※本稿は、篠﨑友徳『世界はコンセプトでできている』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
■「もし別の業界だったら?」が新しい価値を生む
自分の慣れ親しんだ業界や分野から一度離れて、他の業界や分野の成功事例や考え方を参考にすることで、慣習や常識にとらわれない新しい視点のアイデアが湧いてきます。
漫画の神様、手塚治虫は「漫画から漫画を学ぶな」という名言を残したと言われています。
これは漫画の練習をサボれという意味ではなく、一流の映画・音楽・芝居・本などの多様な芸術や知識を吸収することによって、そこから自分の世界を築けという意味です。
手塚本人も医学部を卒業して医師の免許を持っていたからこそ、リアルな医学の知識が次々と登場する大ヒット作の『ブラック・ジャック』を描くことができたのです。
たとえば、書店は本を買うところですが、本の目的買いではなく、新しいインスピレーションを求めて書店に滞在する人たちにとっては「知的な時間を過ごす場所」になっています。
そこに目をつけ、書店にカフェやギャラリーを併設した施設として2011年に開業したのが「代官山蔦屋書店」です。
代官山蔦屋書店を訪れた人は、本を購入しなくても、併設されたスターバックスでドリンクを注文して、そのまま書店内で作業したり、思い思いの時間を過ごします。
その平均滞在時間は、普通の書店の実に3~4倍とも言われ、お客様の約半数が2時間以上滞在するそうです。
■「○○×カフェ」の発想を応用すると
さて、代官山蔦屋書店はこのような「書店」×「カフェ」という発想で成功を収めましたが、この視点は書店だけではなく「知的な時間を過ごせる場所」であれば、他の業界でも応用することができます。
そこで、書店以外の業界で「カフェ」との組み合わせによって、新しい価値をつくった事例を列挙してみました。
「カーディーラー」×「カフェ」
車を買うだけのディーラーではなく、車を眺めながら、来店者それぞれの上質な時間を過ごせる場所へ。
そこで過ごした体験が、来店者にとって車のブランドイメージそのものになります。
「インテリアショップ」×「カフェ」
家具や観葉植物を買うだけの店ではなく、自分らしい生活をイメージしながら、好きなように過ごせる場所へ。
来店者にとっては、購入したいと思っている家具や雑貨のある部屋でくつろぐ疑似体験ができる場所になります。
「美容室」×「カフェ」
髪を切ってもらったり、ヘアスタイルをつくってもらうだけの場所ではなく、「その前後も特別なリラックスタイムを過ごせる」場所へ。
「即来店、即退店」が当たり前の美容室で、マッサージやアロマなども含め、そこでしか味わえない新しい心地よさを体験できる「長居する空間」になると、美容室そのものが持つ価値が大きく変わってきます。
このように、他業界の成功事例から、新しい視点を考えることができます。
■個人に最適化することで価値をアップ
2010年代に「教材」×「パーソナル」を掛け合わせる構造がブームになり、一般化し始めました。
ここで言う「パーソナル」の意味は、「1人ひとりに最適化された」という意味です。
デジタル技術・AI技術・ビッグデータ活用などが進んだ2010年代から使われるようになりました。
たとえば、学校教育や人材育成、英会話、趣味領域などの「パーソナルラーニング」は、塾の個別指導のように、生徒それぞれの興味や習熟度に応じて、最適なカリキュラムになるように自動的にカスタマイズされた教材を提供する教育サービスとして、今とても人気があります。
仮に、他の業界で商品やサービスを取り扱っている人が、この教育業界の「教材」×「パーソナル」の構造を参考にしたら、次のような新しい価値をつくることができるのではないか、と思います。
■「○○×パーソナル」の発想を応用すると
「トレーニング」×「パーソナル」
ジムで専門のトレーナーが、利用者1人ひとりの目的や体力に合わせて、マンツーマンでトレーニングや食事、生活習慣までを指導する「パーソナルトレーニング」。
「サプリメント」×「パーソナル」
ヘルスケアや美容系のサプリメントで、サイトやアプリで個人の悩みの相談に乗ったあと、その悩みにぴったりなサプリメントを送る「パーソナルサプリ」。
「ショッピング」×「パーソナル」
通販サイト、百貨店、アパレルなどで、顧客の嗜好に合わせた商品を提案する「パーソナルショッパー」や「パーソナルスタイリング」など。
このように、自分の業界の常識だけでものごとを考えず、他業界の常識や成功事例を参考にすることによって、新しい視点と価値が生まれるのです。
■近くの競合を真似てもインパクトが足りない
たとえば、スターバックスの「サードプレイス(第3の場所)というコンセプトは、アメリカ国内にある競合の喫茶店の優れたところから学ぶのではなく、イタリアで社交の場となっていたエスプレッソバーからインスピレーションを得たものでした。これは、アメリカだけを見ていては得られなかった、「新しい視点」と言えるでしょう。
また、同じコーヒーショップの、アメリカのブルーボトルコーヒーも、創業者のジェームス・フリーマンが来日した際、日本の喫茶店のマスターがゆっくりと丁寧にコーヒーを淹れるスタイルと技術の高さに衝撃を受けた結果、国外1号店を東京の清澄白河へ出店することを決めたと言います。
さらに、そのインスピレーションから生まれたコーヒーも京都の店舗で提供しています。このように、異なる国や地域の視点は、今も昔も、大きなインパクトになります。
■場所が変われば「既存の価値」も新しくなる
「お好み焼き」を食べるとき、日本では、ソースやマヨネーズをつけますよね。
実は今、フランスでは「お好み焼き」が寿司やラーメンに続く日本食としてブレイクしており、パリのお好み焼き屋さんは多くのフランス人で賑わっています。
その最大の理由は、日本人には馴染み深い、あの茶色い「ソース」と言われています。
フランス料理はさまざまな食材で丁寧につくられた「ソース」を大切にする文化ですが、そのソースの本場のフランスでは、これまで日本の定番ソースに馴染みがありませんでした。
それがひとたび持ち込まれると「おいしい!」と評判になったのです。
さらに、お好み焼きはベジタリアンなど、現地の食習慣に合わせたメニューをつくりやすいことも相まって、その人気が広がっているのです。
このように、国や地域が違うだけで、モノや体験の価値は大きく変わってきます。
そのため、「別の場所にすでにある価値を、こちらに持ち込むとどうなるか?」と考えたり、逆に「別の場所に持っていくとどうなるか?」といった視点で発想したりしてみると、新しい価値が生まれてくるかもしれません。
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篠﨑 友徳(しのざき・とものり)
クリエイターボックスCEO
2007年、慶應義塾大学理工学部卒業。同年、博報堂入社。さまざまな企業のクリエイティブ制作や、統合的なコミュニケーション戦略設計に携わる。2017年、クリエイターボックスを創業。商品やサービスのコンセプト開発からブランディング、メディア展開までをワンストップで行う。
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(クリエイターボックスCEO 篠﨑 友徳)

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