※本稿は、規格外『すべては言葉からはじまる』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。
■「時間が経つほどに幸せになる」と定める
人生は「立てた問い」の
方向に向かってしか進まない
問いの力は偉大であり、人生は立てた問いの方向に向かってしか進まない。
私自身、長年にわたり「年齢を重ねるにつれて、人生で一番幸せといえる状態になるにはどうすればよいか」という最上位の問いを問い続けてきた。この問いに対する解を記し続けてきた結果、長い目で見て、たしかに「今が一番幸せ」という方向に人生は進んでいる。
もし「どうすれば金が儲かるか」という部分最適の問いをど真ん中に置くと、全体最適である「幸せ」を壊してしまう可能性がある。家族仲良くという部分最適もまた、金銭的な破綻によって長期的な不幸につながるかもしれない。
幸せを下支えする要素は、往々にしてトレードオフの関係にあるのだ。
こうした多重の矛盾を乗り越えることこそが、幸せの追求といえる。近視眼的な部分最適を追求すれば、人生トータルで不幸になる。ドラッカーが言う通り、「いかに優れた部分最適も全体最適には勝てない」。
ゆえに、これらの矛盾を乗り越える原動力となるのが、最上位の目標に「時間が経つほどに幸せになる」という抽象度の高い問いを定めること。
人生の成功は、この遠大な「最上位目標」をどれほど長く、明確に、力強く握り続けられるかにかかっている。
■その目標に強烈な臨場感はあるか
思考の深さと持続力は、
欲求の切実さに比例する。
要するに
「目標設定がすべてに先んじる」
今、掲げている目標の2倍、いや10倍という「現状の殻を破る目標」を寝ても覚めても思い続けている状態。これがすべての起点となる。
強烈な欲求と、実現を阻む高い壁を前にしたとき、脳内で
「どうすれば到達できるか?」
「こうすれば届くのではないか」
という自問自答が、かつてない頻度と強度で繰り返される。人間の想像力や発想力は、切実な問いに対して何としてでも解を導き出す力を持っている。
その力に従えば、世にある人やモノや情報といった資源の中から、何が何でも夢の実現に役立つ素材を探し出す。それらを組み合わせるうちに、目的は必ず果たされるようになっている。
しかし、多くの人はそこまで思考の密度が高まらない。それは「立てた目標に対する執着」が弱いからに他ならない。思考の深さと持続力は、欲求の切実さに正確に比例する。
要するに「目標設定がすべてに先んじる」のである。
絶対に手にしたいという渇望がなければ、どれだけ有用なノウハウや方法論を学んだところで、知的娯楽の域を超えられない。行動に移す情熱が湧かず、その他大勢から抜け出せない。
どれほど高い目標であっても強烈な臨場感があれば、やり方はその後に見つかる。やり方が分かれば実現させるところまで行動し続けるから、そこについて心配する必要はない。
■自分を作り変える最短最速の方法
自分の目標は自分に100倍の重みで記憶されるが、
他人からは
100分の1程度にしか
認識されない。
両者の認識の差は体感的に1万倍
生まれ変わりたいなら、高い目標を掲げ、それを公言すること。
なぜなら、挑戦的な目標を掲げなければ、仮説を立て、集中し、検証し、行動に移すプロセスそのものが発動しないから。
高い目標なしに、高いレベルの行動が生まれるはずがない。
よく「目標を掲げるのは怖い」「公言するのは恥ずかしい」と耳にするが、正直、誰も他人の目標など気にしていない。
自分の目標は自分に100倍の重みで記憶されるが、他人の記憶は100分の1程度。両者の認識の差は体感的に1万倍。ならば、このギャップを利用すればいい。
どうせ誰も私のことなど気にしていないのだから、大きな目標を堂々と掲げ、公言し、その緊張感とプレッシャーを味方にして、全力で打ち手を仕掛ければいい。
このメカニズムを理解している人は、公言し、挑戦し、行動し続ける。その結果、達成することもあれば、届かないこともあるかもしれない。
だが、目標すら持たない人よりも圧倒的な速度で成長し、生まれ変わっていくことだけは間違いない。これこそが、自分を作り変える最短最速の方法。
私はこのやり方で自分にプレッシャーをかけ、何度も人生を作り変えてきた。だからこそ、再現性が高く、信頼に足る方法論だと断言できる。
■心が震える存在に出会った瞬間が出発点
「どんな存在になりたいか」を
明確にすることが
キャリア形成の第一歩
キャリア形成において本当に重要なのは、方法論を学ぶことではない。もちろんそれも大事だが、それ以上に重要なのが「どこに向かいたいのか」という強い想い。
できる限り目線を上げ、理想のキャリア像を心に描き続ければ、やり方については後から、どうにでもなる。
方法論に意味はあるが、それは志や理想像があって初めて力を持つ。
情熱なき状態で学ぶ方法論は実行に移されない。
にもかかわらず、焦りを覚えて情報を詰め込み、消化不良を起こしている人が多いように見受けられる。
特に若い時期で求められるのは、寺山修司(歌人・劇作家)の言葉を借りるなら「書を捨てよ町へ出よう」の精神といえる。やり方についてはいったん脇に置き、人と出会い、対話を重ね、直感や感性を研ぎ澄ますといい。
「この人の背中を追いかけたい」「こんな風になりたい」と心が震える存在に出会った瞬間こそが、キャリア形成における真の出発点となる。
出会いと対話を重ねて練り上げられた未来像は、困難に立ち向かう勇気を与えてくれるアンカー(錨)となってくれる。
■地下で積み上げた思考や試行錯誤は力になる
「どんな物語を信じて
生きているか」に導かれ、
紡がれるのが人生
人生で期待する成果を上げ、前向きに生きていく要諦は、苦難に直面した際の「意味づけ」、すなわち物語化に尽きる。
困難や逆境に足踏みしているときに感じる「周回遅れ」感は、単なる錯覚。
苦しんでいる時期は、大木が地下に広大な根を張るのと同様に、目に見えない準備を重ねている期間と捉えるべきである。
地下で積み上げた思考や試行錯誤こそが、後に人生を一変させる力に転化する。
重要なのは、今の苦しみをどのように解釈するかにある。ただ苦しみとして受け止めるのではなく、「これは未来の飛躍のための根を張る時期だ」と物語化すること。
この解釈の違いが、人生の軌道を決定づける。
物語を書き換える行為は、現状の絶対肯定につながる。「この経験が未来の糧になる」と言い聞かせれば、どんな困難も希望へと変わり、希望は行動を生み出す。
人生の中盤以降に飛躍した人の多くは、苦難を苦難として捉えるのではなく、「未来を準備している最中」として受け止めている。
今、苦しい人は、その経験を「自分に力を与える物語」として解釈し直すといい。信じる物語さえ変えれば、人生はいつからでも、いくらでも良くできるようになっている。
■ゲームも人生も、ここからが本番
20代後半から30歳前後に訪れる
「クォーターライフ・クライシス」は、
誰もが必ず通る道
「もう28歳だ、何を始めても手遅れかもしれない」と悲観する人がいるが、これは極めてもったいない。この20代後半から30歳前後に抱く焦りは、「クォーターライフ・クライシス」と呼ばれる。
肥大化した自意識と現実とのギャップにより焦燥感がピークに達する時期ともいえる。しかし、この焦りに引きずられて意欲や行動力を失い「ゲームセット」と勘違いした瞬間、未来の可能性を自ら閉ざし、本当に人生を終わりに導いてしまうこととなる。
長い目で見れば、人生100年時代における20代までの期間は、人生における「チュートリアル(操作説明)」のフェーズにすぎない。社会のルールを体得し、己の適性を知るための助走期間であり、真のゲームはこのあとから始まる。
にもかかわらず、「人生終わった」などと嘆くのは、思い違いも甚だしい。ゲームも人生も、ここからが本番。訓練期間でうまくやれなかったとしても、悲観する必要など一切ない。
私自身もチュートリアルは失敗続きであったが、その後の本番では、初期の失敗によってもたらされた緊張感を逆に味方につけ、かえって上手に人生をプレイできるようになった。
誤った思い込みによって、未来の可能性を閉ざしてはならない。
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規格外(きかくがい)
経営者
京都大学大学院中退。米系グローバル企業を経て、起業。ニッチ市場をゼロから創造し、20年以上にわたって億単位の営業利益を継続。自身の挫折と成功の経験から、「使う言葉を変えるだけで、人生いつからでも作り変えられる」という信念に至る。Xフォロワー数6.6万人。
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(経営者 規格外)

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