※本稿は、小林義崇『相続税調査でわかった 富裕層が大事にしている「お金の基本」』(講談社+α新書)の一部を再編集したものです。
■投資で「社会保険料」の負担も減らせる
株式投資は税金面でメリットが大きいですが、実は「社会保険料」の面でも投資には大きなメリットがあります。
あなたの給与明細をじっくりと見てください。おそらく多くの方が、「所得税」の欄に書かれた金額よりも、健康保険料と厚生年金保険料の合計額の方が大きいのではないでしょうか。
そう、社会保険料の負担は所得税よりも高くなることがあります。たとえば、年収700万円の会社員の場合、所得税・住民税でおよそ90万円の負担となるのに対し、健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料は年間100万円を超えるケースもあります。
図1が示すように、税金の負担率は1989年度に消費税が導入された以降は、そこまで大きく変わっていません。ところが社会保障の負担率は同じ期間に10.2%から18.1%にまで右肩上がりに急上昇を続けています。
この背景には日本の高齢化に伴って、医療や年金などにかかる保険料の負担が急激に増加してきたことがあります。では、今後はどうなっていくのでしょうか?
■「給与所得」だけに依存するリスク
2025年10月21日に高市早苗氏が内閣総理大臣に選出され、日本維新の会が連立政権に加わりました。公開されている連立合意書には「社会保障全体の改革を推進することで、現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくことを目指す」と明記されています。
また、高市首相は所信表明演説で、社会保障の給付と負担のあり方を議論するため、超党派かつ有識者も交えた「国民会議」を設置すると表明し、税と社会保障の一体改革を推進する方針を示しました。
こうした動きを見ると、現役世代の社会保険料の負担が多少は抑制される可能性はありますが、今後ますます日本の高齢化が進行することを考えると、大幅に負担が減ることは考えにくいでしょう。
しかも、この社会保険料は、税金のように控除で負担を減らすことができないのです。税金には医療費控除や雑損控除など負担を軽減できる仕組みが複数設けられていますが、社会保険料にはそのような仕組みがありません。
たとえば会社員の場合、毎年4月から6月に支給される給与などをベースとした「標準報酬月額」を元に社会保険料が算定され、その金額が原則として1年間、毎月支払われる給与から差し引かれます。つまり、昇給したり、残業を多くしたりすると、収入増加に合わせて自動的に社会保険料が増えていきます。これでは手取りを思うほど増やせません。
■資産形成の「スピード」を最大化する
このワナから抜け出すには、「残業ではなく、投資で収入を増やす」という方法が効果的です。
というのも、あなたが会社員なら、株式投資でいくら利益を得ても、社会保険料は1円も増えません。さきほど説明したように、会社員の社会保険料は、あくまでも会社から支払われる給与を元に計算されるからです。
残業で1万円多く稼げば、そこから税金に加えて約15%もの社会保険料が引かれます。しかし、NISA口座での投資で1万円の利益が出れば、それは全額があなたのものです。
この、「実際は利益を得ていても、社会保険料の計算上はカウントされない」という特殊性が、株式投資にしかない大きなメリットなのです。
ここで、「でも、それは会社員だけの話では?」と思われた方がいるかもしれません。たしかに個人事業主や年金生活者など会社員以外の人の場合、投資で利益を得た場合に国民健康保険料がアップするおそれがあるのは確かです。
しかし、このような会社員以外の人であっても、投資で得た利益を社会保険料に影響させないようにする方法があります。それが、証券口座を開設する際に、iDeCoやNISAを利用するか、「特定口座(源泉徴収あり)」を選ぶことです。
■選択すべきは「特定口座(源泉徴収あり)」
通常、個人事業主などの場合は、前年の所得をもとに社会保険料(国民健康保険料)が計算されます。しかし、NISAで投資をしておけば、そもそも非課税なので確定申告が不要となります。
iDeCoの掛金を将来一括で受け取るときも、これは国民健康保険料に影響しないルールになっています。NISAやiDeCoを使わない場合も、「特定口座(源泉徴収あり)」を選択しておけば、確定申告が不要となり、株式の売却益などが社会保険料を算定する際に本人の所得としてカウントされずに済みます。
私が税務署の窓口にいた頃の、忘れられない相談があります。ある専業主婦の方が、「株の投資で儲かったのですが、夫の扶養から外れてしまいますか?」と、不安そうな顔で尋ねてこられました。
詳しくお話を伺うと、彼女は大手総合商社やグローバルブランドの株式に投資をして数百万円の利益を得ていたのですが、特定口座(源泉徴収あり)で投資を行っていたため、確定申告をする必要はありません。
会社員の夫の扶養に入っていれば、その奥さんは「国民年金第3号被保険者」という制度によって、社会保険料の負担なく国民年金をもらうことができます。扶養に入りながら投資で稼ぐというのは、家計の資産形成を行ううえでは非常に有利です。
■会社員が活用すべき制度
このように、投資には純粋なリターンだけでなく、税金や社会保険料の面でメリットが大きいことを理解してください。「手取りを増やしたい」と本気で思うなら、まずは少額からでも投資を始めてみましょう。そうして税金や社会保険料の面で浮いたお金をさらに投資に回せば、ますます豊かになっていきます。
投資は税金のみならず社会保険料の面でも有利であり、NISAやiDeCoのような制度を使うことでさらにメリットが増します。
会社員の場合、もう一つ非常に有利な制度を使える可能性があります。それが、企業型確定拠出年金(企業型DC)です。企業型DCは企業が従業員に提供する福利厚生のひとつで、ごく簡単に言えば、「会社があなたのために掛金を積み立ててくれて、そのお金を将来の退職金として育てる制度」です。
企業型DCに関する手続きは勤務先の会社がほとんど行ってくれるので、従業員は毎月の掛金をどのような運用商品に配分するかを決めるだけです。しかも、口座管理手数料を会社が負担してくれるというメリットもあります。
■あなどれない「非課税」の威力
企業型DCを導入している企業に勤めている場合、基本的には企業型DCに自動的に加入します。しかし、中には企業型DCについて「選択制」を採用している企業もあり、この場合、企業が拠出する資金を、「企業型DCの掛金にする」か「給与への上乗せで受け取る」かを選択できます。
どちらを選択するかを考えるとき、「給与としてもらって、NISAやiDeCoで運用したほうがいいのでは?」と思われたかもしれませんが、ここは慎重になる必要があります。というのも、給与の上乗せとして受け取る場合、社会保険料に影響してしまうからです。
一方、企業型DCの掛金にすれば、給与としてもらっているわけではないので、社会保険料が増えることはありません。
たとえば、会社があなたの企業型DC口座に毎月1万円を積み立ててくれたとしましょう。もしこれが「給与に1万円上乗せ」という形であれば、税金と社会保険料で約3000円が引かれ、あなたの手取りは7000円程度しか増えません。しかし、企業型DCなら、会社が拠出した1万円が、1円も引かれることなく、まるごとあなたの将来の資産になるのです。
■企業型DCを活用する注意点
さらに、あなたの会社が「マッチング拠出」という仕組みを導入していれば、自分でも掛金を追加することができます。この自分で上乗せした掛金は、iDeCoと同じく全額が所得控除の対象となるので、節税効果が高くなります。年末調整でマッチング拠出の掛金が控除として計算されるため、税金が還付・軽減され、手取りを直接増やすことができるのです。
注意したいのは、企業型DCの運用商品は、iDeCoやNISAと比べて圧倒的に少ないという点です。
その中には信託報酬(手数料)が高い商品があったり、自分の投資方針に合わない商品しかなかったりといった問題があります。また、会社を辞めると企業型DCの加入資格を失うため、退職後に転職先の企業型DCやiDeCoに資産を移す手続きが必要になることも覚えておきましょう。
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小林 義崇(こばやし・よしたか)
フリーライター
1981年福岡県生まれ。西南学院大学商学部卒業。2004年に東京国税局の国税専門官として採用され、以後、都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所において、相続税の調査や所得税の確定申告対応、不服審査業務等に従事。2017年7月、東京国税局を退職し、フリーライターに転身。書籍や雑誌、ウェブメディアを中心とする精力的な執筆活動に加え、お金に関するセミナーを行っている。『すみません、金利ってなんですか?』『僕らを守るお金の教室』(ともにサンマーク出版)、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)、『2050年のインド経済 急成長する巨大市場の現在地と未来図』(NEXTRAVELER BOOKS)ほか著書多数。
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(フリーライター 小林 義崇)

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