※本稿は、豊留菜瑞『人見知りの仮面』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
■聞きたいことがあるのに質問が思い浮かばない
「何か質問はありますか?」
とあるセミナーの最後で、講師がそう言った瞬間、私は凍りつきました。
周りの人たちは次々と手を挙げています。
「○○について、もう少し詳しく教えてください」
「△△の事例はありますか?」
私も聞きたいことは、たくさんあるはずなのに、具体的な質問が何も思い浮かばないのです。
頭の中を探しても、探しても、「これを聞いたら変かな」「的外れだったらどうしよう」「レベルの低い質問だと思われないか」と、そんな声ばかりが渦巻いて、結局、何も言えないまま時間は過ぎていく。
気づけば、講師が「では、これで終わりにします」と言っていることがほとんどでした。
仕事の打ち合わせでも同じようなことが起こります。
「菜瑞さんは、どう思いますか?」
そうやって急に話を振られると、頭が真っ白になって、何も出てこない。
「え、えっと……」
気の利いた質問をしなきゃ。
会話を広げなきゃ。
場を盛り上げなきゃ。
でも、そう思えば思うほど、言葉は出てこなくなるのです。
そして結局、「そうですね……勉強になりました」と、当たり障りのない返事をして終わる。
こんなふうにかつての私は、質問が全く出てこない人間でした。
■「質問しよう」と思うと質問は出ない
けれど、のちに心理学を学んでわかったことがあります。質問が出てこないのは、“スキル不足”ではなく“矢印の向き”の問題だったということです。
人見知りの人ほど自分の発言に注意が向きすぎてしまいます。
つまり、「質問できない」のではなく、「質問する余白が心に残っていない」だけ。
そして、質問は、スキルとして「習得する」ものではないのです。
ここまで読んで、こう思った方もいるかもしれません。
「じゃあ、相手に興味を持って、質問すればいいんだな」と。
しかし、実はここに大きな落とし穴があります。
「質問しよう」と思った瞬間、質問は出なくなるからです。
■「作られた質問」と「湧いてくる質問」
実は、質問には2種類あります。
1つは、「作られた質問」です。
これは、「いい質問をしなきゃ」と頭の中で必死に考えて作る質問です。
「この質問、的確かな?」
「変に思われないかな?」
「何を聞けば賢く見えるだろう?」
という考えばかりが頭の中を支配します。つまり、相手の話を受け取ることができていない状態です。
結果として、相手の言葉が頭に入ってこないので、質問が出てこないですし、表面的な質問になるため、会話も深まりません。
そして、もう1つの質問が「湧いてくる質問」です。
これは、相手の言葉をそのまま受け取った結果、自然に湧く質問です。
純粋な気持ちで相手の言葉を受け取っているからこそ、「もっと知りたい」という気持ちが自然に生まれます。
結果として、相手の話をちゃんと聞いているから、自然に質問が出てきますし、本当に聞きたいことを聞いているので、会話も深まります。
■「義務」になると湧いてこない
人見知りの人は、「作られた質問」をしてしまう傾向にあります。ですがそうすればするほどお伝えしたように、質問は出てこなくなります。
これは、質問を“パフォーマンス”として捉えているから、とも言えます。
「いい質問をして、印象を良くしなきゃ」
「気の利いたことを聞かなきゃ」
こう思った瞬間、質問は義務になりますし、「優秀な自分」を演じようとするので、やはり人見知りの仮面=防衛システムが働いてしまいます。
例えば、会議で上司の話を聞きながら、
「何か質問しなきゃ」
「いい質問はないかな」
「この質問は的確かな」
「変な質問したら恥ずかしいな」
と考えてしまう時はないでしょうか?
つまり、上司が話しているのに、質問を“作る”ことに必死になってしまうということです。
これでは、質問が生まれるはずはありません。上司の話を全く受け取っていないからです。
■相手の言葉をそのまま受け取る
大切なのは、相手の言葉をそのまま受け取ることです。
「いい質問を」という考えを捨てる。
「何を聞こう」という準備をやめる。
ただ、上司が今、何を言っているのかだけを追いかける。そうやって、質問を作るのを完全にやめて、ただ上司の話を受け取ることだけに集中する。
信じられないかもしれませんが、そのほうが確実に質問はあなたの中から湧き上がってきます。
心理学の「アクティブ・リスニング」の研究でも、相手を評価せずにまず受け止める姿勢が、最も自然な質問を生むと示されています。
では、具体的にどうすればいいのか。
■ステップ①質問を作ることを諦める
まず、「質問を作ろう」という意識を完全に手放してください。
会議や打ち合わせの前に、こう自分に言い聞かせます。
「今日は、質問しなくていい。ただ、相手の話を受け取るだけでいい」
こうして自分を、「何を聞こう」というプレッシャーから解放してあげます。
■ステップ②相手の言葉を「繰り返す」
相手が話している時、心の中で、相手の言葉をそのまま繰り返してください。
例えば、上司が「今回のプロジェクトは、顧客の声を大事にしたい」と言っているなら、あなたも心の中で「顧客の声を、大事にしたい……」と繰り返します。
このただの「繰り返し」が、相手の言葉を受け取るための最も簡単な方法です。なぜなら、繰り返すことで、頭の中の“雑音”が消えるからです。
繰り返していない時は、「何を聞こう」「いい質問は?」「変な質問じゃないか?」と、雑音だらけで、相手の言葉が入ってきません。ところが、相手の話を心の中で繰り返している時は、相手の言葉だけに意識が向きます。
つまり、無意識に「無」の状態へと自分を持っていけるのです。
■ステップ③「ん?」と思った瞬間を逃さない
そうやって相手の言葉を繰り返していると、ふと、「ん?」と引っかかる瞬間があります。
「顧客の声を、大事にしたい……」
「ん? 顧客の声って、具体的にどんな声なんだろう?」
こういった、「ん?」が、質問の種です。
これは、作ったものではありません。相手の言葉を受け取っていたからこそ、自然と湧いてくる疑問です。
つまり、これこそが、「湧いてくる質問」だということ。
この疑問を、そのまま口にすればいいのです。
「具体的に、大事にしたい顧客の声ってどんな声ですか?」
最初はうまくいかないかもしれません。でも、繰り返しているだけで、必ず「ん?」という瞬間が訪れます。
その瞬間を、信じてください。それが、あなたの中から自然に湧いてきた、仮面の下の本当の質問です。
■相手への興味を形にする
こうして「無」の状態で相手の言葉を受け取ると、「湧いてくる質問」が自然に生まれてきます。
ただ、ここでもう1つ重要なポイントがあります。
それが、“矢印”を意識的に動かすということです。
自分がどう見えるか。
うまく返せているか。
変に思われないか。
こんなふうに“自分に向く矢印”が強いほど、「湧いてくる質問」は出てきません。
なぜなら、矢印が自分に向いている間、あなたは相手を見ていないからです。
一方、「この人は今、何を大事にして話しているんだろう?」と矢印を相手へ向けた瞬間、質問は自然に生まれます。
それは、矢印が相手に向いていると、相手の表情、声のトーン、言葉の選び方、こうした細かな変化が目に入ってくるからです。
そして、その変化に気づいた瞬間、
「ん? 今、何かあったな」
「ここに、この人の本音があるかもしれない」
という疑問が自然に湧いてくるのです。
■矢印を相手に向け直して観察する
ここで私自身のエピソードをご紹介します。
ある日、仕事の交流会に参加した時のことです。
隣に座った方が、自分の仕事について話してくれていました。
「今、地域の子どもたち向けの教育事業をやっているんです」
初対面ですからやはり、いつもの人見知りの仮面が発動します。
何を聞けばいいんだろう?
変な質問したら失礼かもしれない?
そうやって自分が焦り始めているのがわかりました。この瞬間、矢印は完全に自分に向いていました。
でもそこで、意識的に矢印を相手に向け直しました。
「この人は今、どこに一番熱を込めているんだろう?」
そう心の中で問いかけながら、相手の姿をよーく観察することにしました。
■相手の表情が変わる瞬間を見逃さない
相手の表情を見る。
声のトーンを聞く。
どの言葉を言う時に、目が輝いているかを観察する。
そうやって相手に矢印を向けていると、相手が「子どもたち」と言った瞬間、表情がふっと柔らかくなったことに気づきました。
矢印が相手に向いていたからこそ、この変化を見逃さなかったのです。
その時です。
「なぜ、子どもたち向けなんですか?」
ぽろっとこぼれるように「湧いてくる質問」が口から出ていました。
相手はニコッと笑って、「実は昔、自分がこういう機会に救われたことがあって……」と、小学生の頃の体験を話し始めてくれました。
質問を「考えた」わけじゃない。
ただ、相手をちゃんと見て、相手の話を聞いていたら、聞きたいことが勝手に湧いてきたのです。
■相手が心を開いてくれる質問
さらに言うとこの時私は、鋭い質問をしたわけではありません。
ただ、矢印が相手に向いていたというだけです。
でも、それだけで相手は心を開いてくれました。
なぜなら、質問とは「相手に興味を向けた証」だからです。
質問された側は、「自分の話をもっと聞きたいと思ってくれている」というメッセージを受け取ります。
そして、そのメッセージが相手に届くのは、あなたの矢印が本当に相手に向いている時だけです。
実際、コミュニケーション研究でも、
・質問を多くする人のほうが、相手から高く評価され、好感を持たれやすい
・質問は相手の自己開示を引き出し、関係の深まりを促す
ということが明らかにされています。
つまり質問は、言葉を交わす以上に心を交わす行為なのです。
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豊留 菜瑞(とよどめ・なつみ)
インフルエンサー
1989年生まれ。年間240冊の書籍を読破する、ビジネス書の探究者。読書アカウント集団・BUNDANを運営。代表を務める。読書を通して得た「働き方」や「生き方」の知恵を自身の人生で実践し、複数のフットケアサロンを起業・経営。著書に『忙しさ幻想』(サンマーク出版)がある。
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(インフルエンサー 豊留 菜瑞)

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