■年度末は転職市場が活気づく
今年も3月が近づいてきました。木々が色づき緑豊かな季節の到来です。
しかしリーダーや経営者のみなさんにとっては、心が痛む季節でもあります。
決算や目標達成への追い込みで多忙になるうえに「人の問題」も同時に抱えている方も多いでしょう。
この時期は、会社を辞める人が増え転職市場が活気づくタイミングです。
ある経営者はこの時期に多く流れる転職を促すCMを見て憤っていました。「加藤先生、転職のCMって社員にはいいかも知れませんが、経営者の私が見ると腹が立って仕方がないんですよね」と。その気持ち、よくわかります。
私が支援しているコンサルティングの現場でも、とくに、たくさんの業務量をこなす優秀な社員が、糸が切れたように潰れたり、期待をかけていた若手社員が退職願を出してきたりすることがあります。そんな時、リーダーは「仕事が多すぎた(オーバーワーク)から耐えられなくなった」と結論づけがちですが、真の原因は「量」ではなく、別のところにあります。では、一体どんなところなのか? 一緒に見ていきましょう。
■意欲的だった支店長が潰れた…
事例1:大阪の小売店|情熱が「孤立」に変わる時
50代の支店長Aさんは、年度末の決算セールに向けて燃えていました。近隣エリアの支店長同士がチームを結成し、販促プロジェクトのリーダーとして「支店同士で情報交換しながら協力して、みんなで過去最高記録を作ろう」と誰よりも意欲的でした。周囲の店長達も最初はその想いに呼応してやる気を見せていましたが、徐々に自分のお店のことしか見えない状況に。
Aさんは「情報連携しながら、良いところを伸ばし、うまくいかないことは改善策をみんなで共有しよう」とメールで呼びかけるも返信無し。資料提出の締め切りは守られず、みんなで決めたはずのミーティングもドタキャンが相次ぎ、Aさんは徐々に虚しくなっていきます。孤軍奮闘は長くは続きません。やがて、自分だけが空回りをしているように感じて、何より、お互いを助け合わない同僚に失望していきました。
結果的に、社長に「このプロジェクトを続けられない。辞めさせてほしい」と涙ながらに訴えてきたそうです。
■離脱前には必ず「サイン」がある
後日、他のプロジェクトメンバーと話す機会がありましたので聞いてみました。「Aさんがプロジェクトから抜けられましたね。どんなお気持ちですか?」それに対する回答は「私は、Aさんに頼まれた資料を出しましたので関係ありません。
さらには、ほかのチームメンバーにAさんが「いまのチームでうまくいかないから、チームをシャッフルしたい」と相談していたことがわかりました。それを聞いたメンバーは、「うまくいってないんだね。がんばるしかないね」と軽く流してしまったとのこと。「大したことないだろうと」と誰にも報告も相談もせずに放置してしまったのです。Aさんのこの時の心の叫びを聞き取ることができていれば、離脱するまえに何か手を打てたことでしょう。
今回のケースに限らず、人はチームを離脱したり、うつ病になったり、会社を辞めることもありますが、実はそうした事態が起きる数カ月~数週間前には、必ず何かの「サイン」を出しています。例えば、いつもは元気に出社してくるのに浮かない表情をしている、会議で発言回数が減ってきている、なにか考え事をしていることが多い、メールの返信が遅くなるなど、言葉に出さなくても何かしらのサインを出しているものです。このSOSのサインを見逃してしまうと、取り返しのつかないことになります。経営者やリーダーの方は、SOSのサインを見逃さないように誠実な関心を寄せる必要があります。
■上司とのキャリア面談が「退職の引き金」に…
事例2:東京の食品メーカー|「聴くだけ」が信頼を粉砕する
20年勤めた優秀なBさんが、年度末に突如「本領発揮できない」とライバル社へ転職を決めた。
原因は、会社が大切にしていたはずの「キャリア面談」そのものにあったのです。
Bさんは営業職で活躍していましたが、違う部署への異動希望をキャリアシートに書きました。Bさんにとっては、直属の上司からどう思われるんだろうと内心ビクビクしていたといいます。ですが、その後に行われたキャリア面談では異動については何も話題にならなかったのです。何のリアクションも無いことに、Bさんは上司と会社に対して不信感を募らせていきます。異動出来ないなら出来ないで、出来ない理由を説明してほしかったのです。
「いったい何のためにキャリアシートに記入したんだ! 何のためのキャリア面談なんだ!」
Bさんからすれば、悩みに悩んで決死の想いで異動希望を出しただけに自分の気持ちを踏みにじられた気持ちになったのでしょう。
キャリアシートやキャリア面談をする会社は多いのですが、実際に希望通りにキャリアチェンジが出来る方は少ないでしょう。会社も事業である以上、会社都合もあるからです。しかし、問題は無反応ということです。
社員が覚悟を持って発した言葉を「聴きっぱなし」にすることは、本人の気持ちをないがしろにすることになります。これでエンゲージメントが高まるはずがありません。
■人を壊すのは「大変な仕事」ではない
AさんのケースもBさんのケースも、共通しているのは、相手への「興味・関心の欠如」です。
意を決して誰かに相談したり、自分の想いを伝えた時、伝えた側も相手がどう受け止めるかを気にしているものです。にも関わらず、ノーコメント、ノーリアクションでは相手を孤独に追い込むことになります。孤独は、ほかに人が居なくて孤独を感じるのではありません。どんなに職場に同僚がたくさんいても自分に関心を寄せられなかった時に孤独を感じるのです。
経営者やリーダーと話していると、「うちの社員にすこし大変な仕事を任せると、すぐ潰れてしまいます。どうすればよいでしょうか?」と相談されることがあります。そんな時、「相手に仕事を任せたあとに、節目節目に労いの言葉をかけましか? いま、どんな気持ちで取り組んでいるか? など感情に寄り添う質問をしましたか?」と聞くと、多くの場合が、進捗確認しかしていません。
人間はロボットではありませんから、それでは信頼関係も作れません。
人は業務量が多くて潰れるのではなく、忙しい時に「何か分からないことない?」とか「大変そうだから手伝おうか?」とか「この仕事が終わったら、こんな成長ができるね」などといった感情に寄り添う「声がけ」が無いことが孤独を感じさせ、結果的に潰れていきます。
「自分も忙しいから」「自分の仕事じゃないから」と個人主義で助け合わない組織風土は、意欲ある人を確実に追い詰めていきます。結論を言えば、働いている人が幸せじゃないのです。
■「お節介」が組織の命綱になる
ぜひ、経営者やリーダーのみなさんには、部下や後輩に「声がけ」をしてほしいと思います。
これまで述べてきたように進捗報告や業務上のホウレンソウではなく、相手の出している「サイン」を見逃さずに、相手の気持ち、表情に気を配ってほしいのです。ここまでは踏み込みすぎかなと思われるかもしれませんが、何もしないで相手が潰れていくよりは、余程いいです。むしろ、踏みすぎて嫌そうな表情をされた際には、その時に初めて違うアプローチを考えましょう。
繰り返しますが、部下や後輩からすれば、自分に無反応でノーコメント、ノーリアクションな上司より、少しぐらいお節介な上司のほうが救われます。
ぜひ、忙しくなりがちな年度末のシーズンだからこそ、社員同士がお互いに声がけをして、お互い様とおかげ様、支え合いと助け合いが起きる素敵な組織風土を作っていきませんか?
----------
加藤 芳久(かとう・よしひさ)
組織変革コンサルタント
リーダー育成と組織変革を得意とする。「理念型育成®」を日本で初めて開発・体系化した人財育成の専門家。情報経営イノベーション専門職大学客員教授。大学卒業後、大手旅行会社、コンサルティング会社を経て、2016年に加藤経営を設立。2022年にファイブベイ(FiveVai)設立、取締役副社長兼CHO(チーフハピネスオフィサー)に就任。
----------
(組織変革コンサルタント 加藤 芳久)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
