食事を摂るベストタイミングはいつか。一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート代表理事の荻野淳也さんは「3食きっちり食べることにこだわってはいけない。
適度な空腹感は集中力を高めてくれたり、消化器を休ませてくれたりする効果もある」という――。
※本稿は、荻野淳也『心のざわざわ・モヤモヤが消える がんばりすぎない休み方』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■焦る気持ちや不安感が和らぐ呼吸に切り替える
お腹に手を当てて呼吸をする

呼吸が浅いときは、緊張しているとき。

1回の深い呼吸だけで心が落ち着く。
私たちは、緊張したり不安になったりすると、無意識にからだがこわばり、呼吸がどんどん浅くなっていきます。
また、せかせか焦っているときや早口になっているときも、呼吸は浅くなりがちです。
このようなときは、まずは今の自分に意識を向け、呼吸の速さを感じてみましょう。呼吸が感じられたら、胸ではなくお腹での深い呼吸に切り替えていきます。
このときお腹に手を当てて、吸う息とともにお腹の膨らみを感じ、少しずつ呼吸を深めていきます。
理想のスピードはありませんが、慣れてきたら、ひと呼吸の時間を意識的に長くし、1回の呼吸に30秒くらいかけてゆっくりと行なってみるのもおすすめです。
呼吸が深まるとともに、自分の中にあった焦る気持ちや不安感が和らぎ、心の落ち着きを感じられますよ。
■笑顔でネガティブなことは思いつきにくい
まずは姿勢を整える

感情を変えたければ今この瞬間の姿勢を見直す。


それだけで気持ちが変わる。
この本を読んでいるあなたは、今どんな姿勢でしょうか。
背中が丸まっていないでしょうか。
禅の世界には「調身、調息、調心」という考え方があります。これは「からだを調えることで息が調い、息が調うことで心が調う」という考えで、どれか一つを欠いても、他は成り立たないとされています。
姿勢は心を整える基本であり、始まりです。
日常を振り返ってみてください。眠気を感じるときや、憂鬱な気持ちのときなどは、姿勢が悪くなっていることがほとんどです。人の心というのは、姿勢とリンクしているのです。
小さな実験をしてみましょう。自分の口角を上げてニッコリしながら、思いつくままにネガティブなことを口にしてみてください。……どうですか。
言葉が浮かんでこない人のほうが多いのではないでしょうか。
これも、姿勢とネガティブな感情の原理と同じで、からだと心がリンクしているから。笑顔のときはネガティブなことが思いつきにくいのです。
■「手を3分間観察する」と同じ効果を
手に感謝しながらハンドクリームを塗る

ハンドクリームを塗りながら手を見る。

当たり前の手の感覚に、意識を向ける。
生活の中で一番はじめに感覚が伝わることの多い「自分の手」。
でも、手そのものに注目し、労わる瞬間はあまりないものです。
普段ハンドクリームを使っている人は、クリームを塗るとき、何かをしながら塗るのではなく、自分の手の感覚に集中してみましょう。
クリームに触れる感覚から、馴染んでいく温度感。指1本1本、関節一つひとつへと丁寧に広げていきながら、今この瞬間の目の前にある手に「いつもがんばってくれてありがとう」と、感謝を向けていきます。
私がご紹介しているマインドフルネスのワークに「手を3分間観察する」というものがあります。
試しに少しの間、手のひらを観察してみると、シワの細かさや、ドクドクと脈打つ感覚、ほんのわずかな温もりなど、意外とたくさんの気づきがあるはずです。

「手を観察すること」はこの本を閉じたら忘れてしまいそうですが、ハンドクリームを塗るタイミングで手に集中することならできそうではないでしょうか。
■「1日3回食事が必要」とは限らない
お腹が空くまではごはんを食べない

たまの空腹を味わう。

からだがほしがる食事の量を、からだにたずねる。
「1日3食、健康のためにしっかりごはんを食べましょう」
当たり前に言われていることですが、1日3食という考えは、じつは江戸時代に伝わったもので意外と新しい考えです。
飽食と言われる現代において、1日3回の食事は、むしろ食べすぎだと主張する医学者もいるくらいです。
私たちは本当に空腹を感じた上で、食事をしているでしょうか? 
「ランチの時間になったから」「仲間との飲み会だから」と、お腹が減っていない、もしくは、まだ食欲が湧いていないにもかかわらず、惰性で食事をしていないでしょうか。
3食きっちり食べることにこだわらず、ご自身の空腹感に気づいた上で、その空腹感にしたがって食事のタイミングを決めてみてはいかがでしょう。間食が習慣になっている人は、空腹を感じないまま惰性で食べてしまっている場合があります。
適度な空腹感は集中力を高めてくれたり、消化器を休ませてくれたりする効果もあるとされているのです。
■目覚める新たな身体感覚を楽しむ
利き手と反対の手で歯を磨く

からだの使わない部分を使ってみる。

不自由だからこそ、気づく感覚がある。
利き手と逆の手で日常の動作をしてみると、不自由さをはじめ、いろいろな身体感覚に気づくことができます。

たとえば、右利きの人は、試しに左手で歯を磨いてみてください。
もっと簡単なところでは、パソコンのマウスを使う手を逆にしてみてもいいでしょう。
違和感を覚えることによって、はじめて気づくからだの感覚があります。
人間のからだは、左右のバランスが均一な状態がいいとされていますが、利き手でないほうの手や普段動かさない部位は、どんどん思い通りに動かなくなり、脳の神経も鈍っていってしまいます。
ただ、脳の神経には可塑性という性質があり、使えば使うほど変化して成長し、活性化することがわかっています。
利き手と逆の手を使う、足の5本の指を動かしてみるなど、普段使わない部分を積極的に動かして、目覚める新たな身体感覚を楽しんでみましょう。
■1日使った足に意識を集中させて労わる
自分の「気持ちいい」感覚に素直になる

「気持ちいい」と声を出す。

からだの感覚を正直に味わう。
1日の終わりに足を揉んでみると、その日の過ごし方によって、肌の質感やむくみなど、からだの変化に気づくことがあるかもしれません。
足を揉んであげるとき、テレビなどを見ながら行なうのではなく、「今のこの足」に意識を向けて揉み、気持ちよさだけに集中してみましょう。
東洋医学においては、足の指や足裏は内臓と連動しているとされます。1日使った足に意識を集中させて労わることは、心もからだも健やかにし、明日への元気を湧き立たせてくれるのです。

また、凝ったからだをほぐそうとストレッチをするとき、ついその部位を動かして、無理やり凝りをほぐそうとしがちです。
そんなときは、無理にほぐそうとするよりも、伸びている筋肉をじっくりと感じて「気持ちいい!」と声に出し、ポジティブな今この瞬間を味わってみましょう。
ストレッチをしたり、足を揉んだりするときに「気持ちいい!」とプラスの気持ちに気づいて言葉にすることで、心から自分を癒やすことができるのです。

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荻野 淳也(おぎの・じゅんや)

一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート(MiLI)代表理事

慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系コンサルティング会社やベンチャー企業で経営に携わり、事業や部下のリストラ、自分自身の燃え尽きを経験するなかで、これまでの経営や働き方に疑問を持ち、新たな経営スタイルや働き方、生き方を探求するようになる。現在は、企業研修や大学院の講義、講演などを通じて「人も組織も自分らしさの追求を源泉にした働き方やマネジメント手法」を提案している。Google発のマインドフルネスプログラム・Search Inside Yourself(SIY)認定講師。多摩大学大学院MBA客員教授。慶應義塾大学理工学研究科非常勤講師。

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(一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート(MiLI)代表理事 荻野 淳也)
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