■投資などの儲けは申告すべきか
2025年の1月6日(大発会)に3万9945円だった株価が、10月31日には5万2411円まで上がり、株などの投資で儲けたという方々もいらっしゃるのではないでしょうか。
株や投資信託、債券、預貯金など金融商品の売買や利息などで儲かった利益を、「金融所得」と言います。この「金融所得」には、給料などほかの収入とは別に一律で20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)の税金がかかります。これが、「金融所得課税」です。
「金融所得」があれば、誰もが儲けに対して同じ額の税金を払わなくてはいけないと思うかもしれませんが、実は、口座の種類によって支払い金額は違います。
■「損益通算」で納税額が減るケースも
「NISA口座」で取引している人は非課税なので、税金はかかりません。
ただし、証券会社には「NISA口座」だけでなく、「一般口座」、「特定口座」があり、「NISA口座」は1人1口座しか持てないのに対して、こうした口座はいくつでも持つことができます。
「一般口座」では、投資で儲けたら、自分で確定申告をして儲けに対して約20%の税金を支払います。
一方「特定口座」には、「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類あり、「源泉徴収あり」の口座の場合には、証券会社が売買で利益が出るごとに利益に対して約20%の税金を天引きしてくれるので、確定申告は必要ありません。「源泉徴収なし」の特定口座の場合は、「一般口座」と同様に確定申告が必要です。
ただし、確定申告が必要ない「特定口座(源泉徴収あり)」でも、場合によっては確定申告したほうがいいケースもあります。それは、いくつか口座を持っていて、儲かっている口座と損している口座がある場合です。
たとえば、A口座で100万円儲かり、B口座で50万円損をしていたとしましょう。この場合、確定申告しなければ儲かっているA口座に対し、約20万円の税金を証券会社が徴収して税務署に払って終わりますが、確定申告をすれば、A口座の儲けからB口座の損を差し引いた儲けは50万円ということになります。これを「損益通算」と言います。
100万円に対して約20%課税されるのと、50万円に対して約20%課税されるのでは、払う税金は約10万円も違いますから、確定申告をするほうが断然お得です。
■「繰越控除」なら儲かっても税金0円に
株価暴落などで大損した場合も、「一般口座」や「特定口座」は確定申告しておくと、その後に利益が出ても、儲けから最長3年間は利益から差し引ける「繰越控除」が使えます。
たとえば、株で500万円損をしたとします。この500万円の損は、確定申告しておくことで、その年分の翌年以後、最長3年間にわたり損失分を繰り越せるので、利益が出ても繰越分のマイナスがあるうちは、税金を支払わなくてもいいのです。
ちなみに、「NISA口座」は年間合計360万円まで投資でき、内訳はつみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円なので、投資商品を買うことはその範囲内でしかできないという不自由さがあります。そのため、別に「一般口座」や「特定口座」を持っているという人もいるかもしれませんが、「NISA口座」と、「一般口座」「特定口座」との「損益通算」はできませんので、要注意です。
ところで、金融所得の儲けを申告しないとどうなるかといえば、ペナルティとして、15~20%の「無申告加算税」や「延滞税」が課され、「重加算税」は最大40%。
■国保加入者は「社会保険」の負担増に注意
確定申告が必要ない「特定口座」でも、「損益通算」や「繰越控除」を使おうと思ったら、確定申告したほうがいいというのはご理解いただけたでしょう。
ただし、やっかいなのは、国民年金の自営業者や年金だけの高齢者などの場合、確定申告をすると、いくら儲けたかという情報が市町村に伝わること。一定額を超える収入があるとなると、国民健康保険の負担料も増えますから、注意が必要です。
たとえば、75歳以上(後期高齢者医療制度加入者)だと、現役並みの収入がある人でない限り、病院の窓口負担は1割か2割です。2025年9月までは、窓口負担が急激に増えると戸惑う人もいる、ということで激変緩和措置があったのですが、現在ではしっかりと2割負担が導入されています。
具体的には、年金収入とその他の合計所得金額が320万円未満なら病院での医療費の窓口負担は1割。320万円を超えると2割負担となります。
仮に、76歳の2人暮らしで、夫の年金収入が230万円、妻の年金が83万円、収入の合計が313万円のご家庭を例に見てみましょう。
年金だけで暮らしているなら、このご家庭の窓口負担は1割です。ただし、株式投資で50万円儲かったとしましょう。
「特定口座(源泉徴収あり)」の場合、50万円儲かっても確定申告は不要です。市町村は儲けた金額を把握できないので、収入は年金の313万円のままで、病院の窓口負担は1割となります。
ですが、「特定口座(源泉徴収なし)」の場合や、「損益通算」を利用したりするケースなどでは確定申告が必要ですから、儲けた50万円を自治体が把握することになります。そのため、儲け分50万円がプラスされて合計所得は363万円になり、320万円を超えるため、窓口負担は2割に上がります。
さらに、市町村が把握する収入が上がると、収入に応じて国保の保険料も上がります。厚生労働省の試算では、上記のケースでは、年間保険料が約5万円増えるとなっています。
「金融所得を申告して所得が増えると、国保の保険料負担が重くなる」と懸念される方もいるでしょう。算定料率は、各自治体によって異なります。そのため、住んでいる自治体、自分の所得額、申告する内容(「損益通算」「繰越控除」などの利用)によっても保険料の増加額は変わるので、「損」か「得」かは、人それぞれ。自治体によっては、保険料の試算サイトを用意していたりすることもあるので、国保加入の投資家は、こうしたサイトを利用して、節税額と保険料額を比べてから、確定申告をしたほうがいいのか、しないほうがいいのかは、ご自分のケースで判断する必要があります。
2025年分の確定申告期間は、2月16日(月)~3月16日(月)まで。電子確定申告(e-TAX)は、1月から申請受付が始まっていますので、確定申告が必要な人は、期間内にきちんと済ませましょう。
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荻原 博子(おぎわら・ひろこ)
経済ジャーナリスト
1954年、長野県生まれ。経済ジャーナリストとして新聞・雑誌などに執筆するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとして幅広く活躍。難しい経済と複雑なお金の仕組みを生活に即した身近な視点からわかりやすく解説することで定評がある。「中流以上でも破綻する危ない家計」に警鐘を鳴らした著書『隠れ貧困』(朝日新書)はベストセラーに。『知らないと一生バカを見る マイナカードの大問題』(宝島社新書)、『5キロ痩せたら100万円』『65歳からはお金の心配をやめなさい』(ともにPHP新書)、『年金だけで十分暮らせます』(PHP文庫)など著書多数。
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(経済ジャーナリスト 荻原 博子)

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