■一見やる気のない子の「頭の中」
中学入試が本格的に始まるこの時期。日が過ぎるごとに、親の焦りは募る一方でしょう。この時期の子どもたちの心情や状態はさまざまですが、大きく二つのパターンに分かれます。
一つは、「やっと緊張し始めた」という子どもです。12歳の子どもにとっての「数週間後」は、大人の体感に置き換えると3~4カ月分に相当するほど長いものです。ましてや、多くの子どもたちにとって、入試という“本番”は初めての経験です。まじめにコツコツ勉強してきた子でも、「まだ3週間もあるから大丈夫」と楽観的に捉えているかもしれませんし、ようやくエンジンがかかってきた子もいるでしょう。
もう一つは、「逃げ出したくなっている」子どもです。一見、あまり勉強に身が入らないように見える子もいるかもしれません。しかしこういった子は、やる気がないのではなく、押しつぶされそうな不安から目を逸らしている可能性があります。
多くの子が「本番が近いということが、やっと分かってきた」今、特殊な状況に置かれていることは間違いありません。
■親の焦りが招く「言ってはいけない言葉」
この時期の親は子ども以上にやるべきことが多いと言えます。実際に受験する学校の最終調整、願書の提出、併願校のシミュレーション、入試当日の自分と子どもの行動スケジュールの検討……。タスクが多すぎて、つい子どもにも「今まで勉強したことが、身についていないじゃない!」などとネガティブな言葉をぶつけてしまいがちです。
しかし、この時期に絶対に避けるべきなのは、子どもに対して「一方的な言葉を投げつけること」です。「勉強しなさい」「がんばって」という言葉は、すでに限界までがんばっている子どもをさらに追い込んでしまいます。中学受験生は、朝から晩まで学校と塾を往復する過酷な日々を数年続けています。日本で一番がんばっているのは彼らだと言っても過言ではないからこそ、慎みたい言葉です。
また、一部の子どもは、反抗期に差し掛かっているかもしれません。その場合は、心に土足で踏み入ると逆効果になることもあります。反抗期は避けられない「台風」のようなものだと割り切り、真正面からぶつかりすぎないことが重要です。
■見るべき行動と「子どもに伝えたい言葉」
親はこの時期、何を注視し、どう接すればよいのでしょうか。
子どもにかける言葉としておすすめなのは、「お疲れさま」という労いです。送り出すときは「がんばって」ではなく「いってらっしゃい」、帰ってきたときに「お疲れさま。何か手伝おうか? 丸付けしようか?」と、“あなたと一緒に戦っているよ”というニュアンスを伝えるようにしましょう。
加えて、「受験が人生のすべて」というスタンスを封じることも大切です。仮に中学受験で第一志望に受かっても、勉強はまだまだ続きます。受験はゴールではなく、あくまで通過点です。
改めて考えると、中学受験はとても特殊です。公立へ進学する道もありますから、受験が必須というわけではありません。
だからこそ、親が中学受験に熱中しすぎず、少し先を見据えましょう。そしてぜひ、家庭内に「安心できる空気」が生まれるよう、心がけてみてください。
■受験直前に「ぐぐっと伸びる子」の共通点
中には、入試直前に急成長する子どももいます。彼らには明確な共通点があります。それは、「タイパとコスパに振り切った勉強」をしていることです。
私たちは普段「本質を理解し、じっくり考える」ことを重視して指導しますし、それが教育の本質であると思いますが、この直前期だけは別です。「あと10点足りない」なら、どの分野を潰せばその10点が取れるのか。伸ばすべきポイントを明確にし、1点でも多く取るための勉強に切り替えられた子が、最後にぐっと伸びていきます。
今の時期の子どもたちは、これまでの3倍、5倍の吸収力を持っています。この「人生最大の集中力」を、得意な分野の復習や、確実に取れる問題を増やすことに注ぎ込む。
■入試前日~当日、親が心がけるべきこと
受験期の食事では栄養をとることが大事ですが、あえて親が無理をしないように心がけることも、家庭内のピリピリした空気を和らげる秘訣です。普段からあまりがんばらず、時短を意識していただいてよいと思います。冷凍食品などの利用もアリでしょう。
入試前日の食事は「カツ」などの重いものではなく、「鍋」がおすすめです。準備に時間がかからず、体も温まります。
そして迎えた入試当日。親にできることはただ一つ、「ドンと構えていること」です。子どもと手をつなぎ、背中をさすりながら入試会場に向かい、たどり着くだけで勝ちだ、というくらいでよいのではないでしょうか。
2月1日や2日、朝一で入試会場に入っていく子どもたちを見たときに、これ以上「がんばれ」などの言葉はかけられないです。それほどまでにがんばってきたわが子の背中を見て、親自身も「よくやった」と自分を褒めてあげてください。
子どもには「新しいこと、難しいことはしない」よう伝えるとよいでしょう。
■受験は「家族の絆」を育む一大イベント
中学入試本番の5日間は、人生でもっとも過酷な時間かもしれません。朝5時に起き、午前・午後の試験をこなし、夜にはネットで結果を確認する。不合格の「×」を見て、涙を流す子どもを支えながら翌日の作戦を練り、また早朝に家を出る……。子どもにとっても、12年間の人生で、これほど濃密な経験は他にないでしょう。
しかしこの過酷なプロセスこそが、最新のAIでも決して育むことのできない「これからの時代に必要な力」を育みます。それは、一つの目標に向かって一丸となり、泥臭く走り抜ける経験です。塾の仲間との絆や家族の連帯感は、結果がどうあれ一生の財産になるはずです。
最後に、入試直前のご家庭へアドバイスを。携帯の情報を遮断し、周りと比べず、わが子の衣食住のクオリティを少しだけ上げてあげてください。好きな入浴剤を入れる、少しよい布団を用意する、車で送迎して好きな動画を見せてあげる……。
合否よりも大切なのは、無事に試験場までたどり着き、全員で走り切ること。家族みんなでここまで歩んできた道のりを誇りに思い、どうぞどっしりと構えて、本番の門をくぐらせてあげてください。
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富永 雄輔(とみなが・ゆうすけ)
進学塾VAMOS(バモス)代表
幼少期の10年間、スペインのマドリッドで過ごす。京都大学を卒業後、東京・吉祥寺、四谷に幼稚園生から高校生まで通塾する進学塾「VAMOS」を設立。入塾テストを行わず、先着順で子どもを受け入れるスタイルでありながら、毎年約8割の塾生を難関校に合格させている。受験コンサルティングとしての活動も積極的に行っており、年間300人以上の家庭をヒアリング。その経験をもとに、子どもの個性にあった難関校突破法や東大生を育てる家庭に共通する習慣についても研究を続けている。
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(進学塾VAMOS(バモス)代表 富永 雄輔)

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