仕事の忙しさを軽減するには、どうすればいいのか。『AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣』(アスコム)を書いた越川慎司さんは「名前がつかないような“ムダな仕事”を改善すれば、余計な負担を減らせる。
たとえば、接待や歓送迎会でのお店探しや毎朝の服装選びには、もっと効率的なやり方がある」という――。(第6回)
※本稿は、越川慎司『AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣』(アスコム)の一部を再編集したものです。
■「名もなきムダ仕事」は意外と多い
本書では、ビジネスパーソンの足を引っ張る「名もなきムダ仕事」として、まずは「資料づくり」「メール・チャット」「会議」などの「あるある」をご紹介しています。
しかし、ムダはまだまだありますよね。たとえば、カジュアルウェアを導入した企業では、「いったい、何を着ていけばいいのだろうか」という、実にどうでもいいけど、なかなか答えの出ない悩みや、引き継ぎがうまくできずに余計な仕事が増えてしまうなど、さまざまな場面でムダな仕事は増殖し続けています。
本稿では、大きなくくりには入らないものの、誰しもが1度は遭遇したであろう「ムダな仕事あるある」について言及します。
「名もなきムダ仕事」とひと言で言っても、「自分の工夫でどうにかできるもの」と、「上司や会社を動かさなければどうにもならないもの」があります。今回ご紹介する対策も、今までご紹介した対策の応用とお考えいただければ、今後、どんなムダな仕事があなたに降りかかっても、落ち着いて対処できます。
■ネットで「お店探し」は危険
営業先でお世話になっている方の接待から、社内の歓送迎会まで、「お店探し」というのも、意外なほど時間を浪費しますよね。
本来の業務をおろそかにするわけにもいかないので、何とか時間をやりくりして、飲食店紹介サイトや検索エンジンで探すのですが、なかなか「広さ」、「値段」、「料理」、「雰囲気」、「立地」などがバシッと決まる店は見つからないものです。
ヘタすると10店近くいろんな店を探して、お店と料理の画像やお客の評価を頼りにして、いざ行ってみると「あれ、なんか思っていたのと違うなあ、こんなに狭かったっけ」「もう少し、落ち着いた感じがいいのに、思ったより騒がしいな」こんな経験、誰しも1度はあるのではないでしょうか。
すべての候補店を下見したうえで、時間をかけて決定できれば理想ですが、忙しいなかそうもいかず。
結局、ネットだけの下見で決めて失敗して、気まずいなか食事をしなくてはならない羽目になります。
問題は、お店の写真が「もりもり」になっていること。撮り方で広く見せていたり、ラグジュアリーさを演出していたり。カメラマンの腕に感心しますが、選ぶほうとしては「だまされた」感を抱いてしまいます。
この「場所探し」は、意外に時間のかかる頭の痛い問題ですよね。
■「オンライン秘書」「総務部・営業部の社員」をフル活用
最新の解決策としては、最近、注目されている「マイクロアウトソーシング(機能細分化による企業再生術)」で、外部のオンライン秘書を利用するという手があります。
私は実際にオンライン秘書を利用していますが、チャットで会場の条件を伝えると、あっという間に条件を満たした会場やお店を提案してくれます。月4万円程度で20時間の業務を引き受けてくれるものもあります。会場場所の複数リサーチや業者のリサーチまでプロに依頼できるのです。
とはいえ、これは会社としての導入の話。一社員では難しいでしょう。それに、お店の雰囲気まで考慮してくれるかどうか、わかりません。

ここは、社内で「お店のデータベース」を持つ達人を頼るのが得策です。あるいは、その方のデータベースを共有し、引き継ぐようにしておく。
いつも、お店探しを担当している総務部の社員や、長年営業部で活躍し、商談や接待で使えるお店を熟知している社員は、どの会社にも1人や2人いるものです。時間をかけて自分でネット検索するより、知っている人から聞くほうが効率的ですし、安心です。実際に行ったことがあるので、お店の内観まで知っていることも大きな理由です。
なぜなら、ネットで検索して見つけたお店を下見もなしに使うと、個室であっても、すぐとなりの部屋に商談内容がダダ漏れということもあるからです。
ネットやSNS全盛の時代ですが、過信すると痛い目にあいます。社内の人的リソースはバカにならないのです。
■「カジュアルウェア」は時間を奪う
「最近、わが社も『働き方改革』に取り組んでいてね。さっそく、オフィスでのカジュアルウェアを導入したよ」
そんな話、よく耳にします。
率直に言えば、カジュアルウェアの導入は、働き方改革でもなんでもないと思うのですが、どうも、管理職の方たちというのは、「形から入る」のがお好きなようで、カジュアルウェアを導入すると、働き方改革に取り組んだ気になるのです。もしかすると、かつて話題になった「カジュアルフライデー」が頭に残っているのかもしれません。

それはそうと、今まではスーツを着ていればよかったのに、いきなり「来週から、カジュアルウェアを導入します」と言われて、困った方は多いのではないでしょうか。
毎日、何を着て会社に行くか迷ってしまい、気分はまるでファッションモデルのごとし……。あまり、ラフな格好だと、職場にはそぐわないし、かといって堅すぎるとスーツと代わり映えがしません。TPOを考えると、もうドツボ。
こんなふうに、どうでもいいことで悩む時間は本当にムダですよね。こういうとき、女性は普段からおしゃれに気を使っているので、意外と平気です。
困惑するのは、会社ではスーツ。普段着はTシャツ、外出はポロシャツ(いわゆるゴルフウェア)しか着ていない男性社員たち。「何を着てもいいよ」と言われると、かえって何を着たらいいかわからず、結局ゴルフウェアに行きついてしまいます。事実上の「ゴルフウェア制服」状態です。職場がゴルフ場のレストハウスみたいになってしまうのです。
■「スティーブ・ジョブズ」「ビル・ゲイツ」はいつも同じ服だった
スティーブ・ジョブズが、三宅一生デザインのタートルネックをいつも着ていたのは有名ですよね。
ほかにも、ビル・ゲイツはいつも同じジーンズとポロシャツですし、ザッカーバーグもいつも黒いシャツとジーンズです。
同じ服装をしている理由は、「服装を選ぶ時間がもったいないから」。そんなことにエネルギーを使いたくないという合理的な考え方です。
あるアメリカの大企業の役員は、靴下に穴が開いていることを指摘されて、「新しい靴下を買うのは時間のムダだし、靴を履いていれば見えないのだから問題ない」と、一笑に付したそうです。
基本的に、あなたが何を着ていようが、誰もたいして気にしていないと悟りましょう。オフィスファッションショーの観客はゼロなんです。ある程度の鈍感さは必要です。
せいぜい、気を利かせた同僚が、「その服、似合っていますね」と言ってくれたり、先輩社員が、「今日はお得意先に謝罪に行くから、ネクタイはしろよ」と言ってくる程度のこと。要は、「会食に行ったら、1人だけジーンズだった」みたいな、場違いでなければ、おしゃれに気を使った服装をする必要はありません。
■“ダサい”と言われても貫いていい
自分で着心地がよい服装を3パターンぐらい持っておいて、それを着まわすのも手です。今回は黒いシャツとジーンズだったら、次は白いシャツとジーンズ、その次は黒いシャツとチノパン……といった組み合わせをずらしていくのです。ファッション好きでも、シャツやパンツの組み合わせを変えて楽しんでいます。

定番のパターンを決めるうえで大切なのは、仕事のしやすさとか、自分の快適さとか、その服装を着ることで、仕事のスイッチが入るとか、そういうことです。
ダサいと言われようが何だろうが、ゴルフウェアが快適であれば、それで通せばいいのです。やがて、誰も何も言わなくなります。

----------

越川 慎司(こしかわ・しんじ)

クロスリバー代表

元マイクロソフト役員。国内および外資系通信会社に勤務し、2005年に米マイクロソフト本社に入社。2017年にクロスリバーを設立し、メンバー全員が週休3日・完全リモートワーク・複業を実践、800社以上の働き方改革の実行支援やオンライン研修を提供。オンライン講座は約6万人が受講し、満足度は98%を超える。著書に『AI分析でわかったトップ5%リーダーの習慣』、『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』(共にディスカヴァー・トゥエンティワン)、近著に『29歳の教科書』(プレジデント社)がある。

----------

(クロスリバー代表 越川 慎司)
編集部おすすめ