※本稿は、森博樹『親子ではじめる 10歳からの起業家教育 圧倒的な主体性を育む「5ステップ成長循環メソッド」』(学事出版)の一部を再編集したものです。
■10歳前後はアイデアの「黄金期」
家庭では親が「心の安全基地」になることで、お子さんは安心して自分の気持ちを表現できるようになります。そして、その安全基地の中で、子どもたちは気持ちだけでなく、自分の内に秘めた、たくさんの素晴らしいアイデアの「芽」も見せてくれるようになります。
「癒しのペットロボットをつくりたい!」
「地球環境を守るSFアニメ作家になりたい!」
10歳前後は、論理的な思考と、子どもの頃の自由な発想力が交差する、まさにアイデアの「黄金期」です。大人では思いもつかないような、ユニークで、少し突拍子もないアイデアが、泉のように湧き出てきます。この好奇心の芽こそが、「内発的動機」の最も純粋でパワフルな現れなのです。しかし、このかけがえのない瞬間に、私たち大人はつい、こんな言葉をかけてしまいがちです。
「そんなのできるわけないでしょ」
「それより、宿題は終わったの?」
「また変なこと言って……」
現実的なアドバイスや、しつけのつもりの一言が、実は子どもの好奇心の芽に、パタンと音を立てて「蓋」をしてしまうことがあります。この「どうせ言っても無駄だ」「面白いと思ってもらえない」という経験の積み重ねが、内発的動機の炎を少しずつ小さくしてしまうのです。
■子どもの可能性を広げる「魔法の言葉」
では、お子さんが胸をときめかせて話すアイデアの芽を、ぐんぐん伸ばしてあげるには、どんな言葉をかければよいのでしょうか。
それは「面白そうだね! そして、どうなるの?」という、お子さんの可能性を広げる魔法の言葉です。
ステップ1:「いいね!面白そうだね!」で、まずはお子さんの「心」を受けとめる
例えば、お子さんが目を輝かせながら、突拍子もないアイデアを話してくれたとき。
「ねえ、聞いて! タロウ(愛犬)のために、全自動でエサが出てくる夢のマシーンを発明するんだ!」
私たち保護者は、その瞬間に、頭の中でたくさんのことを考えてしまいます。
「そんなの、作るの大変そう……」
「部屋が散らかりそうだな……」
「それより、宿題は終わったのかしら?」
と、現実的な視点や、しつけの気持ちから、ついアイデアそのものを「評価」し、「判断」してしまいがちです。しかし、ここで最も大切なのは、アイデアの善し悪しや実現可能性を判断する前に、まず「それを思いついた時の、お子さんのワクワクした気持ち」を丸ごと受けとめてあげることです。
最初の受けとめとしての「いいね! 面白そうだね!」は、お子さんのアイデアではなく、お子さんの「心」に対する、最高の承認の言葉なのです。
■親の声かけがさらなる思考のきっかけに
「へえ、タロウのための発明品! それはいいね、すごく面白そう! タロウのこと、本当に大好きなんだね。そんなことまで考えてあげるなんて、優しいなあ」
この一言がお子さんに与えるメッセージは計り知れません。
「あなたのアイデアには、価値があるよ」
「君が考えていることに、私は興味があるよ」
「ここは、安心して夢を語れる場所だよ」
保護者の方が面白がって、自分のアイデアだけでなく、その根っこにある「想い」まで認めてもらえた。その事実が、お子さんの心理的安全性をさらに強固にし、「実はね、タイマーをつけようと思ってて……」「ボタンを押したら、おやつも出るようにしたいんだ!」と、次なる思考への扉を、お子さん自らの手で喜んで開いてくれるのです。
そして、もし可能であれば、こう付け加えてみてください。
「なんだか、聞いているだけでワクワクしてきたな。そのマシーン作り、ママも仲間に入れてくれない?」
この一言は、「私はあなたのアイデアの、単なる評価者や傍観者ではない。一緒にその夢を追いかける、あなたのチームの一員だよ」という、何よりも力強いメッセージになります。
■「どうなるの?」という問いかけの効力
ステップ2:「そして、どうなるの?」で、アイデアの種を一緒に育てる
さらに重要なのが、この後に続く「そして、どうなるの?」という問いかけです。これは、芽生えたばかりのアイデアの種に、お子さん自身の想像力で命を吹き込ませてあげる、最高の関わり方です。例えば、お子さんが「透明人間になれる薬を作りたい!」と言ったとします。
ついやってしまいがちな返答
「そんな薬、あるわけないでしょ。漫画の読みすぎだよ」(→ここで好奇心の芽は摘み取られてしまう)
アイデアの種を育てる関わり
「へえ、透明人間になれる薬! 面白そうだね! もしその薬が完成したら、どうなるの? 最初にしてみたいことは何? 誰にも見つからないから、いたずらしちゃう? それとも、誰かを助けたりもできるのかな?」
このように問いかけられると、お子さんの頭の中では、物語の続きが生き生きと動き出します。「まずは、こっそりお菓子を食べたいな」「いや、困っている人を助けるヒーローになるんだ!」と、アイデアはどんどん具体的で、豊かなものへと進化していくでしょう。
この「そして、どうなるの?」という問いかけは、単なる空想遊びではありません。これは、お子さんが自分のアイデアをより深く掘り下げ、「もし自分に特別な力があったら、それをどう使うか」という、実現可能性や社会との繋がりを考える練習の第一歩です。
■「やってみたい」気持ちを後押しする方法
「面白そうだね!」という共感と、「そして、どうなるの?」という好奇心。この二言を繰り返すだけで、親子の会話は「宿題やったの?」という一方的な確認作業から、未来を一緒に描くワクワクする時間へと変わっていきます。
このシンプルな積み重ねが、お子さんの好奇心の芽を育て、「自分からやってみたい!」という主体的な挑戦心を大きく育むのです。
しかし、ここで多くのご家庭が、空想の世界から、現実の世界への「最初の一歩の壁」に直面します。
「新しい習い事を勧めても、『うまくできなかったら恥ずかしいから』と尻込みしてしまう」
「難しい宿題を前に、『どうせ解けないから』と、手をつける前から諦めてしまう」
せっかくの好奇心や「やってみたい」という気持ちも、「失敗への恐れ」によって、行動に移す前にしぼんでしまう。これは、非常にもったいないことです。
では、どうすれば、お子さんが失敗への不安な気持ちを乗り越えて、「えいっ!」と軽やかに最初の一歩を踏み出せるようになるのでしょうか。
その答えは、とてもシンプルです。それは、ご家庭の中に「まず、やってみよう!」という魔法の合言葉と、「失敗しても大丈夫だよ」という温かい空気をつくること。つまり、「失敗を歓迎する文化」を、家族みんなで育んでいくことなのです。
■完璧な成功より「価値ある挑戦」を承認
子どもが挑戦をためらう最大の理由は、「うまくやらなければならない」というプレッシャーです。
特に10歳前後は、友人との比較や、親の期待を敏感に感じ取る時期なので、「失敗して笑われたらどうしよう」「がっかりさせたらどうしよう」という気持ちが、挑戦へのブレーキとなってしまうのです。私たちは、この目に見えにくいプレッシャーからお子さんを解放してあげる必要があります。
「まず、やってみよう!」という文化とは、「結果がどうであれ、挑戦したこと自体が素晴らしい」という価値観を、家族全員で共有することです。成功を祝うのはもちろんですが、それ以上に、勇気を出して一歩を踏み出したその姿勢を、最大限に承認するのです。
【ケース1:創作活動】
お子さんが「ドラゴンを描きたいけど、難しくて描けない……」と、白い画用紙を前に固まっているとします。
ついやってしまいがちな声かけ
「ドラゴンは難しいから、もっと簡単なネコさんにしたら?」 (→挑戦を避けることを教えてしまう)
「大丈夫、簡単だよ! ささっと描いちゃいなさい!」 (→「難しい」と感じる子どもの気持ちを否定してしまう)
■子どもの勇気を支える一言
「まず、やってみよう!」の文化がある家庭の声かけ
「そっか、ドラゴンはかっこいいけど、描くのは難しそうだよね。わかるよ」 (→まずは気持ちに共感する)
「でもさ、うちの家族の合言葉、覚えてる? 『まず、やってみよう!』だよ。完璧なドラゴンじゃなくていいんだ。今日は練習だから、まずは目だけ描いてみるのはどう? それか、体のウロコ一枚だけでもいいよ」
このように、挑戦への心理的・物理的なハードルを極限まで下げてあげるのです。そして、たとえぐちゃぐちゃの絵になったとしても、「わあ、すごい! 難しいドラゴンに挑戦できたね! このギザギザの歯、かっこいいね!」と、その挑戦のプロセスを具体的に承認してあげます。
■自転車に乗れなかった子どもにかける言葉
【ケース2:運動】
補助輪なしの自転車で、何度も転んでしまい、「もうやらない!」と自転車を放り出してしまったお子さん。
ついやってしまいがちな声かけ
「なんでできないの!」「あの子はもう乗れているのに!」
「まず、やってみよう!」の文化がある家庭の声かけ
「悔しいよね。もう嫌になっちゃうよな。でも見て! さっきより3秒も長くバランスとれたよ! すごい進歩だ! 今日はペダルを漕がずに、足で地面を蹴って進む練習だけしてみない?」
できたことに光を当て、次の挑戦のゴールを再設定してあげることで、「もう少しだけなら……」という気持ちを引き出します。この経験を繰り返すことで、お子さんの心の中には、「たとえうまくいかなくても、挑戦した自分を、見ていてくれるんだ」という、安心感が育っていきます。
この安心感が、お子さんの心の中にある「失敗したらどうしよう」という挑戦への高いハードルを、ぐっと下げてくれます。そして、これまで尻込みしていたようなことにも、「まず、やってみよう!」と、軽やかに最初の一歩を踏み出せるようになるのです。
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森 博樹(もり・ひろき)
子供教育創造機構 代表理事/共創機構 代表取締役
大学卒業後、NTTにてキャリアグレードのオペレーションシステム研究開発や光戦略会社の立ち上げに携わり、新規事業開発を10年以上推進。テクノロジーの進化を肌で感じるなか、変化に対応できる人材育成の重要性を痛感し、子供教育創造機構を設立。小学生向けアフタースクール「キンダリーインターナショナル」を10年以上経営しながら、全国高校生起業家教育事業や教育カリキュラム改訂にも参画。2025年1月には文部科学省より「アントレプレナーシップ推進大使」を拝命し、10歳からの起業家教育普及に注力。大手商社、製造、食品、金融、SIer等、多様な業種での新規事業開発支援を手がける。
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(子供教育創造機構 代表理事/共創機構 代表取締役 森 博樹)

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