時間を最大限に活用するにはどうすればいいか。資産10億円を築いた実業家で投資YouTuberの上岡正明さんは「目の前にある、たった『1分』を意識的に使うことで、仕事のパフォーマンスを最大限に引き出し、成功に繋げることができる」という――。

※本稿は、上岡正明『人生が劇的に変わる 「1分」の使い方』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。
■目の前の「1分」を最高の密度にする
まず、みなさんに心がけてほしいのは、「1分の密度」を高めることです。といっても、「テキパキと速く動け」という意味ではありません。速さだけを意識すると焦りが出て、むしろ生産性が下がったり、ミスが生まれたりします。
それよりも大事なのは、「意識レベルをどれだけ高めて、どれだけ深く集中できるか」。どれだけ長時間、外部の雑音を遮断して、作業に没頭できるかということです。
意識レベルを高めるためには、「時間を区切る」意識が重要です。「この時間からこの時間までやる」と決め、やり遂げるまでは離席しない。時間にくさびを打つ意識を持つことで、時間に有限性を感じられ、漫然と過ごすよりも意識レベルを高めることができます。
■「高密度の1分」を多く持つ人が成功する
この「没頭タイム」の最小単位として活用したいのが、1分という時間です。10秒では、短すぎて何もできませんし、10分では、長すぎて途中で気が散ってしまいます。
しかし、1分ならどうでしょうか。
「これから1分だけ、作業に没頭してみよう」これならできそうな気がしませんか?
このように、日ごろから1分の密度を高めることを意識していると、やがて5分、1時間、3時間……と、「没頭タイム」が延びていきます。密度の高い1分の集合体が、どんどん拡大していくようなイメージです。
高密度の1分を多く持てるようになった人は、パフォーマンスの面で突き抜けます。そのためにも、まずは「目の前の1分を最高密度にするんだ」という意識で取り組むのです。
■脳に負担を与える「マルチタスク」を捨てよ
1分の密度を高めるには、「シングルタスク」を徹底することが重要です。同時にいくつもの仕事をこなす「マルチタスク」は、一見「デキる人」のように見えますが、脳科学的にはまったくの誤解です。
スタンフォード大学のクリフォード・ナス教授らの研究では、頻繁にマルチタスクを行なう人ほど、集中力、記憶力、判断力が低下することが明らかになりました。
そもそも人間の脳は、複数の作業を同時に処理できるようにはできていません。自分は「マルチタスクをしている」と思っていても、実際には「高速でタスクを切り替えている」だけなのです。
この切り替えが、脳に大きな負担を与えます。タスクを切り替えるたびに、限りあるエネルギーはどんどん削られていきます。その結果、集中力、記憶力、判断力が低下してしまうのです。

仕事の成果を出す人の多くは「シングルタスク」です。1つのことに集中し、目の前の仕事をやり切る。それだけで、同じ1分でも生産性は何倍にも跳ね上がります。
■最小の力で効果を最大にする「センターピン」
1分の密度を高め、シングルタスクに没頭するには、ムダな作業を省くプロセスが欠かせません。そのためには、「センターピン」を見きわめることが重要です。センターピンとは、ボウリングのレーン中央に立つピンのこと。この1本を倒せば、まわりのピンも連鎖的に倒れていきます。
つまり、最小の力で最大の効果を生む「もっとも重要なポイント」を、センターピンと呼ぶのです。センターピンを外すと、どれほど努力を重ねてもピンは残り、スコアを伸ばすことはできません。しかし、センターピンを正確に見抜くことができれば、成果はドミノ倒しのように広がり、ストライクを取れるのです。
センターピンを見きわめることは、同時に「何をしないか」を決めることでもあります。なんでもかんでもピンを倒せば、パフォーマンスが上がるというわけではありません。
センターピンを外している状態では、自分は一生懸命やっているつもりでも、肝心の成果はいっこうに上がらないのです。
会議、商談、プレゼン、メールの返信、企画書の作成、後輩の指導、新事業のアイデア出し……。どんな仕事にも、必ずセンターピンが存在します。
■センターピンをたった1分で見抜くコツ
センターピンの見つけ方について詳しく解説しますが、ひとつ注意点があります。それは、「センターピン探し」に時間をかけすぎないことです。あくまで準備であって、それ自体が成果を生むわけではありません。
センターピン探しは、短時間で済ませるようにしましょう。1分で見つけられたらベストです。
「センターピンは本当にこれだろうか?」「もっと重要なピンがあるのではないか?」そうやって「センターピン探し」という名の「完璧な準備」に時間をかけすぎ、行動に移せない。これでは、本末転倒です。
より重要なのは、「今考えられる正解」に向けて、まず狙いを定めること。「1分で見つける」というのは、そうした“悩み続ける”という罠を断ち切り、「分析フェーズ」から「実行フェーズ」へと自分自身を強制的に移行させるための、最強の「規律」でもあるのです。

■成功者はセンターピンを狙い撃ちしている
センターピンという考え方は、経営戦略の世界でしばしば語られます。参考として、いくつかの事例を紹介しましょう。
あるメーカーの社長は、「広告を大量に打てば新商品は売れる」と考え、数百万円の予算を投じました。広告こそがセンターピンだと信じていたのです。
ところが、広告のおかげで一時的に売れたものの、リピーターは増えることなく、結局、赤字のまま撤退することになってしまいました。お客さんからは、「届いた商品が期待はずれだった」という声が多く寄せられました。つまり、センターピンは広告ではなく、「商品のクオリティ」だったのです。
もし、数百万円の予算を商品の改良に振り向けていたら、結果は違っていたかもしれません。どれだけ多額の予算をかけたとしても、センターピンを間違えればムダになってしまうのです。
■サイバー藤田社長が見極めたセンターピン
それは時間も同じです。どれほど時間を費やしたとしても、狙いがズレていたら意味のないものになってしまう。逆に、センターピンを正しく見抜けば、最短の時間、最小の予算で、最大の結果を出すことができるのです。

サイバーエージェント藤田晋社長も、センターピンを見きわめて成功した経営者のひとりです。藤田社長は起業初期、ブログサービス「アメーバブログ(アメブロ)」のPV(ページビュー)を伸ばすという一点に集中していたそうです。
それが当時のサイバーエージェントのセンターピンであり、目先の収益などは二の次だったそうです。その結果、アメブロは短期間で300億PVを達成しました。当時のサイバーエージェントの屋台骨を支える事業へと成長し、現在の躍進へとつながっているのです。
■あなたのセンターピンを明確にするコツ
センターピンを見きわめることがいかに重要か、ご理解いただけたと思います。それを踏まえて、実践編に入っていきましょう。センターピンは、やみくもに考えても見えてきません。大事なのは、以下のように順序立てて考えることです。
まず、1分を積み上げた先にある「理想のゴール」を明確にイメージしましょう。どこに到達したいのか、どうなれば成功と言えるのか、はっきりイメージを描いてください。
プレゼンであれば、契約を勝ちとることが理想のゴールでしょう。
勉強であれば、試験に合格することが理想のゴールになると思います。次に、そのゴールを実現するための一歩として、今の自分ができることを、思いつく限り書き出してください。
タイマーをセットして、1分でいくつ書き出すことができるか、ゲーム感覚でやってみるのも良いでしょう。
最後に、書き出した中でひとつしか選べないとしたら、どれが最大の成果につながるか考えてみましょう。「このピンさえ倒せば、他のピンも倒れる」と思うものを、ひとつだけ選ぶのです。
■「1分でできること」が成功につながる
こうして導き出されたものが、あなたが狙うべきセンターピンです。そのうえで、「今の自分ができること」を「1分でできること」に刻みます。結果的に数時間かかることでもかまいませんが、最初のベイビーステップとして、1分でできることを考えるのです。
これを私は「1分着手法」と呼んでいます。こうすることで、心理的な負担を軽減し、着手までの時間を大幅に短縮できます。もちろん、最初から正確にセンターピンを見つけられなくても大丈夫です。やりながら、失敗からヒントを得て、センターピンを見つけ直せばいいのです。
慣れれば、すぐに見つけられるようになります。あなたの過去の経験が、類似した状況下におけるセンターピンを、海底で岩場を見つける潜水艦のソナーのように見つけてくれるからです。これを、成功体験のパターン認識と言います。
私が多方面で成果をあげることができたのは、改善スピードによるものですが、特別なことをしているわけではありません。「失敗からヒントを得て、センターピンを見つけ直す」という、この“軌道修正”のスピードが、人より速いだけなのです。
■5つのステップでセンターピンを見極める
まとめましょう。
1:「理想のゴール」を明確にイメージする

2:そのゴールのために「今の自分ができること」を書き出す

3:ひとつしか選べないとしたら、どれが最も成果につながるかを決める

4:失敗データを収集しながら、センターピンを捉え直す

5:繰り返すうちに専門性が高まり、1分でセンターピンが捉えられるようになる
この5ステップで、ぼんやりとしていたセンターピンが、はっきり浮かび上がってきます。あとは迷わず、この一点に集中するのみです。
センターピンを正確に見つけ出すために必要なのは、才能ではありません。地味な「仮説→実行→失敗データ収集→軌道修正」のサイクルを、他人よりも多く、高速で回すことで、“データベースの精度”を極限まで高めた人なのです。
こうしたトレーニングをくり返していれば、いつしか自然にセンターピンを見きわめられるようになります。

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上岡 正明(かみおか・まさあき)

投資YouTuber、作家、フロンティアコンサルティング代表

1975年生まれ。放送作家を経て、27歳で戦略PR、ブランド構築、マーケティングのコンサルティング会社を設立し、独立。これまでに大手上場企業など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。チャンネル登録者36万人を誇る人気YouTuberとしても活躍中。著書に『お金が増える強化書』『勝てる投資家は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)など多数。

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(投資YouTuber、作家、フロンティアコンサルティング代表 上岡 正明)
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