※本稿は、下方浩史『90歳まで健康長寿』(文春新書)の一部を再編集したものです。
■高齢者の「つるつる食べ」はリスク大
麺類は柔らかくて食べやすい。さらにそばやうどんは、調理が簡単な上、値段も手ごろ。米価が上がっている現在、注目を集めるのもうなずけます。
麺類は、咀嚼力や食欲が落ちた高齢者にメリットがある一方で、注意点もあります。糖質を多く含む麺類を食べ過ぎると高血糖状態となり、糖尿病を発症する恐れがあるのです。また、だしやスープなどには、塩が多めに入っています。全部を飲み干してしまうと塩分過多になって、血圧の上昇につながります。
また、麺類の食べ過ぎは、歯周病の原因となります。糖質を大量に摂っていると口の中で菌が増えやすくなるためです。つるつると簡単に飲み込めるので、噛まずに食べることが歯周病の要因となるとも言われます。よく噛むことによって唾液がたくさん分泌され、口の中を清潔に保つ働きがあります。
実は唾液には細菌の増殖を抑える成分が含まれています。柔らかい麺類ばかりを食べて噛む回数が減ると、唾液の分泌が少なくなり、口腔内が乾燥して細菌が繁殖しやすい環境になるのです。
厚労省「歯科疾患実態調査」(2022年)によると、歯周ポケットが4mm以上のいわゆる歯周病の人の割合は65~74歳で56.2%と年代別で最も多い。歯周病によって口腔内の細菌が肺に入った場合、誤嚥性肺炎のリスク因子となってしまいます。
■血糖値を上げない麺選びの基準
麺類が引き起こす問題は他にもあります。カップ麺などのインスタント麺には、塩分とリンが多く含まれています。リンは体内で吸収されやすく、腎臓の血管に負担をかけるため、麺の食べ方に注意しないと慢性腎臓病(CKD)の発症リスクが上がります。麺類を食べる際は、血圧や血糖値への配慮と共に、歯や腎臓も守らなければならないのです。
麺類の早食いは、米と同じく血糖値を急激に上昇させて下げる血糖値スパイクの原因となります。できるだけ血糖値の乱高下を回避する必要がある。糖質の過剰摂取は塩分同様、腎臓の血管に負担をかけますから、できるだけ血糖値が上昇しづらい麺類を選ぶべきです。
その基準として、麺類のGI値を参考にしてください。
GI値が70を超えているものは、高GI食品に分類されます。ちなみに、白米のGI値は77~88、食パンは95で、これに匹敵するGI値がある麺類はうどんです。
■「素うどん」は絶対にNG
素うどんやざるそばは避けるべし。主な麺類のGI値は次のとおりです。
①うどん(80)、②そうめん(68)、③パスタ(65)、④中華麺(61)、⑤そば(54)。中華麺やパスタは、うどんに比べて精製度の低い小麦が使われることが多く、食物繊維が多いため、血糖値が上昇しづらい。
最もGI値が低いのはそばです。毛細血管を強くして血圧を下げる効果があるルチンなど、様々な栄養素が入っています。高齢者にとって麺ならそばが最適でしょう。
ただし、麺類だけでは圧倒的に野菜が不足しています。どの麺を食べるときも野菜を多く入れることを考えてください。うどんなら、野菜たっぷりの煮込みうどんがベスト。冷凍うどんであれば、基本的に食塩は不使用です。乾麺を使うのであれば、塩分の溶け出したゆで汁を捨てれば、多少は塩分のカットになります。
また、素うどんやかけそばだけの食事は避けて、副菜を足しましょう。春菊や舞茸など、できるだけ衣の薄い天ぷらを添えるようにします。一方で、大きなかき揚げや天かすは糖質が高く油も多いので、控えるようにしましょう。
高齢者に優しいのは山菜そばです。豊富に含まれる食物繊維は、食後の高血糖を抑えることにつながります。夏の定番、そうめんも、錦糸卵やネギなどのトッピングをたっぷりのせることが重要です。
■ラーメンはスープから飲むべき
うどんやそばと同じく高齢者に人気なのは、ラーメンや冷やし中華でしょう。
まず、もやしたっぷりのタンメンなどを選び、最初にスープを何口か飲んでください。脂分の影響で胃の働きがゆるやかになり、血糖の上昇がわずかに抑えられることもあります。ただし、スープは飲み干さないこと。次に野菜を食べ、最後に麺を食べてください。カップ麺でも、野菜を入れれば余分な塩分を排出してくれます。
シニアに是非食べて欲しいのはパスタです。特にカルボナーラは卵をたっぷり使用しているので、タンパク質摂取の強い味方になります。また、パスタを使って焼きそばをつくるのも健康的でおすすめです。パスタ自体には塩分や油が入っていないため、ソースで味付けすれば食べなれた味で楽しめます。
最後に、絶対にやってはいけないのが、麺類と他の炭水化物を一緒に食べる「重ね食べ」です。うどんと稲荷ずし、ラーメンにライスなど、複数の主食を同時に食べると血糖値が急激に上がります。麺の量も100gを超えないよう意識しましょう。
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下方 浩史(しもかた・ひろし)
名古屋学芸大学大学院栄養科学研究科教授
1953年生まれ。医学博士(名古屋大学)。1977年、名古屋大学医学部医学科卒業、1982年、名古屋大学大学院博士課程医学研究科内科学専攻満期退学。1986~1990年、アメリカ国立老化研究所客員研究員。その後、広島大学原爆放射能医学研究所疫学・社会医学研究部門助教授、国立長寿医療研究センター疫学研究部部長、同センター予防開発部部長、名古屋学芸大学健康・栄養研究所研究所長などを歴任。日本内科学会認定内科医、日本老年医学会老年病専門医、日本臨床栄養学会認定臨床栄養指導医、日本疫学会上級疫学専門家。著書に、『100歳まで自然に元気な和食の流儀:そんな日本人の生活習慣が人類を救う!』(白秋社)、『90歳まで健康長寿』(文春新書)などがある。
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(名古屋学芸大学大学院栄養科学研究科教授 下方 浩史)

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