■共テ日本史の難易度は平年並み
――2026年1月17日、18日に大学共通テストが実施されました。「歴史総合,日本史探究」の受験者数は、1月23日発表の中間集計で12万2652人。平均点は約62.31点と出ています。今回の難易度はどうでしたか。
【佐京由悠、以下、佐京】2025年の平均点が約57点でしたから、難易度はやや易。問題を解くために必要な知識も、ふだん予備校で受験生を指導している立場から言うと、「まあ、共テだからね」というレベルだったと思います。難しかったとすれば、手続きの煩雑さというか、知識の運用それ自体にフォーカスした設問が多いので、そこで解きにくさを感じた人はいるのかなと思います。
■正解までの道が「行きにくい」
――煩雑というのは、設問の方式ということでしょうか。共通テストになってから、ストレートな問いが減り、問題文が対話形式になったり、図版やグラフが多用されたりするようになりました。
【佐京】そうですね。「これはAですかBですか?」と聞かれたら「Bです」って答えられるんですけど、「Aがあって、Aダッシュもあって、それで……」というところから問題が始まり、正解はBだと判断するまでの思考の回数というか、手数が多くなった感じはします。難関私大のようなマニアックな知識が問われるわけではなく、そこそこの高さのハードルがいっぱいあって、「うわ、行きにくいな」っていう感じのものかなという印象です。
■年代暗記はもはや無意味⁉
――センター試験を受けた親世代は、歴史といえばとにかく暗記という記憶があるんですが、例えば「794(ナクヨ)ウグイス平安京」などの年代を憶えていても解けない問題が多いのでしょうか。
【佐京】そうですね。今回も1問だけですが定番の年代整序問題が出ていて、センター試験時代だとたとえば「徳川家康が江戸幕府を開いた」というように直接的に問われたものですが、共通テストでは、言ってしまえば“回りくどく”なったんですよね。
例えば、近代が範囲の第6問-問3。1番目が「青年将校により複数の要人が暗殺された事件の後,軍部は政治的発言力を強め,新たに就任した首相に,軍部大臣現役武官制の復活や大幅な軍拡予算を認めさせた。」という問題文で、具体的な人名や事件名が書かれていない。まず「青年将校」が出てきているので、「二・二六事件」か「五・一五事件」のどちらか。その後「首相が軍部大臣現役武官制を復活させている」から「二・二六事件」だろうと、ここで初めて1936年だと判断できる。
さらに2つの同じような文章が出てきて、2番は1941年、3番は1931~32年と、それぞれ時期を特定していく作業が必要になるわけです。このプロセスが重なっているので、要は「イントロクイズ」みたいな一問一答のみで暗記していると、なかなか正解できないですね。
■歴史の「物差し」を使って解く
――年代は当然、頭に入った上で、さらに事件の詳細などまで憶えておかないといけないわけですね。
【佐京】そうですね。
■ほとんど世界史? 「歴史総合」
――また、2年目となった「歴史総合」(日本史と世界史を融合した問題で必須)ではマラリアの流行の歴史を調べたという問題でコロンブスが出てきたり、インドやエチオピアの飢饉の問題があったりして、ネットに投稿されていた受験生の声として「日本史のテストなのに、世界史やってないとわかんないじゃん」という不満もありました。
【佐京】いや、「歴史総合」なので、世界史の知識がある程度、必要なのは大前提なんですよね。「世界史を勉強しなきゃいけない」と言われたら、「1年生のときに習った歴史総合をやればいいんですよ。教科書をすぐに捨てないでね」と答えるしかないんですが……。ただ、「歴史総合」の教科書に、問題文に出てきた「マラリアの治療に使われたキナノキ」のことが書いてあるかというと、ない。
だから結局これも、物差しの使い方なわけです。
■地引網漁の問題は日本史なのか?
――しかし、「歴史総合,日本史探究」第2問の漁業の問題では、地引網の人員がグラフ化されていて、パッと見ると「これは日本史なのか? 地理では?」と戸惑いますね。
【佐京】グラフだけ見ると、日本史らしくないですが、よく読めば「網元(あみもと)」「網子(あみこ)」といった日本史の用語が登場し、それらの知識を使って読み解くようになっています。知識の「運用」が試されている象徴的な問題です。最終的には鎌倉時代の荘園や「公物(くもつ)」「預所(あずかりどころ)」という言葉から知識を総動員して答えを導き出す構成で、1つひとつの設問が独立しつつも、最後には中世の歴史像としてまとめられている。大切なのは「必ずどこかに根拠がある」と信じて、会話文や資料の中にあるヒントを見逃さないことです。
――なかなかその読解の訓練を、本番前の勉強だけでマスターするのは難しいと思いますが、共通テスト対策はどうすればいいですか?
【佐京】勉強法としては、まだ時間があるうちから「この歴史用語を正解にするには、どんな問題文を作ればよいか」を逆算して考える習慣をつけると、共通テスト特有の思考回路が身につきやすいです。つまり一問一答の逆をやる。それは他の試験でも役に立つはずです。
■来年は日本史に漫画が?
――また今回、「歴史総合,世界史探究」では少女漫画の名作『ベルサイユのばら』が出て話題になりましたが、今後、日本史でも漫画が出てくることはありえますか?
【佐京】可能性としては十分あります。2025年には長谷川町子の『意地悪ばあさん』が出ました。
――時事問題としては、やはり「100年前の出来事や周年行事、国民的イベントのトピック」は、対策として押さえておいたほうがいいですか?
【佐京】どちらかというと、年度ではなく試験実施年、またはその100年前、150年前のことが出てくるケースが多く、2022年実施の日本史には1872年開通の鉄道についての問題が出ました。つまり、次の2027年共通テストには1927年や1877年のことが出るかもしれないから、「一応押さえておいたほうがいいよ」とはアドバイスしています。
■共通テストは学力向上につながるか
――全体的に見て、共通テストは高校生の学力向上につながっているんでしょうか。
【佐京】私としてはけっこう好意的に見ていますね。例えば2択の問題で、そのうち1つは誤りの選択肢、われわれは「ダミーの選択肢」といったりするんですけど、そのダミーの方も見ると、「出題者はこういう思考回路を落とし込みたいんだな」というのは分かるんですよ。「こっちが正解に決まってるじゃん」みたいな問題はあまり出なくなってきて、そういう意味では試験自体の質は上がっている気がします。つまり、よく練られていますね。ただ一方で、「一方はわからなくても消去法で選べばなんとなく分かるよね」という設問もなくはないので、そこはまだ開始6年目、過渡期なのかなという気はします。
----------
佐京 由悠(さきょう・よしはる)
代々木ゼミナール本部校・日本史科講師
受験生のときに受けた予備校での日本史の講義に感銘を受けて、予備校業界へ。監修した本に『ビジュアル版 一冊でつかむ秀吉と秀長』(2025年、河出書房新社)がある
----------
(代々木ゼミナール本部校・日本史科講師 佐京 由悠)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
