※本稿は、牧田善二『糖が脳を破壊する』(SB新書)の一部を再編集したものです。
■あらゆる炭水化物には「糖」が含まれる
糖質という名称から誤解されがちですが、それは砂糖など甘いものばかりを指すのではありません。米飯、麺類、パンなど、いわゆる「主食」として扱われる炭水化物も糖質の塊です。
栄養学では、タンパク質、脂質、糖質を「三大栄養素」と呼び、そこにビタミンとミネラルを加えたものを「五大栄養素」としています。
栄養成分表を見ると、炭水化物は糖質と食物繊維に分類されています。とはいえ、ほとんどが糖質です。だから、本書を読み進めるにあたっては、糖質と炭水化物は同じものだと解釈して構いません。
炭水化物は「多糖類」といって、たくさんのブドウ糖が連なった構造をしています。
砂糖は「二糖類」で、ブドウ糖と果糖が2つくっついています。ブドウ糖は「単糖類」で、それ以上分解されることなく小腸から血液中に吸収され血糖値を上げます。
多糖類も二糖類も、口から胃に送られて消化される過程で、全部、1個1個のブドウ糖に分解されます。
つまり、米飯を食べるのと砂糖をなめるのは、結果的にまったく同じだということです。
このように、思わぬところから糖質過剰摂取に陥り、脳の働きを鈍らせている人が多いのです。
■糖質中毒になっている脳
実は、「甘いものが脳にいい」とか「脳のエネルギー源はブドウ糖だけだ」というのがウソだとわかっている人は、それなりにいます。むしろ、甘いものは脳にも健康にもマイナスだと知っている人もいます。
さらに、炭水化物も糖質そのもので、甘いもの同様、減らしたほうがいいということを理解している意識の高い人もいます。
にもかかわらず、結果的に多くの人が糖質を過剰摂取しているのには、2つの理由があります。
ひとつは、世の中に出回っている栄養学の情報が古いこと。
厚生労働省が推奨している「バランスのいい理想的な食事」は、糖質摂取量が多すぎます。つまり、それを参考に「これくらい糖質を摂ってもいいだろう」と判断するのはちっとも良くないのです。
もうひとつは、知らぬ間に「糖質中毒」に陥っていること。
「疲れたら甘いものを補給しなくては」とか「脳にはブドウ糖が必要だ」ともっともらしい理由をつけているものの、実は「食べたくてたまらない」から食べているわけです。
「中毒」とは、決して大げさな表現ではありません。
■「日本人だから白米が好き」は大間違い
実際、糖質中毒の人は渇望感が強く、それを摂らずにはいられません。
甘いものを食べずにいられない人、清涼飲料水を手放せない人、スナック菓子が止まらない人……みんな糖質中毒です。
とくに働き盛りの男性において、白米好きがもとで糖質中毒に陥っている人を多く見かけます。
私は、1日に1粒もコメを食べなくて大丈夫ですが、彼らはそれができません。肉や魚をいくら食べようが、おかずでお腹いっぱいになろうが、白米を食べずにいることが難しいのです。
こうした状況に、本人は「日本人だからコメがなくては始まらないのだ」と考えているのかもしれません。しかし、正しくは「糖質中毒だからコメを渇望しているのだ」という認識が必要です。
■脳は頼りないからダメになる
中毒には、ギャンブル中毒、買い物中毒、仕事中毒……といろいろな種類がありますが、すべて脳に原因があります。抜け出したいのに簡単には抜け出せないのは、意思が弱いからではなく、脳の問題だからです。
ニコチン中毒の人は、たいてい「タバコなんてやめたい」と内心では思っています。望むままに喫煙していたら、体を壊すと考えるからです。
それでも、ある程度の危機感があるだけましかもしれません。糖質中毒は、そうした危機感を抱きにくいという点で、ずっとやっかいだとも言えます。
脳というのは、しっかりしているようで、案外、頼りない一面があります。
あなたの脳が、「もう糖なんていらないよ」と正しい判断をしてくれればいいのですが、たいていは「もっと糖を摂って」と指令を出してきます。その結果、あなたは糖を摂取し、脳のみならず全身の健康も損なっているというのが現実なのです。
現代人はあまりにも多くの糖質に囲まれているため、よほど意識しないと糖質を過剰摂取することになります。その結果、気づかぬうちに糖質中毒に陥ります。
そして、あまりにも多くの糖質に囲まれているため、誘惑があり過ぎて中毒から抜け出すのが難しいのです。
■私達はいつから糖質を摂るようになったのか
もっとも、脳が「もっと糖を摂って」と指令を出すこと自体はなんらおかしなことではありません。それは、生き残るためのエネルギー源を確保しようとする、生命体として当然の仕組みです。
ちょっと想像してみてください。
それからとても長い期間、10万世代を超えて、人類は狩猟や採集で食物を賄ってきました。たまに仕留められる動物の肉、釣った魚、木の実や山菜などを食べて命をつないできたわけです。
こうしたものの中にも、少し糖質が含まれています。そのわずかな糖質やケトン体をエネルギー源として生きるように、人類はプログラムされています。もちろん、あなたも私も同様です。
ところが、約1万年前に農耕が始まり、糖質だらけの穀物を人々は口にするようになりました。1万年前というとずいぶん昔のようですが、たかだか400世代くらいの年月です。10万世代と比較したら、つい最近の話です。
さらに、産業革命によって砂糖が大量生産できるようになると、人々の糖質摂取量が劇的に増えていきます。
■現代社会の糖質はもはや飽和状態
こうした状況になっても、私たちのDNAは基本的に遠い祖先の時代のまま。狩猟や採集で暮らしていた頃のように、ほんの少しの糖質とケトン体で生きるようにできています。
そして、自分が置かれた環境には糖質が少ないことを前提に、私たちの脳は「もっと糖質を摂って」と指令を出しているのです。
しかし、糖質で溢れている現代社会において、その脳の指令は的外れなものとなっています。現代社会に生きる私たちは、的外れな指令を出し続ける脳を、上手になだめていかないとなりません。
ところが、糖を渇望する自分の脳をなだめるのは、多くの人にとって簡単なことではないのです。
■「また食べたい」と思わせる悪魔の仕掛け
産業革命以降、砂糖や小麦粉など食材の大量生産が可能になり、加工技術も進歩しました。それにともなって「工場でつくった食品を売る」というビジネスが拡大していきます。
こうした食品業界も、ほかの業界と同じく利益を上げなければなりません。そのためには、「美味しいからまた食べたい」と、消費者が繰り返し購入してくれる商品をつくる必要があります。
このときの「美味しい」は、舌に感じてもらうよりも脳に感じてもらったほうが確実です。というのも、脳が「また食べたい」と指令を出せば、たいていの人は従ってしまうからです。
そこで大活躍するのが糖なのです。
前述したように、血糖値が上がり至福点に達すると、人は一時的に良い気分になります。
しかしながら、脳は至福点の「気持ちいい」を覚えてしまっており、「また食べたい」と指令を出すわけです。
こうした人間の脳のクセを理解している食品業界は、至福点を意識した商品をいろいろつくっています。
■炭酸が抜けた清涼飲料水は甘い
たとえば、コーラなどの清涼飲料水には、それを口にした消費者を至福点に辿り着かせるべく、大量の砂糖が加えられています。でも、そのままでは甘すぎると舌が感じるから、炭酸を加えてごまかしているのです。
ためしに、炭酸が抜けた清涼飲料水を飲んでみてください。おそらく、その甘さに驚くはずです。
とはいえ私は、食品業界を非難するつもりはありません。企業は売れる商品を懸命に開発しているだけのことです。
また、そうした食品を一切口にしてはいけないなどと、あなたに言うつもりもありません。ただ、「繰り返し摂る必要があるのか」「もしかしたら脳が暴走しているのではないか」と、自己検証する機会をぜひ設けてください。
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牧田 善二(まきた・ぜんじ)
AGE牧田クリニック院長
1979年、北海道大学医学部卒業。地域医療に従事した後、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を約5年間行う。この間、血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、「The New England Journal of Medicine」「Science」「THE LANCET」等のトップジャーナルにAGEに関する論文を筆頭著者として発表。1996年より北海道大学医学部講師、2000年より久留米大学医学部教授を歴任。
2003年より、糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。世界アンチエイジング学会に所属し、エイジングケアやダイエットの分野でも活躍、これまでに延べ20万人以上の患者を診ている。
著書に『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)、『糖質オフのやせる作おき』(新星出版社)、『糖尿病専門医にまかせなさい』(文春文庫)、『日本人の9割が誤解している糖質制限』(ベスト新書)、『人間ドックの9割は間違い』(幻冬舎新書)他、多数。 雑誌、テレビにも出演多数。
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(AGE牧田クリニック院長 牧田 善二)

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