※本稿は、上岡正明『人生が劇的に変わる 「1分」の使い方』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。
■「まずやること」を確認する人は仕事が遅い
取りかかりが遅い人は、まずタスク管理から始めがちです。今日は何をやるか、何から手をつけて、どんな順番で進めていくか。タスク管理ツールなどを駆使して、細かく検討していきます。
しかし、タスク管理は「準備」にすぎません。準備ばかりして、本当にやるべきことに手をつけないのは、厳しくいえば「やった気になっているだけ」です。作業から逃げていては、時間を浪費するだけです。
私がいつも心がけているのは、「いきなり作業に入る」ことです。朝9時にデスクについたら、その瞬間からフルスロットル。前日の作業の続きから、次から次へと片づけていきます。
止まらない、考えない、やった気にならない――。
仕事でも、勉強でも、時間をかけることが大事なのではありません。
■面倒くさいことも、やってみたら意外とイケる
「いきなりフルスロットルなんて、私にはできない」という人も、だまされたと思って、とりあえず1分だけ手をつけてみてください。多くの人は、「やる気がないから始められない」と口にします。しかし、真実は逆です。やる気というのは、やり始めないと生まれないのです。
ドイツの精神科医、エミール・クレペリンが提唱した「作業興奮」をご存じでしょうか? やる気がない状態でも作業を始めると、あとからやる気が高まってくるという現象です。
思い出してみてください。仕事も、勉強も、運動も、始める前は面倒でしかたないのに、いざやり始めてみると没頭できた経験はないでしょうか。それこそが、作業興奮の力です。
脳には、やる気のもととなるドーパミンという脳内物質を放出する「側坐核」という場所があります。しかし側坐核は、行動して刺激を与えなければ、ドーパミンを放出してくれません。
■「やる気がでる時間」はいつまでも来ない
やる気が出ないから、やる気が出るまで待とうといって、スマートフォンをダラダラ見ていても、側坐核はいっこうに動き出してくれないのです。
「行動することでしか、やる気は引き出せない」
これは、脳科学で認められた真理です。私はそのことをよく知っているので、「最初の1分」にこだわります。
成功への道のりは、一気に駆け上がるものではありません。文字どおり「小さな1分」を積み重ねていくことで、たどり着くことができるのです。
■仕事は“中途半端なところ”で終了するのがよい
みなさんは毎日、どのように仕事を終えていますか? おそらく、きりのいいところで終わらせているのではないでしょうか。
しかし、翌日の仕事の取りかかりを早くしたいのであれば、作業をあえて中途半端に終わらせたほうがいい場合があります。作業をすべて終えてしまうと、翌日に再びゼロからタスクを立ち上げなくてはなりません。ここまで何度も述べてきた通り、ゼロからイチを立ち上げる行為が、いちばんエネルギーを使います。
■文章の途中で仕事を中断するライターの流儀
その点、あえて中途半端なところで切り上げると、前日からの流れで迷うことなくスムーズに作業を再開できますし、スタートダッシュの勢いを作ることができます。昨日からの続きをやればいいわけですから、決断や実行のエネルギーも、ほとんど消費しません。
私の知り合いのライターは、句読点の「読点」で仕事を切り上げることを習慣にしているそうです。
すると翌日、こんな中途半端なところで終わっているのは気持ちが悪い、と感じるそうです。だから、早く続きを書きたくなる。そうしているうちに作業興奮が働いてきて、執筆がスムーズに進むと言います。
■デスクは片づけないで帰っていい
また、書類を片づけ、文房具をしまい、デスクをきれいにしてから退勤している人もいるでしょう。一般的には、几帳面でしっかりした人だと、ほめられる行動です。しかし、私はデスクはある程度やりっぱなしで、片づけはしなくていいと考えています。
飲み残しのペットボトルが転がっていたり、ゴミ箱からゴミがあふれていたりするのは、もちろん論外。ですが、書類や文房具などはそのままにしておいたほうが、翌日の作業をスムーズに再開できると実感しています。
朝、出勤したときに、前日に参照していた書類がデスクに置いてあれば、自然と手に取るでしょう。昨日の仕事と今日の仕事が一瞬にしてつながるので、作業効率も高まります。「あれ、今日は何からやるんだっけ」と迷うこともなくなります。
■デスクを片づけなくても散らからない方法
実際、私のデスクは、仕事終わりでも、ほぼ片づけることはありません。所定の位置に、書類やペン、必要なものを置きっぱなしで翌日の作業に取りかかれるように工夫されています。
このとき、物が乱雑に散らばらない方法として、仕事道具や書類の位置を、すべての業務に共通して決めてしまうのが良いでしょう。
私の場合は、ワイドディスプレイを使っていて、左に参照している書類、その上に携帯や充電器などの機器。反対の右側にはAIを参照するためのノートパソコン、ペン立て、書類立てなどが並べてあり、手前にコーヒーなどのマグカップを置いています。
■脳の「ツァイガルニク効果」を逆手にとる
これが、私の所定のワークの位置です。どんなタスクや仕事でも、基本、この位置からスタートします。位置を決めてしまえば、多少散らかっていたとしても、あれこれ迷うこともなくなります。
仕事をあえて中途半端に終わらせたり、デスクをあえて完璧に片づけなかったりするのは、「ツァイガルニク効果」(人は完了した課題よりも、未完了の課題のほうを強く覚えてしまう)を逆手に取ったものです。
こうした行動はサボりでも怠慢でもなく、脳のしくみを味方につける戦略なのです。
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上岡 正明(かみおか・まさあき)
投資YouTuber、作家、フロンティアコンサルティング代表
1975年生まれ。
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(投資YouTuber、作家、フロンティアコンサルティング代表 上岡 正明)

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