※本稿は、中野信子『脳科学で解き明かすあの人の頭のなか』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
■理解できないあの人の言動も脳で9割わかる
「あの人は一体なにを考えているのだろう」
「どうして、いつも私に冷たいのかな」
「もっと親しくなるにはどうしたらいいのだろう」
人間は社会的存在ですから、どうしても周囲の人のことが気になります。誰だって人から嫌われたくないし、人に認めてもらいたいし、人よりちょっとだけ上に立ちたいものです。
あなただけでなく周りの人も、みんながそうであるだけに、人間関係は難しいもの。
結果、いらぬ探り合いをしたり、気をつかいすぎたり、ときには根も葉もない噂話に気を揉んだりして、互いの溝を深めていきます。
私たちが人間関係に心を痛め、混乱してしまうのは、このように根拠のない臆測によって人を判断してしまうからです。
では、どうすれば人のことがわかるのか。
人間の心も考えも、すべて脳の働きによって生じているという事実を知れば、不確かな臆測に惑わされることは少なくなるかもしれません。
人の言動は脳によって支配され、動かされているからです。その仕組みの一端を、できるだけわかりやすく解説していきます。
脳科学をもとに人を見て、相手と接することができれば、今までよりずっと深いところで人間を理解する助けになるはずです。
■「かわいい」をウザがる人は脳に問題あり?
「かわいい」ものにうっとうしさを覚える人は、愛着形成に問題があるかもしれません。
脳下垂体で分泌され、愛着形成に関与する「アルギニンバソプレッシン」という物質があります。
この物質を受けとる受容体の数には個人差があり、少ないと人に対する愛着形成がされにくいことがわかっています。
一般の人には「かわいい」と感じられるものも、愛着形成に問題がある人にとってはそうではありません。
そのため、人が見せてくれるペットの写真を「うざい」と感じたり、はては、我が子すら邪魔に思えるということが起こるのです。
■経済力を知りたければ指の長さを見ればいい
セントラル・ランカシャー大学で心理学を教えるジョン・マニング教授が、興味深い論を展開しています。人差し指より薬指が長い人は男性的であるというのです。(*)
*J T Manning, D Scutt, J Wilson, D I Lewis-Jones, The ratio of 2nd to 4th digit length: a predictor of sperm numbers and concentrations of testosterone, luteinizing hormone and oestrogen., Human Reproduction, Volume 13, Issue 11, 1 November 1998, Pages 3000–3004,
男性であれ女性であれ、人間は胎児のときに、母親の子宮のなかで男性ホルモンを浴びます。
このとき、男性ホルモンの受容体は薬指の骨により多く密集しているため、男性ホルモンの量が多いほど薬指が成長するというわけです。
同時に、多くの男性ホルモンにさらされれば脳も男性化します。
脳が男性化すれば、実際の性別にかかわらず、より攻撃的・積極的に仕事に励み、お金を稼いでくる可能性も高くなるでしょう。
よく、きれいな女優さんが「私は男だから」と言ったりします。
■睡眠時間が短い人は浮気しがち
浮気経験者は睡眠時間が短いというデータがあります。
睡眠時間が少ないと脳の前頭葉の機能が麻痺します。ここが麻痺すると理性的な判断ができなくなるため、愛する家族を傷つけたくないと思いながら、目の前にいる相手になびいてしまうということも起きてしまいます。
単純に、「浮気をしているから帰る時間が遅くなり、睡眠時間がとれない」という側面もあるかもしれませんが、このデータは注目に値します。
■思慮に欠ける困った人の原因は脳にある
思慮に欠ける「困った」人たちの原因は、性格ではなく脳にあったりします。
人間がなんらかの判断を下すときには、主に脳の2つのシステムが使われます。
一つが、物事を迅速に判断する「Xシステム」と呼ばれるもの。私は「反射システム」と言っています。
もう一つ、「Cシステム」というものがあり、この言葉はCalculation(計算)からきています。こちらは、長期的な視点に立って物事をより正確に合理的に判断するシステムです。「熟考システム」と言ってもいいかもしれません。
よく考えずにヤジを飛ばして後から大問題に発展する政治家や、ネット上の一方的な意見にすぐに賛同して拡散する人などは、Cシステムが弱く、Xシステムが稼働しやすいのです。
思慮に欠ける困った人たちは、性格のせいではなく、脳がそうさせているわけですね。
■集中力が高い人は、種として考えると脆弱
私たち人間は、遠い祖先の時代から、種として生き延びることを命題にしてきました。そのため、あらゆる危険を検知すべく、無意識のうちにアンテナを張り巡らせています。
どこかでガスが漏れていないか。車が突っ込んでこないか。
子どもたちが危険なところに行こうとしていないか。
絶えず、そういうことを考えるように脳ができています。
もしなにか一つに深く集中していたら、危険に気づくことができず命を落とすことになりかねないため、もともと集中できないようにできているのです。
人間にとって、気が散りやすいというのはむしろ正しい状態。集中できる人は、種としては弱いとも言えるのです。
■「努力できる」のは生まれつきの才能
「努力できる」か「努力できない」かは、生まれつきの才能でほぼ決まってしまいます。
コンサートで生計を立てられるような優れた音楽家と、そうではない一般的な音楽家には、どのような違いがあるのかを調べた研究があります。
その結果、大きく違ったのは練習時間でした。優れた音楽家は20歳になるまでに平均約1万時間を練習に費やすのに対し、一般的な音楽家はそれより数千時間も少なかったのです。
また、遺伝子がまったく同じ一卵性双生児と、遺伝子の半分を共有する二卵性双生児を比べると、努力できるタイプかどうかは、一卵性双生児のほうが一致している割合が高い、つまり、努力できることは遺伝の影響を大きく受けていることもわかりました。
■遺伝子のプログラミング
こうしたことから、優れた音楽家は、高い評価を獲得するために必要な長時間の練習ができるよう、あらかじめ遺伝子にプログラミングされているという結論が導き出されました。
一つのことで成功するには、才能に加え、並外れた努力が必要だというのは誰もが認めていることですが、そもそも、その努力ができるかどうかすら才能によるところが大きいのです。
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中野 信子(なかの・のぶこ)
脳科学者、医学博士、認知科学者
東日本国際大学特任教授。京都芸術大学客員教授。1975年、東京都生まれ。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。2008年から10年まで、フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務。著書に『サイコパス』『不倫』、ヤマザキマリとの共著『パンデミックの文明論』(すべて文春新書)、『ペルソナ』、熊澤弘との共著『脳から見るミュージアム』(ともに講談社現代新書)、『脳の闇』(新潮新書)などがある。
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(脳科学者、医学博士、認知科学者 中野 信子)

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