豊かな人生を送るにはどうすればいいか。資産10億円を築いた実業家で投資YouTuberの上岡正明さんは「お金持ちになっても幸せになれるとは限らない。
幸せなお金持ちの生活スタイルにはある共通点がある」という――。
※本稿は、上岡正明『人生が劇的に変わる 「1分」の使い方』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。
■お金持ちがみんな「幸せ」とは限らない
心理学者で、ノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマンが唱えた「幸福の飽和点」という研究があります。「年収7万5000ドル(現在のレートで約1100万円)を超えると、幸福度はそれ以上ほとんど上がらない」というものです。
ビジネス書などでたびたび引用されているので、ご存じの方も多いでしょう。しかし、2023年に発表されたカーネマンらの研究で、この定説にある条件が加わりました。
研究では、「幸福度が低い人」「幸福度が高い人」の2つのグループに分け、年収と幸福度の関係を調べました。すると、幸福度が低いグループは、一定の年収で幸福度が頭打ちになった一方、幸福度が高いグループは、年収の増加とともに幸福度の上昇がさらに強まったのです。
この研究結果から見えてくるのは、どれだけお金を稼いでも幸せになれない人と、お金を稼げば稼ぐほど幸せになる人が存在するということです。両者の違いは、一体どこにあるのでしょうか。
■「幸せなお金持ち」になる人の条件
これは私の考えですが、「自分が誰かの役に立っているか」「社会に貢献していると感じられるか」が鍵になると思っています。心理学の世界で、「自己有用感」と呼ばれている感覚です。

同僚から感謝された、組織の役に立てた、家族が喜んでくれた、社会から評価された……。こうした喜びを味わっている人は、幸福度も右肩上がりで伸びていきます。このように幸せを伸ばし続けている人を、私は「幸せなお金持ち」と呼んでいます。
幸せなお金持ちには、いくつかの条件があると思っています。まず、お金に束縛されていないこと。「もっとほしい」「まだ足りない」と思っているうちは、資産が何億円あったとしても、それは「不幸せなお金持ち」です。
■究極の「幸せなお金持ち」は前澤友作
また、人生の選択肢を自由に選べるのも、幸せなお金持ちの条件です。どれだけ年収が高くても、やりたくない仕事をしていたり、好きなときに旅に出たりできないのなら、それは「不幸せなお金持ち」といえるでしょう。
幸せなお金持ちの究極は、一代でZOZOを築き上げた前澤友作さんだと思います。ZOZOから離れた今は、夢だった宇宙旅行を実現したり、「国民総株主」の実現を目指すビジネスを始めたり、自分が本当にやりたかったことに邁進しています。
また、幸せなお金持ちは「今」にフォーカスして生きているのも特徴です。まさに「前後際断」を体現している人たちです。
過去を変えることも、未来をコントロールすることもできない。
自分が関与できるのは「今」だけ――。そのことを熟知しているからこそ、目の前の1分を何よりも大切にするのです。
■全員が「1日24時間」という条件で生きている
そもそも、幸せなお金持ちは、なぜ1分を大切にするのでしょうか。それは、自分の限界ぎりぎりのところで勝負してきた経験があるからだと思います。私たちの1日に与えられた時間は、等しく24時間です。
25時間ある人や、30時間ある人は、この世に一人もいません。その中で抜きん出ようと思ったら、時間の限界を突破するしかありません。
いかに1分を有効に使うか、いかに1分の密度を濃くできるか。このことにチャレンジしてきた人が、幸せなお金持ちだと思うのです。
私の知り合いに、日本と米国に不動産物件を何棟も所有し、大成功している「メガ大家」さんがいます。あるとき、彼に「いったい、何がきっかけだったんですか?」と尋ねたことがあります。
返ってきたのは、「時間との向き合い方を変えたことです」という答えでした。
■時間がないなら、作ればいいじゃない
かつては彼も、時間に追われる毎日を過ごしているビジネスパーソンでした。「時間がないから、不動産投資なんて無理だ」と思うのがふつうでしょう。しかし、彼はあきらめませんでした。時間がないなら、つくればいい―。
こうして1分の密度を高め、仕事を誰よりも早く終わらせ、スクールに通い始めました。そして、1分もムダにしないという思いで勉強を重ね、1棟ずつ規模を拡大していったのです。時間との向き合い方を変え、密度を高め、その時間を未来に投資する。そうすることで、莫大なお金と幸せな時間を手に入れたのです。
幸せなお金持ちは、例外なく小さな努力を重ねてきました。先述した前澤友作さんも、かつては寝袋で会社に寝泊まりしながら、土日も返上で働いていました。食事といえば、ご飯に豆腐とネギを乗せ、しょうゆとラー油をかけた「豆腐丼」が定番だったそうです。
ビル・ゲイツ氏にも、孫正義さんにも、そんな時代がありました。
■「不幸せなお金持ち」の典型パターン
成功というゴールに、ショートカットしてたどり着いた人はいません。裏ワザもありません。小さな努力を毎日、確実に積み上げてきたからこそ、今があるのです。
例外があるとすれば、遺産相続や宝くじ当選などで、大金が転がり込んできた人たちです。しかし、ショートカットして成功した人は、私が知っている限り、ほとんど最終的に身を滅ぼしています。
莫大なお金が手に入ったものの、努力を重ねるプロセスを経ていないので、人格形成が追いついていないのです。全能感だけが肥大し、稼ぐためのスキルがないまま財産をすり減らし、やがてお金の不安に押しつぶされます。これこそまさに「不幸せなお金持ち」の典型です。
■目の前の「1分」を意識的に生きる
こうならないためには、成功にショートカットなんてないと心得ること、そして、小さな努力を積み重ねることしかありません。
しかし、漫然と生きていると、人は昨日と同じことをくり返してしまいます。そこで、1日1分でかまわないので、「幸せな未来のための1分」を作ってください。
目標達成につながるトリガー、つまり最初のとっかかりをつくることを意識しましょう。
起業したいのなら、起業に関する本を1冊買ってみる。日経新聞を読んでみる。セミナーに参加申し込みをする。メンターになりそうな人にメールを送る。小さな一歩かもしれませんが、とにかく前へと踏み出すことが大事です。
「なぜ、これをやるのか」という目的を明確にすると、得られるものが違ってきます。同じSNSでも、なんとなくスクロールして眺めている1分と、起業につながるヒントはないか意識して読む1分では、まったく別物なのです。
■「緊急」なものは「重要」なものではない
米国のドワイト・アイゼンハワー元大統領は、かつて次のように語りました。「緊急なものは重要ではなく、重要なものは緊急ではない」。この言葉は、現代のビジネスにも人生設計にも、そのまま当てはまります。図表1を見てみましょう。

この図は「アイゼンハワー・マトリクス」といって、タスクを「重要度」と「緊急度」で整理する手法です。
・重要かつ緊急(危機対応・締め切り)

・重要だが緊急ではない(未来投資・成長)

・重要ではないが緊急(雑用・突然の依頼)

・重要でも緊急でもない(時間の浪費・娯楽)
多くの人は、左上の「危機対応」ゾーンで1日を終えます。上司からの急な依頼、期限ギリギリの資料作成、たまったメールの返信……。日々、「火消し」に追われ、疲れ果てています。
■「重要だが緊急ではない」に入れるべきもの
しかし、私がこれまで出会ってきた幸せなお金持ちは、右上の「重要だが緊急ではない」ゾーンに、意識的に時間を投資していました。具体的には、以下のようなことです。
・読書や学び

・健康づくり

・人とのつながり

・本当にやりたいことの計画

・まだお金にはならないが、いずれ大きな資産に変わる行動(情報収集やYouTube撮影など)
彼らは誰よりも忙しく、誰よりも時間の価値を理解しています。だからこそ、「重要だが緊急ではない」ことを優先します。人生において大事なことは、たいていこのゾーンにあることをよく知っているからです。
■幸せなお金持ちが投資する“形のないもの”
私が多くの富裕層と接してきて確信するのは、彼らは「お金では買えないもの」に対してこそ、湯水のように時間と労力を注ぎ込んでいるという事実です。
数字上の資産(バランスシート)ではなく、「見えない資産」を積み上げること。この視点がなければ、いくらお金があっても、人生は砂漠のように乾いたままです。
そのための時間を捻出するために、目の前の「1分」を賢く使っているのです。「お金持ちになれば、幸せになれる」多くの人がそう信じて、必死に数字を追いかけています。しかし、私がこれまで出会ってきた「幸せなお金持ち」たちは、ある共通した“投資先”を持っていました。それは、株でも不動産でもありません。
彼らが、何よりも優先して、時間と労力を、惜しみなく投資しているもの。それは、「人との深いつながり(信用)」と「二度と戻らない体験(思い出)」、そして「自分自身の器(教養・健康)」、この3つです。
■時間と労力を惜しみなく投資する3つのこと
「利害関係のない」人間関係への投資
不幸なお金持ちは、自分に利益をもたらす人間としか付き合いません。しかし、幸せなお金持ちは違います。彼らは、損得勘定抜きで、友人や家族との時間を何よりも大切にします。
友人が困っていれば、自分の時間を使って何時間でも話を聞き、手を貸す。なぜなら、彼らは知っているからです。「困ったときに助けてくれる人」という資産は、お金では決して買えないということを。彼らにとって、信頼できるパートナーや友人との食事の時間は、浪費ではなく、心のセーフティネットを編み上げる、最も重要な投資時間なのです。
「死ぬ瞬間に思い出す」体験への投資
本当に幸せなお金持ちは、モノ(ブランド品や車)よりも、コト(体験)にお金と時間を使います。家族との旅行、見たことのない景色、震えるような芸術体験。モノは買った瞬間から劣化しますが、「あのときの旅行は楽しかったね」という思い出は、時間が経つほどに美化され、人生に配当を生み出し続けます。
彼らは、人生の最期に残るのは、銀行口座の残高ではなく、心に残る思い出の数だけだと知っているのです。
「富を受け止める」器への投資
彼らは自分自身へのメンテナンスを怠りません。まずは、学びです。読書や耳学を続けて、どんどん自分自身のキャリアをアップデートしていきます。また、どんなに資産があっても、病気で寝たきりでは意味がないことを痛いほど理解しています。だから、食事、運動、睡眠といった「健康」に、徹底的に時間と労力を割きます。
それは、富という強大なパワーに振り回されず、正しく扱うための「人格(器)」を育てるためです。

----------

上岡 正明(かみおか・まさあき)

投資YouTuber、作家、フロンティアコンサルティング代表

1975年生まれ。放送作家を経て、27歳で戦略PR、ブランド構築、マーケティングのコンサルティング会社を設立し、独立。これまでに大手上場企業など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。チャンネル登録者36万人を誇る人気YouTuberとしても活躍中。著書に『お金が増える強化書』『勝てる投資家は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)など多数。

----------

(投資YouTuber、作家、フロンティアコンサルティング代表 上岡 正明)
編集部おすすめ