■内申点が「下がる生徒」と「上がる生徒」の違い
「音楽」「美術」「保健体育」「技術家庭」の実技4教科で、生徒にとって鬼門となりやすいのは実技を伴う美術と体育です。描き方を習うだけではカバーできない画力や、教わっただけでは再現できない体の使い方があるからです。
つい最近、ある生徒が美術の授業で「自分の左手を描く」という課題に取り組んでいました。彼は先生から構図の取り方や影のつけ方などの「理論」は教わっていました。しかし、「頭では分かっているのに、自分の手がどうしても思い通りの線を描いてくれない」と嘆いていました。ここには、一朝一夕では埋まらない「画力」という技術の壁が存在します。
体育も同様です。バレーボールの授業で、レシーブの構えや膝の使い方を知識として教わっていても、実際に飛んでくるボールに対して瞬時に体を反応させることができない生徒もいます。その生徒は「テストでは良い点が取れているのに、自分だけうまくレシーブを上げられないから内申5は期待できない」と嘆いていました。
このように、実技においては得手不得手があるものですが、不得手だからといって諦める必要はありません。授業態度や作品の制作過程なども内申点に大きく影響するからです。
今回は、実技4科目の各科目で、内申点が「5~10点下がる生徒」と「5~10点上がる生徒」の違いについて具体的に考えてみましょう。
詳細は、弊著『中学校の実技4科が1冊でしっかりわかる本』(かんき出版)に詳しいので、参考にしてください。
■習った内容や条件に沿っているか
【音楽】「歌のうまさ」以上に「聴く力・伝える力」
多くの生徒が「歌が下手だから評価が低い」と思い込んでいますが、実は「鑑賞」の授業で損をしているケースが目立ちます。
下がる生徒:歌唱テストで恥ずかしがって十分な声量で歌えない生徒も少なくないようです。また、鑑賞の時間にただ曲を聴いているだけの生徒もいます。また意外と国語的な表現力が影響することもあります。たとえば、曲の感想を書いても「きれいな曲だった」「感動した」といった抽象的な言葉しか書けないと、思考力・表現力の観点で評価されづらいです。
上がる生徒:歌唱では、大きく口を開けて指揮者を見ている生徒です。そして鑑賞では、「長調から短調への転調が、主人公の悲しみを表していると感じた」など、授業で習った専門用語(強弱、テンポ、構成など)を使って「授業の内容を理解して聴いている」というアピールが重要です。
【美術】「画力」をカバーする「指示遂行力」
先述した通り、画力には個人差がありますが、美術では「上手下手」だけでなく「条件を満たしているか」も重要です。
下がる生徒:「枠いっぱいに着色する」「レタリングの明朝体の特徴を捉える」といった先生の指示を無視して、自己流で取り組む生徒です。また、片付けの時間になってもダラダラと作業を続けたり、筆を洗うのが雑だったりすると、主体的な態度の評価が下がります。
上がる生徒:たとえ絵が苦手でも、「枠からはみ出さない」「塗り残しを作らない」といった丁寧さで勝負する生徒です。また、授業の振り返りシート(作品カード)に「なぜこの色を選んだのか」「どこを工夫したのか」という制作の意図を明確に言語化できる生徒は、技能の拙さを思考・判断の評価でカバーすることができます。
■「自分がプレーしている時間」以外も見られている
【保健体育】「運動神経」よりも「貢献と分析」
実技4科の中で最も「集団行動」が見られる教科です。「自分がプレーしていない時間」が勝負どころです。
下がる生徒:運動は得意でも、準備体操を適当に済ませたり、チームの話し合いでふざけたりする生徒です。また、試合の待ち時間に座り込んでおしゃべりをしていると、「授業に参加していない」とみなされます。当然、忘れ物(体操着、体育館履き)は致命傷です。
上がる生徒:運動が苦手でも、準備や片付けを率先して行い、試合中は「ナイスプレイ!」「ドンマイ!」と誰よりも大きな声で雰囲気を盛り上げる生徒です。また、振り返りシートに「チームが勝つために、自分はどの位置で守るべきだったか」といった戦術的な分析を書ける生徒は、技能以外の観点で高い評価がつく傾向があります。
【技術家庭】「段取り」と「安全管理」
技術家庭は完成品の良し悪し以上に「過程」が重要視されます。
下がる生徒:材料や用具の忘れ物をしたり、提出物の期限遅れをしたりすれば致命傷です。また、調理実習や木工作業で、面倒な洗い物や掃除を同じ班の誰かに押し付ける生徒も、先生は見ています。
上がる生徒:「PDCAサイクル」を回せる生徒です。実習中に失敗したとしてもそれを隠さず、レポートに「なぜ失敗したか(原因)」「次はどう改善するか(対策)」を具体的に書ける生徒は評価されます。また、刃物や火を使う授業が多いため、安全確認の声出しができるなど、周囲への配慮ができる生徒も高評価につながります。
■自分の「好き」や「得意」を見つける場に
受験生のみなさんは、毎日、英数国理社の勉強に部活にと、本当に忙しい日々を送っています。そんな中で、音楽、美術、保健体育、技術家庭といった実技4教科は、どうしても「副教科」として後回しにされがちかもしれません。
しかし、人生の先輩として、これだけは伝えさせてください。この4教科こそが、これからの激動の時代を生き抜くための強力な武器になります。
今は、親世代の成功ルートがそのまま通用する時代ではありません。正解のない世界で、自分なりの答えを出さなければならない。そこで必要になるのが、内面を見つめる「自己理解」と、外の世界を知る「世界理解」という2つの理解だと私は考えます。
音楽や美術は、まさに自分を知る旅です。「何が美しいか」「何が好きか」。論理だけでは割り切れない自分の感性を磨くことは、迷った時に立ち返れる自分だけの羅針盤を作ることになります。また、音楽や体育を通じて仲間と呼吸を合わせ、チームで何かを成し遂げる経験は、他者と共に生きる喜びを教えてくれます。
一方で、技術家庭科は、急速に進化する世界を理解するレンズです。AIやテクノロジーが社会をどう動かしているのか。その仕組みを知ることは、変化に翻弄されるのではなく、変化を味方につけて生きる力になります。
どうか、これらの授業を「失敗してはいけない場(減点法)」だなんて思わないでください。むしろ、自分の「好き」や「得意」を一つでも多く見つける「加点法」の場として、情熱を持って向き合ってほしいのです。教科書や偏差値の中にはない、みなさんを豊かにする答えが、きっとそこには待っています。
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清水 章弘(しみず・あきひろ)
学習塾経営者
1987年、千葉県船橋市生まれ。海城中学高等学校、東京大学教育学部を経て、同大学院教育学研究科修士課程修了。
プラスティー教育研究所:東京、京都、大阪で中学受験、高校受験、大学受験の塾を運営する学習塾。代表はベストセラー『現役東大生がこっそりやっている 頭がよくなる勉強法』(PHP研究所)などの著者で、新聞連載やラジオパーソナリティ、TVコメンテーターなどメディアでも活躍の幅を広げる清水章弘。「勉強のやり方を教える塾」を掲げ、勉強が嫌いな人のために、さまざまな学習プログラムや教材を開発。生徒からは「自分で計画を立てて勉強をできるようになった」「自分の失敗や弱いところを理解し、対策できるようになった」の声が上がり、全国から生徒が集まっている。学習塾運営だけではなく、全国の学校・教育委員会、予備校や塾へのサービスの提供、各種コンサルティングやサポートなども行っている。
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(学習塾経営者 清水 章弘)

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