※本稿は、宮島賢也『自分の「うつ」を治した精神科医の方法』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。
■うつ脱出の鍵は「加点主義」
僕は、メンタルセラピーを通して、うつの人たちに、うつから脱出する方法を自分で見つけてもらうようにしています。それらのポイントを整理して、次に紹介しましょう。
やりたいこと、楽しいことを見つける
うつになった人は、目標を失い、何をすればよいかわからなくなっています。目標がないから、うつになったわけです。
やりたいこと、やっていると楽しいことが見つかれば、うつから脱出する糸口になります。好きなこと、楽しいことをしているときは、エネルギーがあふれ出てきます。
自分のいいところ、できることを見つける
うつになった人は一般に、減点主義が身に付いています。自分ができなかったこと、失敗したこと、他人よりも劣っていることなど、マイナス点を数えあげます。
そして、常に自分に、不満足感・不充分感をもち、満足することがありません。こういう考え方は、自己否定につながるし、心はつらくなっていくばかりでしょう。
その考え方を、加点主義に変えます。つまり、できないこと、足りないことに目を向けるのではなく、できたことや長所に目を向けます。そして、できたこと、長所だと思うことを、数えあげます。その材料は、日常の、ほんのささいなことでもかまいません。
■ただ生きているだけでいい
はじめは、ひとつでもいいのです。お勧めは、目が覚めたことや、水を飲めることにも喜びを感じることです。ただ生きていることに喜びを感じられるようになると、毎日が幸せです。
あなたも、生まれてきたばかりのころは、その存在だけで周りの人たちを喜ばせていたのです。人間は、存在そのものが尊いのです。赤ちゃんのころに思いを馳せ、そのころのあなたの家族の笑顔を思い浮かべてみましょう。
ただ生きていることの価値を認識し、その喜びを感じてみてはいかがでしょう。生きててよかった、生まれてきてよかったと思えると、楽になります。
■心を病む人ほど「仕事は楽しんではいけない」
「仕事は楽しんではいけない」と思っている人がいます。僕は、引きこもりの人たちとの交流で、そういう考え方があることに気づきました。
日本人には昔から、「仕事は楽しむもの」ではなく、「つらいもの」「つらくて当然」という観念があるような気がします。仕事はお金を受け取るものだから、楽しむとか、楽しんでやるという性質のものではないと考える、楽しむという発想に、どこかうしろめたさがつきまとうのです。
そういう観念をもっている(そういう観念にしばられている)人は現在でもいます。
けれども、そういう観念にとらわれ過ぎているのは悲観的です。そして、そういう親に育てられると、子供も悲観的な考え方が身につきます。
「仕事はつらくて当然」という観念にしばられていると、いくら好きな仕事についても、義務的に働き、「忙しい、忙しい」「○○しなくちゃ」となり、やがて好きだった仕事にもストレスを感じます。
「仕事は楽しんでするもの」とか、「仕事は楽しんでいい」などと考え方を変えてみましょう。それだけで、心が楽になります。まずは、今の仕事にやり甲斐を見つけてはいかがでしょう。
やり甲斐が見つからないという人は、ゲーム性やおかしみを見つけて、楽しんではいかがでしょうか。
■「原因探し」が回復の第一歩
うつになった患者さんのなかには、何がストレスになっているのか、自分でわからない人がいます。
僕はうつの患者さんすべてに対して、まず、何がうつの原因になっているかについて考えてもらいます。自分を責めずに、他人を責めずに、考えてもらいます。具体的には、今の自分がつらいと思っていることや、気分が落ち込んだときに何を考えていたかを書き出してもらいます。
文章ではなく、箇条書き風に、ひとつだけ書き出してもらいます。たとえば、
・将来に漠然と不安がある
・お父さんといっしょにいると、イライラする
・上司との人間関係が苦しい
・会社をリストラされるんじゃないかと思ってしまう
このように紙に書き出したあと、これらの言葉を、自分が楽になる言葉に書き換えていくのです。こうすることで、ネガティブな思考からポジティブな思考へ転換できます。メンタルセラピーでは、こちら(メンタルセラピストの側)が答えを与えるのではなく、患者さん自身が答えを見つけられるようにお手伝いします。
何がうつの原因になっているかを考え、原因になっている事柄を自分で認識することが、うつからの脱却の第一歩です。
■「悩みの仕分け」が回復の第二歩
悩みやストレスは、次の3つに大別できます。
①「自分で解決できること」
②「自分で解決できないが、誰かの助けを借りれば解決できること」
③「自分でも他人でも解決できないこと」
この3つのうち、まず、自分のストレスが、どれに相当するかを判断します。このとき、患者さん自身に判断してもらいます。
たとえば「将来に漠然と不安がある」というのは、誰が解決できるでしょうか。自分で解決できるなら、今すぐ解決してください。誰かに助けを借りて解決できることなら、誰かに相談して解決してしまいましょう。
自分でも他人でも解決できないなら、その悩みをもっているだけ損でしょう。手放すことをお勧めします。
不安というものは、そのことを考えているうちに増大していきます。うつになる人は、漠然とした不安をふくらませ、その不安のとりこになっています。解決できない不安は、悩むだけ損です。
僕は患者さんに対して、「解決できない不安は、手放しましょう」といっています。将来が不安だという人に対しては、「今を楽しみませんか」と提案しています。
■捉え方は変えられる
事実や出来事はひとつでも、解釈は無限大です。どのように解釈するかは十人十色で、うつになる人は、「うつになるような解釈」をします。
たとえば、リストラに遭ったとしましょう。
「これでは経済的に行き詰まってしまう。次の就職先が見つからないなら、死ぬしかない」
と思い詰める人がいます。いっぽう、「これでやっといやな上司から解放された」とか、「合わない仕事(会社)をそれなりにがんばってきたけれど、これで踏ん切りがついた。これからは、好きな仕事をやろう」などと、肯定的、前向き、楽観的にとらえる人もいます。
前者のようなとらえ方をすれば、心は鬱屈(うっくつ)し、うつっぽくなってきます。死にたくなる人もいるかもしれません。それに対して、後者のような考え方をすると、やる気が出て、肯定的、能動的に生きていくことができます。
出来事を、「肯定的、能動的、楽観的」にとらえる人と、「否定的、受動的、悲観的」にとらえる人とでは、その出来事に対する感情(反応)が違ってきます。
■嬉しい解釈を選び取る
たとえば、昇進したとき、うれしさでいっぱいになる人もいるでしょう。
前述したように、同じ物事、出来事でも、解釈は無限大で、いろいろな解釈ができます。
どのように解釈するかは、人さまざまです。イライラしたり気分が落ち込んだりする人は、解釈を変えてみると違う気分が味わえます。
自分がうれしくなるような解釈、楽しくなるような解釈を選んでみませんか。
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宮島 賢也(みやじま・けんや)
精神科医・産業医
1973年、神奈川県生まれ。防衛医科大学校卒業。研修中、意欲がわかず精神科を受診、うつ病の診断を受ける。自身が7年間抗うつ剤を服用した経験から、「薬でうつは治らない」と気づき、食生活と考え方、生き方を変え、うつ病を克服する。その経験を踏まえ、患者が自ら悩みに気づき、それを解決する手伝いをする方向へと転換。うつの予防と改善へ導き、人間関係を楽にする「メンタルセラピー」を考案する。著書に『メンタルは食事が9割』(アスコム)など多数。
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(精神科医・産業医 宮島 賢也)

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