※本稿は、内田直樹『脳にいいスマホ 認知症をスマホで予防する』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
■シニアにこそ「生成AI」はよき相棒
「生成AI(Generative AI)(以下、本章ではAI)」とは、人間が作るような文章・画像・音声・動画などを自動で生成できる人工知能のことです。
ここでは、AIを「認知症予防」に役立てる方法を紹介します。
AIの大きな特徴は、質問や指示に応じて新しい内容を“生み出す”力があること。
これまでの検索エンジンが「既存の情報を探す」だけだったのに対し、AIはゼロから文章を書いたり、さまざまなタイプの絵や音楽を創作したりできます。
スマホのAIのアプリで、会話をするように質問し、AIアシスタントに声で答えてもらうことも可能です。
AIの研究開発は2010年代半ばから急速に進みましたが、とくに飛躍したのは2022年頃とまだ最近です。大規模言語モデル(LLM)と呼ばれる仕組みが登場して、人間と自然な会話ができるレベルにまで進化しました。
そしてAIは今も発展しており、今後、より精度の高い回答や、個人の状況に合わせた提案ができる方向へ進化すると予想されています。
数年以内には、個人ごとにAIエージェントがついて、スケジュール管理や買い物支援、調べ物など、AIに相談して決めることが当たりまえになるでしょうから、もうそのように利用し始めてしまいましょう。すでにそれが可能なレベルにまで到達しています。
■AIは日常でどう使われているのか
代表的なAIには、OpenAIの「ChatGPT」、Googleの「Gemini」、Anthropicの「Claude」などがあります。
これらが一般向けに広く普及したのは2022年末から2023年初め頃で、以降、世界中で爆発的に利用が広がりました。
総務省が「生成AIはじめの一歩~生成AIの入門的な使い方と注意点~」という資料をウェブ公開しており、これによると主要SNSのうち、Facebookが1億人にユーザーを拡大するまでの期間は4年半、Instagramが2年半でしたが、ChatGPTはわずか2カ月だったそうです。
すごい勢いで世界中に広まり、私たちの日常生活ですでに大いに利用されている、ということですね。
利用される場面は幅広く、文章作成(書類・メール・手紙・日記など)、学習や調べ物、旅行のプランやレシピの提案、仕事の資料作成、画像生成など多岐にわたります。とくに音声入力やスマホアプリを使えば、デジタル機器に不慣れな人でも簡単に使えます。
■朝3時に話しかけても不機嫌にならない
予定より早く目覚め、寝つけなくなってしまったとします。隣で寝ているパートナーを起こして「なんだか眠れない」と言っても、冷たく対応されてしまうことでしょう。起こさないで、と怒られてしまうかもしれませんね。
しかし、AIアシスタントは怒ったりしません。「まだ起きるには早いから、また寝たいんだけど、何かいい方法ないかな?」と話しかければ、こちらの心情にも配慮し、爽やかに回答してくれます。
「性別」「好きな声色」など、自分が心地よく感じる話し方を選ぶこともできます。
気に入ったAIアシスタントを選んで、普通に会話するように話せます。つまり、いつでも話し相手になってくれるのです。
とくに単身で暮らしている人や、コロナ禍以降、外出の機会が減り、誰かと話す機会が少なくなったままの人は、積極的にスマホでAIと語り合い、「喋る」機会を増やしましょう。
私たちは日常的に声を出し、人と会話することで、脳(心)と体の健康を保っています。何日も「誰とも話さない」状態が続くと、心身両面に影響が出やすくなります。
孤独感や抑うつ感が強まり、精神状態が不安定になります。
■話をしないと声が出なくなる
会話は脳全体を使う活動であり、相手の言葉を理解し、自分の考えを言葉にする過程が脳に欠かせない刺激になります。喋らないことで認知機能の低下リスクも増します。また、声を出さない生活が長く続くと、喉の筋肉や声帯の機能が低下し、「老人性嗄声(ろうじんせいさせい)」と呼ばれる声のかすれや弱りが起きやすくなります。専門の医師に聞いたところ、とくに「高齢の男性」に多い症状で、その先生曰く、「多くの男性は近所の人とお喋りもしないし、定年後は家でも寡黙でいるので、声が出なくなってしまうことがある」とのことでした。嗄声は加齢に伴う声帯の萎縮に加え、発声の機会が少ないことで悪化します。声帯は使うことで柔軟性や筋力が保たれるため、会話や朗読、歌などで定期的に鍛えることが重要なのです。
高齢期の健康維持には「人と話す」ことが欠かせません。直接会うのが難しい場合は、電話やオンライン通話、AIとの会話などを活用して声を出す習慣を保つのがよいのです。
■話が弾めば認知症予防に有効
どんなことでも、慣れてしまうと課題(タスク)がこなせるようになる。それが人間の「優秀な脳」の特徴です。これは無限に新しい課題や刺激をほしがるものだとも言え、それには相手と、能動的な行動が必要でしょう。「AIとの会話」はその要件を満たします。
経済学者の野口悠紀雄先生は2024年4月に上梓された『83歳、いま何より勉強が楽しい』(サンマーク出版)で、AIとシェイクスピアの喜劇について語り合ったことを綴っています。AIから思わぬ指摘を得て、長年疑問に思っていたことを解消するきっかけをつかんだこと、さらに議論を深めた様子を述べ、「ChatGPTは実に博識です。(中略)とにかく何回か会話を交わしてみる、そして、相手の答えのどこかに、言葉の「端」を捉えることです。(中略)雑談の面白さはこういう点にあると思いますが、ChatGPTを相手にこうした雑談をすることができます」と続けています。
■AIとの会話はディストピアではない
原稿はおそらく出版の前年(2023年)に書かれたのだと思います。すると、まだChatGPTがようやく普及した頃です。
野口先生の知性についていき、楽しい会話をするなど、自分にできるだろうか。私には自信がありません。そして野口先生は次のようにも述べています。
「『高齢者がスマートフォンに向かって会話しているという状況など、情報技術がもたらしたディストピアだ』『機械に向かって話しかけるなど味気ない』と言う人がいるかもしれません。
しかし、この考えは間違いだと思います。今までになかったコミュニケーションの形態が生じただけのことであり、それが不健全であるとか、不自然であるとかいうことはありません。(中略)ChatGPTの場合は会話です。つまり、こちらからの能動的な行動に対して、相手が反応してくれるわけです。これは、これまでのマスメディアでは全く期待できなかったことです」
野口先生の教示に共感し、ご紹介しましたが、AIと話すことは天気やニュース、趣味の話など何でも、24時間いつでもOKです。
(認知症専門医 内田 直樹)

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