※なお、本稿は個人が特定されないよう、相談者のエピソードには変更や修正を加えている
■「バツイチ男性」は意外と需要アリ
結婚相談所で婚活するのは、初婚の方ばかりではない。バツイチの方も数多く婚活している。
バツイチのかたは、確かに一度は結婚に失敗した。失敗したからこそ、次こそは、過去の過ちを繰り返さず、幸せをつかもうと婚活しているのである。
では、バツイチのかたは、失敗を繰り返さないために、相手のどんなところをみているのであろうか? また、お見合い相手がバツイチの場合には、どんなところを見極めていければ、幸せになれるのであろうか?
今回は、私が主催する結婚相談所で実際にあった事例をもとに、幸せになれるバツイチ婚活について考察したい。
36歳、大卒、男性、年収550万円、再婚、子供なし。
バツイチだということをひどく不利な条件に感じている様子で、「僕でも結婚できるでしょうか?」と自信なさげに言う。なぜそんなに、戸籍にバツがついた過去を悲観するのか。どうやら、両親から、離婚したことをひどく責められたようで、バツイチコンプレックスを抱えているのだ。
子供がいない再婚男性は、婚歴にこだわらない女性には、「一度は女性と暮らした経験がある」ことを評価されて、「結婚生活の現実を知っている」、「失敗から次の結婚に生かす」と、離婚歴は問題視されずに、結婚相手を見つけられるのだという現状を伝えた。
彼は、この話に、ひどく驚いた様子で、「そうでしたか! 全く知りませんでした」と目を輝かせた。
「相手が初婚だと遠慮したくなる」と婚活を始めたばかりのころは言っていたが、「大丈夫ですよ。再婚とか初婚以前に、『人柄』を観るのが婚活です」と、背中を押す。
元来真面目な性格だから、誠実にお見合いし、大事に交際相手と向き合って、やがて初婚の可愛らしい女性と半年の交際を経て成婚退会。彼女は「たまたま再婚だというだけで、彼の優しい性格に惹かれました」という。
今では子宝にも恵まれ、幸せな毎日を送っている。
■離婚理由を語らない男性
43歳、大卒、男性、年収700万円、再婚、子供なし。
スラっとした体型で、俳優の舘ひろしに似た雰囲気で、見た目も悪くない。
離婚理由について、本人に何度も聞いてみたのだが、「うまくいかなかった」「相性が合わなかった」としか返ってこない。
「どんなところが相性が合わなかったのか?」を具体的に聞いてみても、はっきりした答えを言わない。
「交際になれば、必ず離婚理由をお相手に話さなくてはなりません。相性が合わなかった、だけでは説明は不十分です。結婚して離婚したのですから、元カノと別れた理由というレベルではないんですよ」
私のアドバイスに、彼は「きちんと話せるようにしておきます」と答えてくれたものの、大丈夫だろうか、という一抹の不安は残った。
再婚とはいえ、30代の初婚の女性と何人もお見合いし、仮交際にも進んだ。明るく快活な性格だから、お相手から積極的な気持ちを寄せられることもあったが、彼は多くの男性にありがちな見た目重視なところがあり、前のめりになれる女性にはなかなか出会えなかった。
その彼に、非常に気に入った女性が現れた。5歳年下の元CAの女性。見た目も好みだった彼女と、結婚を前提とした交際をしたいと希望した。
■元妻を非難する人はお断り
そうなれば当然ながら、離婚の理由を明確に相手に説明をする必要がある。
彼女から問われ、彼は先述の通り、「相性が合わなかったから」と相手に伝えた。この回答に、「離婚するほどの理由に感じられない」と一発で交際終了がきた。恋人関係と婚姻関係は重さが違う。軽い気持ちで結婚し、簡単に別れたように相手に取られたのだ。
バツイチ男性は、一度女性と暮らしたことがあるという点で、柔軟性が高いと感じる女性は多くいる。子供がいなければ、なおさら再婚が大きな不利になるとも考えにくい。
そればかりか、彼の人柄が、薄っぺらいものに映っても仕方がない。残念ながら、ご縁に巡り合うことなく結婚相談所を退会していった。
58歳、女性、再婚、結婚した38歳になる娘が一人いて、そこに孫もいる。
女優の市毛良枝に似た雰囲気の、ごく普通で、地味めな印象ではあるが、誰からも嫌われないような雰囲気を持った女性だ。
彼女がお見合いをしたのは、「再婚、再々婚」の方のみ。理由は、相手が初婚だと、自分が引けを取るような気がしたからだという。何人かの男性とお見合いし、彼女はお見合いの席で自分の離婚の理由をはっきりと伝え、また相手からも離婚の理由を聞いた。
その際に、元妻を非難する発言をした方、死別の方はお断りした。離婚は双方に落ち度があるに違いないし、死別は仏壇に毎日手を合わす暮らしは重いと感じたからだという。
■バツイチ女性の心を掴んだ“手料理”
こちらの離婚理由については、元夫のことを非難するだけの発言はせず、「私の我慢が足りなかったとは思うが、酔って暴力をふるわれた」いわゆる家庭内DVがあったことを正直に話した。
そんな彼女が選んだのは、お見合いした方の中で、一番年収が低く、条件面では決して恵まれているとは言えなかった男性。
年齢は3歳年上で、現在の年収は500万円ほどだが、定年を迎えると年金だけになるという。だが彼は、両親から相続したという古い一軒家を持っていた。
交際中に彼は、この一軒家に招待してくれ、彼が一生懸命作ってくれた手料理のおでんをふるまってくれた。湯気が立ち上るおでん鍋を囲んで、彼が言ってくれた言葉に彼女は胸を撃ち抜かれた。
「あなたのお嬢さんが今後、万が一にも離婚するようなことがあったら、お孫さんも連れて、このうちを実家だと思って帰ってきてください」
彼女の娘までも、家族として迎えてくれようとしている彼となら、贅沢はできなくとも、このおでんのような、ほっこりと温かい毎日になるに違いない。
彼女は彼を再婚相手に選んだ。
■「なぜ離婚したのか」を聞けば本性が見える
バツイチの再婚だからこそ、過去の失敗を繰り返してはならないが、バツイチを卑下する必要はない。
再婚者は、「結婚生活の現実を知っている」「他人との暮らしの経験者である」「生活費などの現実を理解している」「過去の失敗から二度と失敗したくないという気持ちが強い」などから、婚活市場である面では評価されることもあるのだ。
過去の結婚生活で、元妻の買い物依存症から、自己破産まで追い込まれたある再婚男性は、経済的に地に足が着いた女性であるかを再婚相手に求めたし、ある女性はモラハラ気質の元夫との離婚から、穏やかで優しい性格であるかどうかの観点で再婚男性を選んだ。
再婚で幸せを手にした方々は、過去の失敗を振り返り、新しい結婚生活は絶対に継続していける覚悟ができる相手を選んでいるのだ。
だからこそ、過去の離婚理由は、明確に再婚相手に説明する必要はあるし、離婚理由から元配偶者を一方的に悪者にするような人は、選んではならない。
ほとんどの場合、離婚の原因は双方に非があるもの。元配偶者の悪口しか言わない人は信用できるであろうか? 結婚したら、次に悪口を言われるのは、自分だと思った方が良い。
また、元配偶者の悪口を言う人に限って、未練たらたらの可能性もある。思いが残っているからこそ、悪口を言うことで、元妻、元夫への思いを必死に振り切ろうとしているようなら、再婚しても元配偶者と比較される可能性がある。
■死別した配偶者がいる場合は要注意
再婚で子供がいる方は、養育費問題はもちろん、将来の財産分与などについてもしっかり確認すべきである。
例えば、男性に養育費を支払い中の子供がいて、子供を養育しているのは元妻の場合。子供が20歳になれば、養育費は必要なくなるかもしれないが、男性に財産があった場合には、その財産は、元妻のところにいる子供たちにも相続権がある。
女性に子供がいて、養育費を元夫からもらっていたとしても、女性が再婚した場合には、養育費は打ち切りになるという約束になっている人もいる。子供がいる再婚は、心理的にも金銭的にも、複雑に絡み合ってくる問題があるので、なかなか容易にはいかないと思っておいたほうが良いだろう。
死別による再婚の場合、お墓や仏壇があるのが一般的で、再婚したら一緒に手を合わせて供養していく覚悟があるかは考えてみてほしい。
死別した元妻がいる男性と再婚した女性が、鬼籍に入った元妻に抑えきれない嫉妬心を抱き、心身に不調をきたしてしまい、離婚したということもある。不幸にも死別という経験をした相手を、癒し、大切にできる覚悟を持てるかは、考えてみていただきたい。
また、結婚は家と家の結びつきだから、片方だけが再婚の場合、初婚側の親が、再婚に対してネガティブな気持ちを持っていないかを確認したほうが良い。
婚活して出会った相手が再婚で、親からの猛反対で交際終了にならないとは言えないので、家族の意向は無視できない。
■「一度結婚できた人」という強み
バツイチの結婚は、確認すべきことはあるものの、一度は異性と暮らしたことがある方は、暮らしに柔軟な考えを持っている方が多い。
実際に私の結婚相談所でも、男性が再婚、女性が再婚、双方が再婚の方々にとどまらず、再々婚以上の方も、ご縁に出会い、問題があれば都度話し合いを重ねて、幸せに結婚していった。
ある42歳の初婚女性はこう言った。
「結婚するなら再婚のかたが良いです。一度は結婚した方は、きっと魅力がある方だと思いますから」
バツイチだからこそ見つけられる幸せな再婚はある。
過去の失敗を振り返り、他責思考ではなく、自分を振り返ることができる謙虚な気持ちがある方なら、新しい幸せはきっと手に入るのだ。
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大屋 優子(おおや・ゆうこ)
結婚カウンセラー
1964年生まれ、株式会社ロックビレッジ取締役。ウエディングに特化した広告代理店を30年以上経営のかたわら、婚活サロンを主宰。世話好き結婚カウンセラーとして奔走。著書に『余計なお世話いたします 半年以内に結婚できる20のルール』(集英社)がある。
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(結婚カウンセラー 大屋 優子)

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