「仕事の成功」が婚活の足を引っ張る――。こんな皮肉な現象が、今、婚活市場で起きています。
「今、成婚が最も難しいとされているのは、経済力も社会的地位も手に入れた40代の『仕事ができる男性』なんです」
彼らはビジネスの世界で長年、自らの市場価値を熟知し、需要と供給のバランスを読み解いてきたはずです。にもかかわらず、キャリアの円熟期を迎えた彼らに、どうしてこのようなことが起きてしまうのでしょうか。
■「自分は選ぶ側だ」という上から目線が抜けない
最大の要因は、婚活市場における自らの「市場価値の経年劣化」に驚くほど疎いことにあります。ここでいう「経年劣化」とは、単なる見た目の衰えではありません。最近の40代、50代は若々しく、見た目が実年齢より10歳以上若いと感じさせる人も多いでしょう。しかし、「見た目年齢」と「実年齢」は全くの別物です。
背景にあるのは、仕事での成功体験をそのまま婚活に持ち込み、「自分は選ぶ側の人間である」という万能感をアップデートできていない点です。そのため、自分より10歳以上年下の女性にアプローチすることに、微塵の違和感も抱きません。
婚活業界では近年、中高年男性が極端に年下の女性へ執拗にアプローチする振る舞いが「おじアタック」と呼ばれています。仕事ができる男性ほど、自分がその当事者であるという自覚が薄い傾向が見受けられます。
■「おじアタック」の成功確率は驚くほど低い
彼らは、自分を面接官のような「評価する側」だと勘違いしています。
しかし、現実は非情です。結婚相談所「パートナーエージェント」によれば、20代女性が希望する男性の平均年齢は33.8歳。一方で実際の成婚相手は30.8歳です。実際、40代で成婚に至った男性のうち、10歳以上年下の女性と結婚できた割合は、わずか6.0%に過ぎません。
この出現率は、純金融資産5000万円以上1億円未満の「準富裕層」の割合(約6~7%)とほぼ同等です。つまり、出現率だけを見れば、40代男性が10歳以上年下の女性を射止めるのは、準富裕層に上り詰めるのと同等の難易度なのです。
■令和の女性は「対等な関係」を求めている
なぜ、仕事ができる男性ほど、こうした見当違いな判断を下すのでしょうか。背景の一つに、深刻なアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)があります。「女性は頼りがいのある年上男性を求めているはずだ」という、強固な思い込みです。
これは、いわば「昭和の成功モデル」の名残です。高度経済成長期から平成初期にかけては、年齢とともに給与が上がる「年功序列」が機能していました。
しかし、令和の今、状況は一変しました。女性の社会進出が進み、経済的に自立した女性にとって、男性に求めるのは「庇護」ではなく「対等なパートナーシップ」です。むしろ、年齢差が生む価値観のズレやジェネレーションギャップこそが、リスクとして忌避されています。
昭和のOS(価値観)をインストールしたまま、令和の婚活市場に参入する男性は後を絶ちません。「男は年上、稼げばモテる」という古いバージョンは、すでにサポート終了を迎えているのです。
■4組に1組が「妻年上婚」
男性たちが「年下攻勢」を続けている間に、夫婦の年齢差の傾向は変化しています。
厚生労働省の人口動態調査(2024年)によると、初婚同士のカップルのうち「妻が年上」の割合は25.5%に達しました。実に4組に1組が「妻年上婚」なのです。
共に俳優の波瑠さん(34歳)と高杉真宙さん(29歳)の結婚が2025年12月末に報じられ、話題となったことは記憶にも新しいですが、この二人は妻が5歳年上のカップルです。
もはや女性は、男性に「経済的庇護」や「年上の余裕」をさほど求めていません。家事育児を共に行い、価値観を共有できる「同年代」、あるいは自分を尊重してくれる「年下男性」へとニーズがシフトしています。
この変化は、結婚相談所においてより顕著に表れています。人口動態調査における「妻年上婚」の伸びが2018年から2024年にかけて1.5ポイントの増加(24.0%→25.5%)にとどまる一方、結婚相談所「パートナーエージェント」の調査では6.4ポイント(11.6%→18.0%)も増加しているのです。
「条件」を重視して相手を探す結婚相談所において、社会全体の動きを上回るスピードで「妻年上婚」が選ばれ始めている――。この数字こそが、今の女性たちのリアルな価値観の変化を何よりも雄弁に物語っています。
■婚活は「若さ」が何よりも評価される
実は、この「仕事での成功=年下希望」という現象は、近年女性側にも見られる傾向です。30代後半の仕事を頑張ってきた女性が「相手は30代前半がいい」と希望するケースは増えています。
彼女たちは総じて外見も磨いており、20代の頃に謳歌した「モテ」の記憶が鮮明です。また、職場の20代後輩とも話が合うため、「自分はまだ年下から需要がある」と錯覚してしまいがちです。
しかし、婚活市場において「若さ」が強力な評価軸であるという事実は、残酷なことに男女共通です。仕事の実績でそのハンデを埋められると思い込むと、男女問わず迷走が始まります。「ビジネス市場と婚活市場では、評価アルゴリズムが根本的に異なる」――この冷徹な事実を受け入れることが、成功への第一歩となります。
■「これまでの仕事の成果」は婚活ではあまり関係ない
ここまで厳しい現実を並べましたが、問題の本質は「仕事で積み上げてきた努力が、婚活市場では機能しない」という悲劇的な構造にあります。
実際、婚活に成功した40代男性の多くは、この「評価軸の違い」を認め、ビジネススキルを「相手の支配」ではなく「柔軟な適応」に切り替えた人々です。
40代の婚活事情に精通する、日本仲人連盟の土橋太郎社長は次のように話します。
「以前、ある男性会員から執拗なアプローチを受けた女性側から相談を受けたことがありました。その男性に事情を伝えると、『情熱を伝えるのが相談所の役割ではないのか』『人として一度会うのが礼儀ではないのか』と反論されたのです。これは、お金を払っているのだから相手や状況をコントロールできるという、ビジネス的な力関係を婚活に持ち込んでしまった典型例です。この認知の歪みこそが『おじアタック』の本質と言えるでしょう」
仕事ができる人ほど、理屈で相手を論破しようとしたり、効率を求めて無駄を省こうとしたりします。しかし、婚活は「効率」だけでは測れません。
土橋さんは続けます。
「なかには『条件を変えて会ってみて、好みじゃなかったらどう責任を取るんだ』とおっしゃる方もいます。
■自分の価値を「アンインストール」できた人が成婚できる
では、どうすれば「おじアタック」を避けることができるのでしょうか。
処方箋は一つしかありません。自分の価値基準を一度「アンインストール」することです。どれほど多くの部下を率いるリーダーであろうと、婚活の場では一人の「年齢を重ねた男性」に過ぎません。年下女性を「若さというリソース」として査定するのではなく、時代の変化を読み、対等な関係を提示できるかどうかが問われています。
土橋さんは続けます。
「結婚相談所の現場で、非常にもったいないと感じるケースがあります。それは『お金を払っているのだから、条件通りの人と出会えて当然だ』という思い込みです。婚活において、男性はどうすれば女性とうまくいくのかというノウハウを重視しがちですが、『マインドセット』こそが成婚を左右するのです」
■「おじアタック」は成功しない
ビジネスの世界では「対価を払えばサービスを受けられる」のが当然ですが、婚活はお相手がいて初めて成り立ちます。「サービスなのだから希望を聞いてほしい」「次々と新しい人が入ってくるからチャンスは続く」といった考え方は、一見合理的に見えて、実は自らの首を絞めているに過ぎません。
土橋さんは、成婚に必要な「潔さ」についてこう続けます。
「理想を追うのは構いませんが、同年代の方も選択肢に入れる柔軟性を持ち合わせてください。チャンスは無限ではありません。数カ月ごとに『選ぶ基準』を見直す潔さが必要です。加えて大切なのが、女性からの申し込みを『宝物』のように扱うこと。プロフィールだけで切らず、まずは会ってみる。自分を客観視する。その姿勢が『選ばれる男性』への第一歩です」
土橋さんの言葉はさらに熱を帯びます。
「私もおじさんの年齢なので、あえて耳の痛いことを言います。『おじアタック』は、普通に考えて成功しません。自分の欲求を強要するおじさんが、今の時代に選ばれるわけがないのです。婚活という戦場において、最後は人間としての『基本』が問われているのだと感じます」
■ビジネスと婚活とでは評価軸が異なることを知る
波瑠さんと高杉真宙さんの結婚を「芸能界の特殊な話」と切り捨てるのは簡単です。しかし、データが示す「4組に1組が妻年上」という事実は、すでに一過性の現象ではありません。
仕事の世界で市場分析や環境変化への対応を求められてきた人ほど、本来ならこの変化を冷静に読み解けるはずです。にもかかわらず、「女性は年上男性を好む」というかつての前提を更新できないまま婚活に臨むと、思わぬズレが生じます。
先述のとおり、ビジネスと婚活とでは「評価される軸」が異なります。しかし、これは決してこれまで積み上げてきたキャリアや努力が無価値になったということではありません。むしろ、その高い分析能力や適応能力を、「婚活市場のリアル」を正しく理解するために振り向けるべきなのです。
時代の変化を前提に自分の立ち位置を見直し、対等なパートナーシップを提示できるかどうか。その柔軟さこそが、令和の婚活市場で「選ばれる」ための現実的な条件になりつつあります。
積み上げてきた経験や実績は、正しく使えば大きな強みになります。新年という節目を、自分自身の価値基準をアップデートする機会と捉えてみてもよいのではないでしょうか。
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平田 恵(ひらた・めぐみ)
タメニー 広報
立命館大学卒業。新卒で人材派遣会社に入社し、入社後わずか7カ月で課長に昇進。その後約5年間、高校野球のリポーターなどフリーランスとしてさまざまなメディアの現場を経験。再び人材業界の勤務を経て、2016年9月にタメニー(旧パートナーエージェント)に未経験広報として入社。2019年8月に人事部マネジャーへ異動(広報も兼任)、2020年10月からグループ広報の立ち上げをひとりで行う。2023年第1子を出産し、産後8週で仕事へ復帰。結婚式や婚活のプロとして数多くのメディアへ出演中。
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(タメニー 広報 平田 恵)

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