結婚相手は、自分の幸せな人生にどう影響するのか。ベストセラー作家で実業家のロルフ・ドベリさんは「間違った人を選んでしまうと、あなたの人生は地獄と化す。
互いにあらゆる間違いを避けてあらゆる努力をしているにもかかわらず、疲れ切った関係でしかないのであれば、別れよう」という――。(第3回/全3回)
※本稿は、ロルフ・ドベリ『Not To Do List 失敗を避けて、よりよい人生にするためのやってはいけないことリスト』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
■やってはいけないこと:間違った相手と結婚し、永遠に別れない
研究結果によれば、もっとも幸せなのは、「よい結婚生活を送っている人」。
2番目に幸せなのは、「パートナーのいない人」。
そして、もっとも不幸なのは、「悪い結婚生活をしている人」だという。
みじめな人生を送りたければ、間違った相手と結婚しよう。そして、どんなことがあっても別れないこと!
■真のアドバイス:「似ている相手」がいいかも
「人生のパートナー」を選ぶことほど重要な決断はない。
相手をうまく選べば、ほかのこと、たとえばキャリア、居住地、健康、経済的な状況など、ほとんどすべてを失敗しても、それでもあなたの人生はうまくいくか、少なくとも許容できるものになるだろう。
一方、間違った人を選んでしまうと、巧みに振る舞うことはできたとしても、あなたの人生は地獄と化す。
「完璧なパートナーの見つけ方」に関していくつか考えを述べたい。
■「完璧なパートナー」の見つけ方
1つ目。先に答えを書いてしまうと、完璧なパートナーを見つけるための確実な手順や方法は「存在しない」。

初期のデートで相手を簡単に把握できる、信頼のおけるチェックリストがあれば、離婚率ははるかに低くなるだろう。いや、そうではない。これはほとんど解くことのできない問題で、「偶然の要素」が果てしなく大きい。
わたしは、世界でもっとも印象的なCEOたちの何人かを知っている。彼らは人づき合いの天才だが、そんな彼らですら、絶えず離婚裁判官の前に立っている。
結婚生活がうまくいく見込みを高める、経験に裏打ちされた唯一の要素は、「お互いの性格、価値観、人生の目標が似ていること」。あなたの結婚相手は、あなたと同じような考え方をしている人、同じような希望を抱いている人であるほうがいい。
よく言われる「相反するものは、互いに引き合う」という法則はどうなのか? それは完全な誤りだ。
相反するものは、爆薬だ。男と女という性別の間にくり返し生じる溝を埋めるだけでも、じゅうぶん難しい。それなのに、そのほかのあらゆる障害を克服するのに、互いにまったく異なる考え方をするのであれば……幸運をお祈りする。
2つ目。
人生のパートナーを「自分の理想」に変えられる、という考えは捨てること。これはうまくかない。
■「数学的な最適戦略」を恋愛に生かす
3つ目。「最初」に出会った、まずまずの相手とは結婚しないこと。
そのわけは、恋愛においても、数学から学べることがあるからだ。いわゆる「秘書問題」が関係している。これは、最良の人材を応募者のなかからもっとも高い確率で選ぶための、数学的な最適戦略である。
あなたは秘書(失礼、アシスタント)を採用したい。そして応募者が100名いるとする。
あなたは各応募者と1回だけしか面接できず、その人を採用するかしないかを即決しなければならない。
さて、どうすればいいか?
最適な解決策は、まず、はじめに37名の応募者と面接し、全員を不採用にする。
そして、38番目以降の面接では、はじめの37名のなかでもっとも優秀だった人を上回る応募者が現れた時点でその人を採用する。

この方法を人生のパートナー探しに用いた場合に意味することは、デートを重ね、数多くの恋愛を経験し、「市場」にいる候補者の質に対する感覚を身につけてから結婚を決めるということだ。2つか3つのサンプルでは足りない。
4つ目。「お金」のために結婚しないこと。
億万長者のウォーレン・バフェットが述べている。「(お金のために結婚するのは)どんな状況でもおそらく悪い考えだが、すでに裕福な人ならまったくどうかしている」。
その人に備わっているほかの資質が少なければ少ないほど、お金がより輝いて見えてしまうのだ。「ハロー効果(後光効果)」には惑わされないようにしよう。
■自分が「相手にふさわしい人間」になる
5つ目。よい人生のパートナーはどうすれば見つかるか? その答えは、「自分が相手にふさわしい人間になること」。
あなた自身が、結婚市場で「魅力的な存在」であるべきだ。そうでなければ、ほとんど誰もあなたに興味をもってくれないだろう。

人生のよいパートナーは盲目的な人でも愚かな人でもない。まずは自分自身に磨きをかけよう。
6つ目。互いにあらゆる間違いを避けてあらゆる努力をしているにもかかわらず(たとえば、浮気をしない、残業をしない、完璧にゴミを分別するなど)、疲れ切った関係でしかないのであれば、別れよう。
信条を守るためだけに残りの人生を縛り合い、絶えず怒鳴り合い、おとしめ合い、皿を壁に投げつけ、当てつけがましく不機嫌な態度を取り続けるのは無意味である。
いくら努力してもうまくいかないことを認めよう。しかし、そのことで悩む必要はない。シングルであるあなたは、それでも2番目に幸せなグループに入っているのだから(本項の冒頭参照)。
それに、あなたにはトップのグループに昇格するチャンスも残されている。
■やってはいけないこと:人生のパートナーとの関係を悪化させる
基本的には問題のないパートナーとの関係を、どうしても壊したければ、次のヒントを心に留めておくように。
相手に対する「批判」を決して我慢しないこと!
あなたの妻がまるでセンスのない店で選んだ、まったく必要のない新しい装飾品が、あなたの家に残された最後のスペースを占領している。
なんだ、このガラクタは⁉ キャンドル、ランプ、ぬいぐるみ、観葉植物、クッション、そのほか数々の小物。
実用性がないものが増え続けるこの状況に対して、ただちに抗議しよう。
そうでもしないと定位置が決められ、最悪の場合、妻がそれらのものに愛着をもってしまう。それでもうまくいかなければ、こっそりと、しかし目立つように捨ててしまおう。
あなたが妻の立場であるなら、捨てられたものをすべて買い直そう。それも、2つずつ、相手のクレジットカードで。
パートナーの整理整頓の要領の悪さやセンスについて、思っていることを言葉と行動で示そう。
出張から戻ったら、まず、洗濯物があちこちに放置されていることに文句を言おう。
あなたの留守中に集められた、さまざまなオンラインショップの段ボール箱を、当てつけがましく畳んでみせる。そして、パートナーの誕生日には、『人生がときめく片づけの魔法』をプレゼントしよう。
昔は大恋愛だったのに、とパートナーが不安そうにしていてもまったく反応しないこと。あなたが沈黙していることに、相手が引きさがらなくても、感情をあらわにしないこと。
「わたし、老けて見える?」というような質問に効果があるのは、「歳相応だ」。
「この新しい服、どう思う?」に対しては、顔を上げずに、スマホに目をやったまま、ひとこと「いいよ」とつぶやくだけで、うまい具合に摩擦を引き起こせる。
■パートナーに真実を突きつける
あなたの住まいと同じ通りにスーパーモデルが住んでいて、パートナーに「あの人は、わたしよりも魅力的だと思う?」とたずねられたら、正直に答えよう。
隣人の誠実な人柄や、美しさ、影響力、それに彼らの成功について褒め讃え、きみに、あるいは、あなたには太刀打ちできない、とパートナーに真実を突きつけよう。
どこの家庭も親子でもっといろんなことをしているし、「夫婦生活にはるかに力を尽くしている」と伝えよう――それがどんな意味であろうとも。
「ときどき思うんだけど、きみが○○さんのようだったらいいのになぁ」とさりげなく口に出してみよう。その○○が共通の知り合いであればなおさらいい。本質的に変えられないことに対して文句を言おう。
■自分のミスは認めずすぐ反撃する
見下した発言は、パートナーとの関係を危機に導くのに役に立つ。
手間暇かけて準備してくれたディナーに対して「ねえ、きみはもっと自分の得意なことに集中したほうがいいんじゃない?」と言ってみたり、「ほら、見て! あそこにあなたのイケメン版がいる!」といった具合に。
自分のミスは決して認めず、いつでもすぐに反撃しよう。
もっともいいのは「でも」という小さな言葉を添えること。「遅かったね」と言われたら、「でも、ヘアスタイルは決まってるでしょ?」とやり返す。
原則的に、パートナーとは、プラスマイナスゼロの関係、ゼロサムゲームと心得ておくこと――それも、パートナーの「損失」は自分の「利益」になるように。
そして最後に、浮気をしよう! パートナーにばれて激しく責められたら、自信満々に答えよう。「大げさだよ、まったく、しょうがないな」。
■真のアドバイス:悪い関係をもつくらいなら、関係がないほうがいい
あなたの人生の質は、2つのことに大きく左右される。
ひとつはあなたの「思考」の質。そしてもうひとつは「人間関係」の質だ。
「人間関係」の質に関してもっとも重要なのは、「あなたのパートナーとの協力関係」の質である。よいときも悪いときも、パートナーほど多くの時間をともにする相手はほかにはいない。
パートナーとの生活が悲惨であれば、あなたの人生も悲惨になる。それはお金や地位で埋め合わせられるものではない。
■「摩擦のない関係」は存在しない
悪い関係をもつくらいなら、関係がないほうがいい、と研究結果は明確に示している。
これに関して2つの考察がある。
第1に、摩擦のない関係は存在しない。それに、摩擦のない関係であってはならない。
なぜなら、結婚の深い意味は、まさに、異なる構造をもつ2つの脳で考えるほうが、ひとりで、あるいは同じ脳をもつふたりで考えるよりも、さまざまな問題(たとえば日常のこと、子どものこと、収入や病気といったこと)をよりうまく解決できるからだ。
この協力関係の自然な副作用が「小さな衝突」だ。
第2に、それまでの気楽な交際から、深く、安定した交際へと移行するときに、あなたは意識的に、最適化するのをやめる。つまり、よりよいと思われるものが目の前に現れても、すぐに「トレード(交換)」する、ということをしなくなる。
経営者が株の取引に投資するのではなく、自分の事業にエネルギーを注ぎ込むように、あなたは自分が結んだパートナーとの関係にエネルギーを注ぐようになる。長期的にはどちらの場合にも報われる。
忠実であるか、ひとりでいるか。じつは簡単なことだ。

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ロルフ・ドベリ(ろるふ・どべり)

作家、実業家

1966年、スイス生まれ。ザンクトガレン大学卒業。スイス航空の子会社数社で最高財務責任者、最高経営責任者を歴任の後、ビジネス書籍の要約を提供するオンライン・ライブラリー「getAbstract」を設立。科学、芸術、経済における指導的立場にある人々のためのコミュニティ「WORLD.MINDS」を創設、理事を務める。35歳から執筆活動を始め、ドイツやスイスなどの世界の有力新聞、雑誌に寄稿。著書に『Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』『Think Smart 間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法』『Think right 誤った先入観を捨て、よりよい選択をするための思考法』『News Diet 情報があふれる世界でよりよく生きる方法』『Not To Do List 失敗を避けて、よりよい人生にするためのやってはいけないことリスト』(すべてサンマーク出版)など。スイス、ベルン在住。©Luca Senoner.

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(作家、実業家 ロルフ・ドベリ)
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