仕事に集中できないときはどうすればいいか。資産10億円を築いた実業家で投資YouTuberの上岡正明さんは「頭の中がモヤモヤしているときは、超短時間の運動がおすすめ。
心拍数を上げることで脳の切り替えスイッチが機能し、パフォーマンスを上げることができる」という――。
※本稿は、上岡正明『人生が劇的に変わる 「1分」の使い方』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。
■脳の「切り替えスイッチ」をオンにする
「前の会議のイライラを引きずったまま、次の資料作成に入ってしまった……」「頭がボーッとして、新しいタスクになかなか着手できない……」
そんな経験、あなたにもありませんか? これは、あなたの集中力が低いからではありません。脳の「切り替えスイッチ」が錆びついているだけです。
多くのビジネスパーソンが、タスクの切り替えを「意志の力」でやろうとします。「よし、次はこれだ!」と気合を入れる。しかし、脳科学的に見て、これは非効率極まりないといえます。脳は、直前の感情や思考の残像を、しばらく引きずり続ける性質があるからです。
そこで私が提案したいのが、「運動による、強制的な前後際断」です。前後際断とは、「過去と未来を断ち切り、今この瞬間に没入する」という禅の境地。これを、坐禅を組まずに、たった1分のアクションで実現する方法があります。それが、「心拍数を上げる」ことです。

■心拍数を上げて「脳を再起動」する
タスクとタスクの間に、1分間だけ、全力でスクワットをしてみてください。あるいは、その場でジャンプでもいい。息が少し上がるくらいの運動を挟むのです。
すると、何が起きるか。強制的に血流が巡り、脳内に「エンドルフィン」や「セロトニン」といった神経伝達物質が放出されます。これらは、前のタスクで蓄積したストレスホルモン(コルチゾール)を洗い流し、あなたの感情をポジティブに上書きしてくれます。
PCがフリーズした時、あなたはどうしますか? キーボードを叩き続けるのではなく、一度電源を落として再起動しますよね。運動とは、あなたの脳に対する「物理的な再起動(リセット)」なのです。
■上司にボロクソに怒られても1分で回復
前の会議でどんなに怒られようが、どんなに失敗しようが、1分間の運動で息を切らせば、脳は「生命維持のための呼吸」を最優先するため、過去の悩みなど吹き飛んでしまいます。経営者がサウナで「ととのう」のを好む理由も、ここにあります。
この「切り替えの1分」を持つ者だけが、一日の中で何度でも新鮮な集中力を取り戻し、常にトップスピードで仕事をこなすことができるのです。
■筋トレがうまくいく人の共通点
経営者にはボディメークやジムで体を鍛えることを好む人が多い印象があります。
少なくとも私にとって、ジムは単なる「筋肉を鍛える場」ではありません。「いかに短時間で、限界まで自分を追い込み、最大の成果を引き出すか」という、実験室なのです。
ダラダラと2時間ジムにいる人と、30分でオールアウトして帰る人。その違いは、そのままビジネスにおける「成果の違い」と直結しているというのが私の持論です。
私は毎日のようにジムに通っていますが、筋トレが続かない人、成果が上がらない人を観察していると、面白い共通点があります。
それは、すぐにトレーニングを始めないことです。ロッカーで着替えたあと、テーブルでドリンクを飲みながら、ずっとスマートフォンをいじっています。
一方、筋トレが続く人、短期間で成果が上がる人は違います。着替えとウォーミングアップが済んだら、そのままマシンへ直行します。そして、スマートフォンをいじらず、ドリンクも口にせず、すぐさまトレーニングを始めるのです。
■「長時間頑張る人が評価される」は時代遅れ
「あとでやる」ではなく「すぐにやる」。この、わずか数秒の「着手の早さ」の違いが、3カ月後には、身体つきという目に見える「成果」として、残酷なまでの差を生み出します。

これからの時代、評価されるのは「どれだけ長く頑張ったか(量)」ではありません。「限られた時間の中で、どれだけ濃密に、全力を出し切れたか(密度)」です。
筋トレとは、単に筋肉を大きくする行為ではありません。「1分間という時間の密度を、極限まで高める練習」そのものなのです。
こうした考え方は運動に限らず、仕事にも、勉強にも、そして人生そのものにも通じるものです。運動も仕事も、成果を分けるのは「着手の早さ」です。
■「20分の運動」より「1分の運動」に効果
昔は、「運動は最低でも30分続けなければ意味がない」といわれていました。しかし近年、世界各国の研究によってこの常識は覆されつつあります。中でも、カナダのマクマスター大学が発表した研究結果は、大きな衝撃を与えました。
実験では、被験者を2つのグループに分け、6週間のトレーニングを実施しました。一方のグループは20分間の中強度運動を行ない、もう一方のグループはわずか1分間の高強度運動を行ないました。すると驚くべきことに、後者のグループも前者とほぼ同程度の心肺機能の改善が確認されたのです。

こうした研究結果からも、短時間でも全力で取り組めば、一定以上の効果を上げることが期待できます。これを応用したのが、いま世界的に注目されているHIIT(ハイ・インテンシティ・インターバル・トレーニング)です。
高強度の運動と、短い休憩を交互に行なうことで、有酸素運動(脂肪燃焼)と無酸素運動(筋力強化)の両方の効果を同時に得ることのできる、非常に効率的なトレーニング法です。
■たった「1分」自分を追い込んでいく
そして、このHIITを私なりにアレンジしたのが、これから紹介する「1分HIIT」です。必要なのはわずか1分。器具も、広いスペースもいりません。ジムに行く時間がない人や、どうしても三日坊主になってしまう人におすすめの、最少の努力で最大の成果を出すトレーニングです。
「1分HIIT」の基本メニュー
1:スクワット(10秒)

足を肩幅に開き、背筋を伸ばして腰をゆっくり落とす。
2:休憩(10秒)

軽く息を整えながら、肩や腕を回してリラックス。
3:腕立て伏せ(10秒)

胸と二の腕に負荷をかけるように意識して、テンポよく行なう。
4:休憩(10秒)

深呼吸を1~2回。無理をせず、心拍を落ち着かせる。

5:もも上げダッシュ(10秒)

できるだけ速く、高くももを上げ、その場でダッシュする。
6:休憩(10秒)

最後のクールダウン。ゆっくり呼吸をととのえ、余韻を感じる。
ポイントは、とにかく全力で身体を動かすことです。疲労困憊するまで、自分を追い込んでください。ただし、身体に高い負荷をかけるトレーニングになりますので、健康に不安のある方はかかりつけの医師と相談しながら、無理のない範囲で行なうようにしてください。
■1分の運動が脳のパフォーマンスに直結
この1分トレーニングで鍛えられるのは、身体だけではありません。脳にも多くの変化が起こります。筋肉を動かすたびに、脳内ではBDNF(脳由来神経栄養因子)という物質が分泌され、ニューロン(神経細胞)の結びつきを強めます。このBDNFは「脳の肥料」とも呼ばれ、記憶力や創造力の向上にも深く関係しています。
カリフォルニア大学アーバイン校の研究では、短時間の軽い運動でも記憶をつかさどる海馬の活動が顕著に高まったことが報告されています。
仕事や勉強前に「1分HIIT」を取り入れることで、脳のパフォーマンスが上がることが期待できるのです。


----------

上岡 正明(かみおか・まさあき)

投資YouTuber、作家、フロンティアコンサルティング代表

1975年生まれ。放送作家を経て、27歳で戦略PR、ブランド構築、マーケティングのコンサルティング会社を設立し、独立。これまでに大手上場企業など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。チャンネル登録者36万人を誇る人気YouTuberとしても活躍中。著書に『お金が増える強化書』『勝てる投資家は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)など多数。

----------

(投資YouTuber、作家、フロンティアコンサルティング代表 上岡 正明)
編集部おすすめ