※本稿は、犬塚壮志『「説明」がうまい人がいつも頭においていること』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
■オンライン会議の発言が「独り言」になっている人の特徴
あなたは、こんな経験がないでしょうか。
ZoomやTeamsを使ったオンライン会議。あなたは画面の向こうにいる相手に、一生懸命に説明をしています。しかし、相手の反応は薄く、うなずいているのかさえ定かではない。手元の資料に視線を落として説明を終え、ふと顔を上げると、そこには静寂と、感情の読めない数人の顔が並んでいるだけ……。
「……伝わった、のだろうか?」
そんな、まるで手応えのない壁に向かってボールを投げているかのような、孤独な感覚。リモートワークが普及した現代において、多くの人がこの「オンライン説明の壁」に直面しています。
その根本的な原因は、話し手と聞き手の間に生じる、二つの「困難」にあります。
話し手側の困難:聞き手の情報、特に説明中のリアクションが得にくい
聞き手側の困難:話し手と投影資料の両方を見ながら音声も聞くため、集中力の維持が難しい
説明がうまくない人は、このオンライン特有の困難を無視し、対面と同じ感覚で話そうとします。しかし、その結果生まれるのは、一方通行の「独り言」と、聞き手の「よくわからなかった」という静かな諦めだけです。
■対面会議との決定的な違い
では、説明がうまい人は、オンラインという特殊な環境で、何を頭においているのでしょうか。
それは、オンラインのコミュニケーションが、対面とはまったく異なるルールで動く「別のスポーツ」であることです。そして、画面からは伝わってこない「見えない空気」を読み解き、それを補うための技術を、常に意識的に駆使しているのです。
(会議の開始時間と同時に)「はい、では時間になりましたので、早速ですが本日の議題についてご説明します。まず……」
説明がうまくない人は、相手が聞く態勢を整えているかを確認しないまま、いきなり本題に入ってしまいます。しかし、画面の向こう側の聞き手は、まだ別の作業をしていたり、スマートフォンを触っていたりするかもしれません。物理的に同じ空間にいないという油断が、聞き手の集中力を著しく低下させるのです。
「皆さん、お集まりいただきありがとうございます。本題に入る前に、お願いがございます。もし可能でしたら、説明中はできるだけカメラをオンにしていただけると、大変嬉しいです。皆さんの表情を見ながらですと、私も安心してお話しできますので」
説明がうまい人は、まず聞き手が説明に集中できる「環境」や「態勢」を、話し手側でデザインします。聞き手に「あなたは見られていますよ」「この時間は、この話に集中するためのものですよ」と意識を持ってもらうことで説明の土台を固めるのです。
■「いつもの2倍」元気に話す
オンラインと対面の違いは、得られる「非言語情報」の圧倒的な差にあります。
「(いつもと同じトーン、同じ表情で)……というわけで、このプランAが最適だと考えています。何か質問はありますか?」
聞き手「(心の声)……なんだか覇気がないな。本当に自信があるんだろうか……? しかも、どこを見ているのかわからないし、質問しづらいな……」
説明がうまくない人は、この非言語情報が著しく欠損するオンラインの特性を理解していません。オンラインでもいつも通りのトーン、いつも通りの表情で話してしまうため、その熱意や真剣さは半減して相手に届いてしまいます。
「(いつもより少し高い声で、笑顔を意識し、カメラのレンズを見ながら)……というわけで、私はこのプランAが最適だと確信しています!(少し身を乗り出しながら)皆さん、この点について、ぜひ率直なご意見を聞かせてください!」
聞き手「(心の声)熱意が伝わってくるな。我々に語りかけてくれているのがわかる」
オンラインの場では、すべての表現を意識的に「倍」に増幅させることをお勧めします。これは、コミュニケーションメディアが持つ情報伝達能力の「豊かさ(リッチネス)」を評価する「メディアリッチネス理論」(Daft et al.,1986)というものがベースにあります。
■オンライン会議とメールは「大げさ」でいい
対面での会話のように、即座のフィードバックが可能で、声のトーンや表情といった複数の非言語的な手がかりを伝えられるメディアは「リッチ」であり、オンライン会議やメールのように、伝えられる情報が制限されるメディアは「リーン」とされます。
この「倍の演出」は、このリーンなメディアで失われがちな情報を話し手が、意識的に補うのです。例えば以下のようなことが考えられます。
声のトーン:普段より少しだけ高く、明るく。
表情:口角を少し上げることを意識し、驚きや納得といった感情を、少しだけ大げさに顔に出す
ジェスチャー:普段より少しゆっくり、大きな動きで。カメラの画角に収まる範囲で、身振り手振りを加える
視線:手元の資料や相手の顔ではなく、「カメラのレンズ」を見る。これが、聞き手に「あなたに話しかけている」と感じさせる最も重要な技術です
この「倍の演出」は、プライベートな場面でも絶大な効果を発揮します。
例えば、遠方に住む両親とビデオ通話をする場面。「元気だよ」といつも通りのテンションで言うのではなく、少しだけ笑顔を大きくし、「元気だよ! 父さん、母さんはどう?」と少しだけ声を張る。その小さな演出が、画面越しでもあなたの元気を何倍にもして相手に届け、安心させてくれるのです。
■「傍観者」を「参加者」に変える方法
オンラインで最も焦るのが、相手の反応が薄く、重苦しい沈黙が流れる瞬間です。
「……以上が、今回の企画の概要です。(シーン……)……えーっと、何か、ありますでしょうか……?」
説明がうまくない人は、この沈黙に耐えきれず、焦りから、さらに一方的に話し続けてしまいます。しかし、聞き手は「発言していいタイミングがわからない」と躊躇しているだけかもしれません。
「……というのが、今回の企画の概要です。少し駆け足で話してしまいましたが、皆さん、ついてこられていますでしょうか? もし大丈夫そうなら、Zoomのリアクションボタンで『拍手』か『いいね』を押してもらえますか?」
(聞き手たちが、リアクションボタンを押す)
「ありがとうございます! では、次にBさん、今の説明で一番『なるほど』と思ったのはどの部分でしたか? 一言で結構ですので、教えてください」
説明がうまい人は、沈黙で焦りません。
名指しで問いかける:「○○さんは、どう思われますか?」と具体的に指名する
簡単な質問から入る:「この中で、特に興味を持ったのはどの部分ですか?」といった、答えやすい小さな質問から始める
デジタルツールをフル活用する:Zoomの「リアクションボタン」や「チャット機能」の利用を積極的に促す。「質問がある方は、いつでもチャットに書き込んでくださいね」と一言添えるだけで、発言のハードルはぐっと下がります
この考え方は、オンライン飲み会のようなプライベートな集まりでも役立ちます。「最近どう?」と漠然と振るのではなく、「○○ちゃん、最近始めたって言ってた、あのゲーム、もうクリアした?」と具体的に問いかける。
この小さな工夫が、会話のキャッチボールを生み出し、場を盛り上げるのです。
----------
犬塚 壮志(いぬつか・まさし)
教育コンテンツプロデューサー/士教育代表
福岡県久留米市生まれ。元駿台予備学校化学科講師。大学在学中から受験指導に従事し、駿台予備学校の採用試験に25歳の若さで合格(当時、最年少)。駿台予備学校時代に開発した講座は、超人気講座となり、季節講習会の化学受講者数は予備校業界で日本一となる。2017年、駿台予備学校を退職。独立後は、講座開発コンサルティング・教材作成サポート・講師養成・営業代行をワンオペで請け負う「士教育」を経営する。
----------
(教育コンテンツプロデューサー/士教育代表 犬塚 壮志)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
