみてください。
「素晴らしいプレゼンでした。で、もし一番言いたいことを一言で言うと、何になりますか?」
こんなとき、説明がうまくない人は、途端に言葉に詰まってしまいます。
「え、えっと……大事なことはたくさんありまして、Aも重要ですし、Bという視点もあって、つまりその……」
プレゼンで話したたくさんの情報を、自分自身でさえ一言に凝縮できていないのです。これは、プレゼンテーションに最も重要な「幹」がない状態です。たくさんの美しい葉(情報)が生い茂っていても、それらを支える幹がなければ、すぐに倒れます。
一方で、説明がうまい人は、この質問に即座に、そして力強く答えます。
「ありがとうございます。一番お伝えしたかったのは、『この新サービスで、お客様の待ち時間を半分にできる』、この一点です」
彼ら彼女らは、話す前からこの「幹」を明確に頭においています。プレゼンのすべての葉(情報)が、この幹から伸びているため、一貫性を持って聞き手に届くのです。
この「幹」の有無は、プレゼンテーション全体の構造に決定的な違いを生みます。
■説明がうまい人はストーリー仕立てに話す
説明がうまくない人は、集めた情報をスライドに順番に並べていく作業、つまり「情報提供」だけでプレゼンを終えてしまいます。聞き手の頭には、無味乾燥なデータの断片が残るだけです。
しかし、説明がうまい人は、その情報を「ストーリー」として再構築します。聞き手の心を動かす物語の脚本家となるのです。
「まず、当社の現状ですが、売上は前年比5%減です。次に顧客アンケートの結果ですが、満足度は3.2点です。そして、競合A社の動向ですが……」
「私たちは今、売上が前年比5%減と大きな壁に直面しています(課題)。しかし、接客やデザートメニューはA社のものよりも良い、というお客様が多数いました(発見)。この光を頼りに、私たちは新たな冒険に出ることを決意しました(解決策)。その先には、最高の未来が待っていると、私は信じています(ビジョン)」
後者の説明には、課題の中に、光を発見し、解決して、未来のビジョンに向かっていくというストーリーがあります。
どちらのプレゼンが、聞き手をワクワクさせ、応援したい気持ちにさせるかは、火を見るより明らかでしょう。
■もったいぶって話したほうが良いワケ
優れた物語に、巧みな「伏線」が張られているように、説明がうまい人のプレゼンには、聞き手の知的好奇心を刺激する仕掛けが施されています。
説明がうまくない人は、最初にすべてを話してしまいます。「本日の内容は、AとBとCです。まずAですが……」と。これでは、聞き手は「これから聞く話は、この三つだな」と予測できてしまい、それ以上の興味が湧きません。
しかし、説明がうまい人は、あえて情報を小出しにし、聞き手の頭の中に「?」を灯します。
「このプロジェクトが成功した理由は、いくつかあります。しかし、その中でも決定的な要因となった、たった一つの『魔法の言葉』がありました。その言葉については、プレゼンの終盤でお話しします」
このように、ミステリー小説のように謎を提示することで、聞き手は「その魔法の言葉とは何だろう?」と、最後まで前のめりで話を聞いてくれるのです。
■正論を言うだけでは感動は生まれない
「プレゼンは、あくまでロジカルに、淡々と事実を伝えるべきだ」
そう考える人もいるかもしれません。もちろん、論理は不可欠です。
説明がうまい人は、論理的な正しさと同じくらい、「熱量」を大切にします。これは、ただ大声で話したり、聞こえのいい言葉を並べたりするということではありません。
心理学者のバーロら(1969)が提唱した「信憑性の三要素」というものがあります。人が話の信憑性を判断する際、「安全性(この人は敵ではないか)」「専門性(この人は詳しいか)」、そして「力動性(りきどうせい)」の三つを見ているというものです。
この「力動性」こそが、熱量の正体です。つまり、話し方がエネルギッシュかどうか。自信に満ちた、熱量のある話し方は、それだけで話の信憑性を高め、相手を説得しやすくするのです。視線を相手に向け、自信に満ちた顔つきで、上半身を動かしながら、語尾まではっきりと話す。すると、熱量を伝えることができます。
■今日から使えるプレゼンのテクニック
最後に、プレゼンテーションにおける最も高度な、しかし最も効果的な考え方をお伝えします。
説明がうまくない人は、プレゼン資料を完璧に作り込むことに全力を注ぎます。
しかし、説明がうまい人の考え方は、まったく違います。
プレゼンの本編を「5割の頑張り」に、あえて留めておくのです。そして、残りの5割のエネルギーを、プレゼン終了後の「質疑応答」に注ぎ込みます。
なぜなら、説明がうまい人は知っているからです。どんなに完璧なプレゼンをしても、それはしょせん一方通行の「演説」に過ぎない、と。聞き手の満足度が最高潮に達するのは、自分の疑問が解消され、自分の知りたいことが聞けた「対話」の瞬間であることを。
説明がうまい人は、プレゼンの中に、意図的に「余白」や「空白」を作っておきます。聞き手が「あれ?」「そこ、もっと詳しく知りたいな」と、自然に質問したくなるような「気になるポイント」を、あえて詳しく話さずに残しておくのです。
そして、案の定、質疑応答でその「空白」についての質問が飛んでくる。「待ってました!」とばかりに、その質問に対して、準備しておいた最高の答えを返す。
この瞬間、聞き手は、「自分の疑問に、的確に答えてくれた」という強い満足感とともに、あなたへの絶大な信頼を寄せることになるのです。
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犬塚 壮志(いぬつか・まさし)
教育コンテンツプロデューサー/士教育代表
福岡県久留米市生まれ。元駿台予備学校化学科講師。大学在学中から受験指導に従事し、駿台予備学校の採用試験に25歳の若さで合格(当時、最年少)。駿台予備学校時代に開発した講座は、超人気講座となり、季節講習会の化学受講者数は予備校業界で日本一となる。2017年、駿台予備学校を退職。独立後は、講座開発コンサルティング・教材作成サポート・講師養成・営業代行をワンオペで請け負う「士教育」を経営する。著書に『あてはめるだけで“すぐ”伝わる 説明組み立て図鑑』(SBクリエイティブ)、『理系読書 読書効率を最大化する超合理化サイクル』(ダイヤモンド社)がある。
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(教育コンテンツプロデューサー/士教育代表 犬塚 壮志)

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