※本稿は、世界の働き方研究所『労働時間を貯めて、休日に変える⁉ すごい 世界の働き方』(新星出版社)の一部を再編集したものです。
■休暇・休息の規則が細かいヨーロッパ
ヨーロッパの「EU労働時間指令」には、休暇や休息に関しての細かな決まりがあります。具体的には、「労働時間が6時間を超える場合には適切な休憩」、「24時間ごとに少なくとも連続11時間の休息」を確保するということが義務付けられているのです。
年次有給休暇の日数に関しても、最低4週間(20労働日)が保証されており、これは日本と比較して長期に設定され、ヨーロッパ全体で取得率も高い水準にあります。
一例として、ドイツでは平均付与日数29日に対して取得日数は27日で取得率は93%、フランスでは平均付与日数31日に対して取得日数は29日で取得率94%。日本の有給休暇取得率は63%と欧州に比べ低い水準ですが、一方で国民の祝日が16日と多い点が特徴でしょう。
ヨーロッパでは、労働を人生の中心にするのではなく、休息や私生活を重視する価値観があり、バカンスと呼ばれる3~4週間の長期休暇を取る文化が根づいています。逆に休暇を取らない労働者は、業務効率が悪いとみなされる傾向もあるようです。
■アメリカで広がる「有給病気休暇」
アメリカには、労働時間や解雇規制と同じく、休暇に関しても連邦法上の統一された決まりがありません。「○時間働いたら○時間は休む」や、「付与すべき有給休暇の最低日数」などの法的拘束力のある決まりがないため、各企業の裁量に大きくゆだねられている状態なのです。
ただし、近年は州法のレベルで規制が導入されています。
もちろん、現実的に休みがないというのはありえないので、休暇制度が存在しないわけではなく、企業の裁量で週の勤務日数や有給休暇が決められます。アメリカでは有給休暇を、PTO(Paid Time Off)などと呼び、民間企業では12日程度が与えられるのが一般的です。
■最長1年も休める「サバティカル休暇」
ヨーロッパでは、年次有給休暇以外にも、いくつか特徴的な休暇の制度があります。その1つが「サバティカル休暇」です。ワーク・ライフ・バランスの向上や人材の流出防止、優秀な人材の確保のため、フランスやスウェーデン、フィンランドなどで導入されています。
フランスのサバティカル休暇は、主に同一企業に6年以上勤務をした労働者を対象に、6~11カ月の休暇が取得できる制度です。休暇の目的としては、リフレッシュや自己啓発、ボランティア活動といったように原則として制限はありませんが、休暇期間は無給になるのが一般的です。スウェーデンやフィンランドでは、最長約1年間にわたって休暇を取得でき、期間中は一定の手当が支給されるケースもあります。
ちなみに、サバティカル休暇は、ヨーロッパの固有の制度ではなく、アメリカの大学や研究機関では伝統的に採用されていたり、近年では、日本でも一部の大企業でも導入されていたりします。
■労働時間を“貯蓄”できる制度とは
もう1つの特徴的な制度が、ドイツやフランス、オランダ、ベルギーなどにある「労働時間貯蓄口座制度」です。制度の内容は国や企業によって異なりますが、基本的には、残業や休日出勤といった超過労働時間を、「労働時間貯蓄口座」に積み立て、あとで有給休暇として活用する仕組みです。
最大の特徴は、超過労働の対価を割増賃金ではなく、まとまった「時間」、つまり休暇として支給する点です。これにより、繁忙期には集中して働き、閑散期には長期休暇を取得するといったような柔軟な労働時間配分ができるのです。
ドイツでは、貯蓄した時間を年次有給休暇と組み合わせて長期のバカンスに活用したり、早期退職の際に退職日前の「有休消化期間」として活用することも認められています。
■近い将来「週休3日制」が現実になるか
日本では、一部の自治体や企業が取り組み、大きな話題になることがありますが、ヨーロッパではすでに「週休3日制」の実現に向けた社会実験が行なわれています。
代表的な事例としては、アイスランドでは2015~2019年に労働人口の1%超にあたる2500人以上が参加するトライアルが、英国では2020年には70社以上、3300人以上が参加するトライアルが実施されたのです。どちらも賃金を維持した状態で週休3日制が施行されました。
多くの組織で、サービスの品質維持や向上、ワーク・ライフ・バランスの改善、ストレスの緩和といった肯定的な結果になり、参加した企業からは「週休3日制を続けたい」という意見が多かったそうです。
この動きはスペインやデンマーク、ベルギー、アイルランドなどヨーロッパ各地に広がっており、さらに、アメリカでもコロラド州やウエストヴァージニア州、テキサス州などで同様のトライアルが開始されています。
■欧州「週休3日制」の優れた特徴
実は、ヨーロッパで進む週休3日制のモデルは、日本の企業で試験的に導入されるものとは少し異なる点があります。日本における週休3日制は、「週の労働時間を変えない、つまり1日の労働時間が延び(圧縮労働時間制)、給与を維持する」、あるいは「1日の労働時間を変えずに労働時間を減少させ、給与も減額する」という仕組みが主流です。
しかし、ヨーロッパのトライアルで行われているのは、「1日の労働時間を変えずに労働時間を減少させ、給与を維持する」というモデルです。ヨーロッパで給与を維持できた背景には、時間ではなく業務単位で仕事を管理するのが一般的であり、「効率的に終わらせれば早く帰る」という労働慣行がある事が影響しているでしょう。
実際に、ヨーロッパの週休3日制のトライアルでは、給与が維持されることで、労働者の業務効率に対する意識が高まり、生産性を高める働き方を実現した企業が少なくなかったと報告されています。
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世界の働き方研究所
アメリカとヨーロッパをはじめ、中国やインドなどの「労働環境」や「労働慣習」「教育システムとの連携」「現在の労働の形式に至った歴史的な経緯」などの調査や研究、また、日本の働き方との比較を行なっている。
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(世界の働き方研究所)

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