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▼第2位 「怖い」と言い残し妻は2歳息子と出て行った…家事も育児もする自称いい夫(36)が自分の暴力性に気づくまで
▼第3位 子どもの学歴と年収は「生まれ」で決まる…最新研究で判明「頭のいい子が育つ裕福家庭」が幼少期に徹底すること
子どもの将来は親の所得で決まるのか。拓殖大学教授の佐藤一磨さんは「階層が固定化する傾向にあるアメリカやイギリスほどではないが、日本も親の年収が子どもの年収に少なからず影響している。しかし生まれによる不利から脱する方法はある」という――。
■親子の「目に見えない共通点」
親が金持ちでないと、子どもは金持ちになれない――。
そんな言葉にドキッとする人も多いのではないでしょうか。「まさか」だけど「もしかしたら」――そう考えてしまう場面は、確かにあります。
たとえば、街中の親子を見て「似ているな」と感じるとき。顔や骨格だけでなく、落ち着きや話し方、価値観といった“目に見えないもの”まで、親と子どもが驚くほど似ている場面は多く見られます。
ましてや、現代社会においてはこの「似る」という現象が、学歴や収入といった経済的な領域にまで広がっているという現実があります。
■東大生の約20%が年収1250万円以上の家庭出身
東京大学学生委員会の『2023年度 学生生活実態調査』によれば、「世帯年収1250万円以上」の家庭出身の東大生は全体の20.4%。さらに「950万円以上」の家庭を含めると、その割合は42.2%にも上ります。
一方、日本の平均世帯年収は約536万円(厚生労働省「国民生活基礎調査」、2024年)。
このような家庭では、子どもに早い段階から習い事や受験準備に投資できるため、教育環境の差が学力や進路の差に結びつきやすい。そこに「大学ブランド」と「高収入の職業」がリンクし、生まれた家庭の経済力が子どもの将来の収入に直接影響する構造になっているのです。
このように考えると、「親が金持ちでないと子どもは金持ちになれない」は、もはや“疑問形”ではなく“傾向”になりつつあるのかもしれません。資本主義における能力社会では、これはある程度仕方がないことだと考えられます。
■階層の固定化がより重要な論点に
しかし、ここでより注目すべき論点は、「親の収入と子どもの収入は、どれほど強く結びついているのか?」という点です。
たしかに、親の経済力が教育環境に影響を与え、結果として子どもの収入にも影響があるという構造は読み取れます。
では、その力はどの程度強いのでしょうか。
たとえば、もし「親が金持ちなら100%子どもも金持ち」であるなら、それはもはや「身分制社会」と言えます。生まれた瞬間に人生のコースが決まり、努力の余地がない――中世の貴族制度と変わりません。
一方でその関連が10%程度なら、「親が低所得でも高所得層に飛び込む可能性は十分ある」、つまり“努力で切り開ける社会”と言えるわけです。
では現代日本や欧米諸国はどちらに近いのでしょうか? 100%に近い「階級社会」か、それとも10%に近い「流動社会」か――その中間なのか。
そして、親の所得が子どもに与える影響を弱めるには何ができるのか。どの政策が有効で、個人・家庭として何ができるのか。
本稿では、これらの問いに対して最新の研究と実証データをもとに答えていきたいと思います。
■親と子の収入の関係を測る物差し
この「親の所得の影響がどれほど子どもに及ぶのか」を測るために、研究者が使ってきた指標があります。
それが「世代間所得弾力性」というものです。
この指標が高いほど、「親の所得の変化が子の所得に強く反映される社会」です。逆に低いほど、「親の所得の多寡に関わらず、子どもの所得が決まりやすい社会」であると言えます。
この世代間所得弾力性を使った分析の結果、「どの国が階層固定社会」で、どの国が「流動性の高い社会」なのかがわかってきました。
たとえば、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンといった北欧諸国では、世代間所得弾力性が男性で0.1~0.25、女性で0.005~0.02と非常に低い値を示しています(*1)。これは「親の所得が低くても、その影響が子どもの所得にほとんど反映されない」=「生まれの影響が小さい社会」と言えるでしょう。
一方、アメリカやイギリスでは、世代間所得弾力性が男性で0.3~0.5、女性で0.3程度と高い値を示しています。つまり「親の所得が高ければ子の所得も高くなりやすい社会」、つまり階層固定性の高い社会と解釈できます。
■アメリカンドリームはもう“死んだ”のか?
かつてアメリカといえば、「出自や階級を問わず、努力次第で誰もが成功できる」というアメリカンドリームの国でした。
名門大学に行くのも、起業して富を築くのも自由。どんな生まれであっても、「勤勉とチャレンジで人生を変えられる」──そんな夢が信じられていたのです。
しかしいま、その夢が「崩れつつある」と言われています。
アメリカの研究によると、1940年生まれの男性の約95%が「父親よりも高い所得」を得ていました。つまり、“ほとんどの人が親世代より豊かになれた”時代です(*2)。
ところが、その割合は世代を追うごとに急落。1984年生まれ(現在40歳前後)の男性で、父親より高い所得を得たのはわずか41%しかいませんでした。
つまりアメリカでは、努力よりも“生まれた家”が、人生を左右する社会に変わってきているということです。
「貧しい家庭に生まれても這い上がれる」――そんなアメリカンドリームは、すでに過去のものになってしまったのかもしれません。
■日本の「所得弾力性」はいかほどか
では、日本はどうなのでしょうか。
最近の研究によれば、日本の世代間所得弾力性は、「北欧諸国(低い:流動性が高い)」と「アメリカ・イギリス(高い:階層が固定的)」とのあいだに収まっていることがわかっています(*3)。
つまり日本は、「努力すれば報われる可能性はあるが、出発点によって結果が左右されることもある」――その中間地点にいると言えます。
ただし、日本では一つ気になる動向があります。それは所得の中間層の減少です。
日本の調査によれば、1980年代から2010年代にかけて、日本の中間層は6.5%減少しています(*4)。これは、OECD加盟国全体の平均減少率2.6%をはるかに上回る数字です。
これまでの日本は「中流社会」と呼ばれ、一定の流動性と安定を保ってきました。しかし、その安定性の基盤が揺らいでいると言えるでしょう。
■中学受験よりもっと前から差はついている
では、“生まれによる不利”はどうすれば断ち切れるのでしょうか。それを考えるには、そのメカニズムを丁寧に追う必要があります。
この点を明らかにしたのが、イギリスで行われた研究です(*5)。分析によれば、親の所得と子どもの将来の所得をつなぐ要因の多くは、実は“政策によって変えられる部分”にありました。
特に大きな影響を及ぼしていたのは、「所得が高い家庭の子どもが幼少期の早い段階で受ける親の投資」と、「その結果として形成される認知スキルの発達」でした。
高所得の親は、子の人生の初期(就学前など)に、読書や会話、学習支援により多くの時間と資源を投資する傾向が顕著です。この早期の投資は、認知スキルの早期形成(例:言語能力、問題解決能力)に直結します。
早期に形成された高い認知スキルは、その後の学校教育における成功(教育達成)の土台を築き、最終的に労働市場での高い生産性と生涯稼得に結び付くというわけです。
実はこのような就学前の子どもへの教育投資の重要性は、ノーベル経済学賞の受賞者であるシカゴ大学ジェームズ・ヘックマン教授も指摘しています(*6)。「教育への投資は、早ければ早いほど効果が大きい」という言葉は、エビデンスのある指摘なのです。
日本の文脈で考えれば、中学受験よりももっと前の段階での子どもへの教育投資が重要だと言えるでしょう。
■子どもの将来を広げる「最も効率の良い投資」とは
生まれの違いが将来を左右する――そんな空気が強まるほど、社会は息苦しくなります。
しかし研究が示すように、幼い時期の関わりや学びを支えれば、その連鎖は大きく変えられます。絵本や会話といった小さな積み重ねこそが、子どもの将来の選択肢を広げる“最も効率の良い投資”なのです。だからこそ日本でも、就学前教育の拡充や保育の質向上、親への支援を政策として本気で進める必要があるでしょう。
生まれで未来が決まる社会ではなく、誰もが伸びる可能性を持てる社会へ――その実現を進めていくことが重要です。
(初公開日:2025年12月2日)
〈参考文献〉
(*1)①Black, S. E., & Devereux, P. J.(2011) Recent Developments in Intergenerational Mobility, Handbook of Labor Economics, 4B, 1487-1541.
②赤林英夫・直井道生(2025)「所得格差の世代間関連-教育の役割」『日本労働研究雑誌』,782, 17-26.
(*2)Chetty, R., Grusky, D., Hell, M., Hendren, N., Manduca, R., & Narang, J.(2017). The Fading American Dream: Trends in Absolute Income Mobility Since 1940. Science, 356(6336), 398–406.
(*3)Lefranc, A., Ojima, F., & Yoshida, T.(2014). Intergenerational earnings mobility in Japan among sons and daughters: levels and trends. Journal of Population Economics, 27(1), 91–134.
(*4)篠崎武久・高橋陽子(2023)「縮む日本の中間層: 『国民生活基礎調査』を用いた中間所得層に関する分析」JILPT Discussion Paper 23-03.
(*5)Bolt,U., French, E., Hentall MacCuish, J., & O'Dea, C.(2021). The Intergenerational Elasticity of Earnings: Exploring the Mechanisms, Cambridge Working Papers in Economics 2171, Faculty of Economics, University of Cambridge.
(*6)ジェームズ・J・ヘックマン(2015)『幼児教育の経済学』東洋経済新報社.
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佐藤 一磨(さとう・かずま)
拓殖大学政経学部教授
1982年生まれ。
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(拓殖大学政経学部教授 佐藤 一磨)

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